写真で見るBMW「1シリーズ」



 BMWラインアップのエントリーモデルに位置づけられる「1シリーズ」。日本では2004年に初代モデルがリリースされていたが、2011年10月についに新型が登場。2世代目へとバトンタッチすることになった。

 この1シリーズの最大の特徴といえるのが、後輪駆動を採用していること。プレミアム・コンパクトという希有なセグメントのモデルとはいえ、コストや居住性などを重視するこのクラスにあっては唯一の存在。「駆け抜ける喜び」を哲学とするBMWならではのモデルともいえる。

 それだけに走りの面には力が入っており、前後重量配分は約50:50を実現。サスペンションは前ストラット/後5リンクと形式は変わらないものの、さらなる最適化を追求することでトラクション性能や走行安定性、そして快適性も高められている。

 パワートレインは一新。初代モデルでは排気量の異なるエンジンが用意されていたが、新型は直列4気筒DOHC 1.6リッター ツインスクロール・ターボに統一。ベーシックモデルである「116i」は最高出力100kW(136PS)/4400-6450rpm、最大トルク220Nm(22.4kgm)/1350-4300rpmと、初代モデルの1.6リッターエンジンよりパワーアップ。上位モデル「120i」には125kW(170PS)/4800-6450rpm、250Nm(25.5kgm)/1500-4500rpmのハイパワー版が用意され、こちらも初代モデルの2リッターエンジンをトルクで大幅に上回るスペックとなる。

 トランスミッションは初代の一部に用意されていたMTはなく、このセグメントでは初となる8速ATのみを用意。エンジンのオートスタート/ストップ機能、ブレーキエネルギー回生システム、電動パワーステアリングなどの採用によって、116iで約24%アップの17.6km/Lと大幅に燃費を向上させている。

 新たに標準採用となった「ドライビング・パフォーマンス・コントロール」は、スイッチ操作により「スポーツ」「コンフォート」「エコ プロ」の各モードを選択することで、エンジンレスポンスをはじめシフトタイミング、エアコンの動作などを一括して変更するもの。シチュエーションによって燃費を優先させたり、走りを楽しんだりと、手軽に設定を変更することができる。

 また116i、120iの双方に、専用のエクステリア/インテリアパーツや装備品を採用した「スポーツ」と「スタイル」を用意。価格は116iが308万円で、スポーツとスタイルは各10万円高、120iは367万円で同様に各20万円高となる。

 撮影車両は116iが「スタイル」でボディーカラーはミッドナイト・ブルー。120iは「スポーツ」でクリムゾン・レッド。

116i スタイル

エクステリアはここ最近のBMWテイスト。長いボンネットに加え、ホイールベースが30mm延長されたことで、スポーティなキャラクターが今まで以上に強調された印象だ

 

初代モデルが継続販売されるクーペ/カブリオレ(左)との比較。ヘッドライトやグリルまわりの彫りが深くなり、よりアグレッシブな表情となったことが分かるフロントマスクはボンネットフードの開口位置が変わったため、ちょっと初代「Z4」のような雰囲気。バンパーはフォグランプまわりの形状やナンバー下部にシルバーを加えるなど、スタイル専用デザインキドニー・グリルは大型化されるとともに立体的な造形に。クローム&ホワイト・バー仕上げはスタイルの専用装備
伝統的なツートンカラーのドアミラーはついにターンシグナル内蔵タイプに。自動防眩機構とヒーター、さらに助手席側にはリバースポジション機構も付く
ワイパーはフラットタイプフューエルリッドは右サイドでタンク容量は52Lバンパー下部のシルバー加飾はスタイル専用。マットクローム仕上げのテールパイプも専用品
リアコンビランプ横にはモデルを示すエンブレムルーフエンドのアンテナはフィンタイプエッジの効いたデザインとなったバイ・キセノン・ヘッドライトは全車に標準
ちょっと分かりづらいがヘッドライト上部にはLEDのアクセントライン。スモールライト部にもLEDのライトリングが付く
フロントフォグランプは全車に標準装備
ポジション、ブレーキ、ウインカーなどの点灯状態。バックランプとリアフォグランプは左右に振り分けられている
フロントミッドに搭載される1.6リッターエンジン8速ATとの組み合わせにより10・15モード燃費は17.6km/Lを実現。燃費基準と低排出ガス車を示すステッカーもご覧の通り
ボンネットフードはラッチが左右2個所にあるタイプ。タービン直上には遮熱板が設置されている116i スタイルはVスポークスタイリング114と呼ばれるアルミホイールが標準。タイヤは205/55 R16サイズのランフラットタイプ

 

ダッシュボードまわりはBMWらしい仕上がり。中央エアコン吹き出し口上にあるのが6.5インチディスプレイは各種情報の表示用。オプションのHDDカーナビ装着時は8.8インチディスプレイになるスタイルのステアリングはレザーのスポーツタイプで、クロームの装飾も施されるインパネ中央にはエアコンとオーディオのコントローラー。オーディオは6スピーカー仕様でCDプレーヤーとAUX IN端子を装備
ヘッドライトの操作パネルはおなじみの形状。フロント&リアフォグランプもここにボンネットオープナーは足下に。「2X」表示は1度目でボンネットのロック解除、2度目でラッチ解除を示すものグローブボックス内部の収納スペースはかなりタイト
エンジンの始動/停止はプッシュボタン式。オートスタート/ストップ機能はOFFにすることも可能センターコンソールにはシフトレバーとiDriveのコントローラーを配置シフトレバーはジョイスティックタイプ。Pボタンを押してPポジションに入れる。レバーの右横にあるのはドライビング・パフォーマンス・コントロールのスイッチ
シンプルな作りのiDriveコントローラーシフトノブ前方には2人分のカップホルダーが配置され、DC12V電源ソケットも用意されている
スタイルのシート表皮はメトロ・クロス/レザーのコンビネーションタイプ。調整はすべて手動式ドアトリムはシートとコーディネートされた配色
センターコンソール後方はアームレスト兼用のボックス。後端にリアシート用のエアコン吹き出し口があるためか、容量はあまり大きくないホイールベースが30mm延長されたのに伴い、リアシートのレッグスペースが約20mm拡大されており、大人4人の乗車でもある程度の余裕がある
サンバイザー裏にはバニティミラーが用意されているが照明は省略されているBMWではおなじみのリモートコントロールキー。スタイル用はホワイトのアクセントが入る
メーターパネルはシンプルなアナログタイプ。下部のディスプレイにはシフトポジションのほか時計、オド&トリップ、航続距離、ドライビング・パフォーマンス・コントロールのモードなどが表示可能
ダッシュボード上のディスプレイではiDriveやオーディオ、オーナーズハンドブック、車両情報の表示などが可能
ドライビング・パフォーマンス・コントロールの表示も可能で、各機能の状態を分かりやすく表示できる。DSC OFFの際はメーターパネルにも同様に表示して警告する
ラゲッジスペースは通常360L。分割可倒式のリアシートを倒せば最大1,200Lのスペースを確保可能。また、標準では6:4の2分割となるが4:2:4の3分割タイプもオプションで装着可能だ
ラゲッジフロア下にはバッテリーやヒューズボックスなどをセット。ランフラットタイヤのためスペアタイヤは非搭載ファーストエイドボックスはラゲッジのサイドにある収納スペースの中

120i スポーツ

前後バンパーやアルミホイールなどはスポーツの専用装備。これだけでもグッとスポーティな印象を受ける

 

フォグランプまわりのベゼルやナンバー下の形状およびカラーリングなど、フロントまわりだけでも差別化が図られているキドニー・グリルもフチがクローム、バーがアブラックの専用タイプだヘッドランプは同一。ヘッドランプウォッシャーも全車標準
スポーツはフェンダー部に控えめなエンブレムが付くドアミラーは同じくターンシグナル内蔵タイプホイールはシャープなデザインのスタースポーク・スタイリング379。ホイールはラインナップ中唯一の17インチとなり、タイヤも225/45 R17とワイドなサイズに
リアハッチのエンブレムは120iにテールパイプ形状はシングルで変わらないがブラッククローム仕上げで精悍な印象に
120iの10・15モード燃費は17.2km/Lとハイレベルで、燃費基準と低排出ガスのステッカーも同じ

 

スポーツはブラックを基調にレッドをアクセントにしたコーディネートで精悍な印象。エアコン吹き出し口上にはHDDナビゲーション用の8.8インチ高解像度ディスプレイが備わるステアリング形状はスタイルと同形状ながら、こちらはレッドステッチがあしらわれる120iにはストレージ・パッケージが標準装備。ヘッドライト操作パネル下の小物入れなど、名前通り収納系のアイテムが追加となる。116iにもオプションで装着可能
アクセルはオルガンタイプ。ペダル類はグレードによる差はないセンターコンソールまわりのデザインは基本的に116iと変わらない。が、iDriveのコントローラーにクロームのアクセントが入るなど部分的に差別化が図られている
カップホルダー用の小物入れはストレージ・パッケージの装備。リモコンキーにもレッドのアクセントが入るオプションのiDriveナビゲーションパッケージを装着すると、センターコンソールボックスにはAUX IN端子のほかに、ポータブルオーディオなどの接続が可能なUSB端子も用意されるメーターパネルにもレッドのアクセントが入る。タコメーター下部のエフィシェント・ダイナミクス・インジケーターは燃費効率のよい運転をサポートしてくれる。iDriveナビゲーションパッケージ装着車のみの装備だ
メーターパネルの照明はオレンジスポーツモデルとオプションのバリアブル・スポーツ・ステアリング装着車は、よりスポーティな「スポーツ+」モードの選択が可能
ディスプレイにはリアルタイムの出力表示や1分ごとの燃費履歴の表示なども可能
運転席&助手席は電動調節式スポーツシート。こちらもブラックベースにレッドステッチと精悍な仕上がりドアパネルの内張も同コーディネート
サイドシルにはBMW Sportロゴ入りのドアシルプレートが装着されるフロントシート背面のシートバック・ネット、センターコンソールエアコン吹き出し口下のDC12V電源ソケットなど、ストレージ・パッケージならではの装備だラゲッジ・ルーム・ネットや荷物固定用フックなど、こちらもストレージ・パッケージの装備
電動ガラス・サンルーフはオプション。操作パネルはマップランプなどとともにルーフコンソールパネルに

 


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(安田 剛)
2012年 2月 10日