写真で見るマツダ「CX-5」



 マツダが進めているモノづくりの革新、そのキーとなっているのが「スカイアクティブテクノロジー」だ。その成果はデミオやアクセラに搭載されているが、ごく一部に過ぎなかった。クロスオーバーSUV「CX-5」はエンジンをはじめボディー、トランスミッション、シャシーと初の「全部入り」となるモデルだ。

 2007年に開発が始まったスカイアクティブテクノロジーの結晶だけに、多方面から注目を集めている同車だが、中でも関心が高いのがクリーンディーゼルエンジン「スカイアクティブD 2.2」搭載車だろう。だが、取材車両の関係で今回はガソリンエンジンモデルのみの紹介となる。ディーゼルエンジンモデルに関しては、後日改めて機会を設けたい。

 CX-5に搭載されるガソリンエンジンは「スカイアクティブG 2.0」と呼ばれる直列4気筒の2リッター直噴ユニット。吸排気ともに作用する可変バルブタイミング機構「デュアルS-VT」のほか、スカイアクティブG搭載車としては初となる4-2-1排気システム、6つの噴射口を持つ「マルチホールインジェクター」などを採用。さらにピストン、コンロッド、クランクシャフトの軽量化、カムジャーナルへの鏡面加工などにより機械抵抗を低減することで、最高出力155PS/最大トルク20kgmのパワーを実現している。

 日本仕様のトランスミッションは「スカイアクティブドライブ」と名付けられた6速ATのみ。機構的にはトルクコンバーター式のATながら、ロックアップ領域の大幅拡大により、加速性能やフィーリング、燃費の向上を実現している。なお、日本にはATのみとMT派にとっては残念な設定だが、欧州向けはガソリン、ディーゼルともに約8割をMTが占めるほど。「モノ」としてはすでにあるので、要望が多ければMTの追加も期待できるかもしれない。

 4WDシステムは電磁クラッチカップリングを使用したフルタイム式。通常時はFFで最大50:50でトルク配分するが、同時に制御を見直すことでエネルギー効率の向上が図られている。また、リアデフやプロペラ&ドライブシャフトなど、重量物の薄肉化と小型化が追求され、同グレード比較でわずか70kgの重量増に収まっている。

 これらパワートレインに加えマツダ独自のアイドリングストップ機構「i-stop」、SUVとしては異例のCd値0.33を誇る空力性能などにより、燃費は2リッタークラスのSUVとしては驚異の16km/L(JC08モード/FF車)を実現。また、4WDモデルに関しても前述の効率化&軽量化が功を奏し、15.6km/Lとハイレベルな数値となっている。このため、FFのみならず4WDモデルに関しても「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」認定の取得とともに、「平成22年度燃費基準+25%」を達成。エコカー減税に適合している。

 ガソリンエンジンモデルのラインナップはFFが「20C」と「20S」、4WDが「20S」の3グレード。価格は順に205万円、220万円、241万円。

 撮影はエクステリアをFF車、インテリアを4WD車で行っている。ボディーカラーは、FF車がCX-5のイメージカラーとなる「ジールレッドマイカ」、4WD車がスカイアクティブテクノロジーのイメージカラーとなる「スカイブルーマイカ」。グレードはともに20Sでオプションはともに「ディスチャージパッケージ」(8万円)と「セーフティクルーズパッケージ」(7万8750円)を装着。4WD車にはさらに「オーディオレス+ボーズサウンドシステム+9スピーカー」(7万8750円)、「HDDナビゲーションシステム[アルパイン(ボーズ専用)](27万9000円)が追加されている。

FF(左)と4WD。外見で異なるポイントはない
マツダの新デザインテーマ「魂動」を初めて採用。全長4540mmに対して全幅1840mm、全高1705mmとワイド&ローな躍動的なプロポーション。前後のオーバーハングも短い

 

フロントグリルには新アイコンとなる羽ばたく翼のようなイメージの「シグネチャーウイング」が付くヘッドランプは、タカ系の鳥を思わせるシャープなイメージ
ドアミラーはウインドーから距離を取ることで斜め前方の視界を確保。下部には標準装備となるサイドモニター用のカメラを内蔵。ミラー面にはリア・ビークル・モニタリング(RVM)システム用のLEDも備わるフロントウインドー上部にはオプションのスマート・シティ・ブレーキ・サポート&AT誤発進抑制制御用レーザーセンサーがある
フロントバンパーからサイドシル後端、リアコンビランプ形状など、空力を最適化するための工夫が随所に施されている大きく開くリアゲート
リアゲート右にはスカイアクティブのロゴマーク左側には車名のエンブレム。グレードを表すエンブレムはナシ
リアスポイラーは全車標準。横の黒いサイドスポイラーは、空力の向上に効果的なアイテムアンテナはシャークフィンタイプリアゲートには標準装備のバックカメラ
ヘッドライトは全車ハロゲンタイプが標準。写真のディスチャージヘッドランプはオートライトやレインセンサーワイパーなどとセットオプション
フォグランプは20C以外に標準装備
ヘッドランプと同じウイングタイプの意匠を持ったリアコンビランプ
リアスポイラーにはハイマウントストップランプを用意。リアフォグランプは未装備
ガソリンモデルのエンジンは2リッターの直列4気筒。従来のスカイアクティブモデルと異なり、燃焼室内に残るガスを大幅に低減可能な4-2-1排気システムを採用しているガソリンモデルはエコカー減税の対象で、購入時の自動車重量税および自動車取得税が75%減税される20Sではアルミホイールが標準。ガソリンモデルは17インチのみの設定で、ヨコハマタイヤ「ジオランダーG98」の一択。サイズは225/65 R17
平べったい形状のサイレンサー。実は路面に対して傾斜が付けられており、ディフューザーのような役割を果たしているマフラーはデュアルテールタイプ使用燃料は無鉛ガソリン。タンク容量がFF/4WDで異なり、それぞれ56/58L。これは燃費が異なる両車の航続距離を同等にするためで、タンク形状そのものも異なるという

 

なだらかなカーブを描くインパネ上部はすべてソフトパッドで覆われ上質な印象。下部にはピアノブラックの加飾とステアリングなどにあしらわれたサテンクロームにより高級感を演出している3本スポークタイプのスポーティな本革巻ステアリング。スポーク部にはオートクルーズやオーディオなどのスイッチを配置
プッシュボタンスタートシステムは全車に標準。20C以外はアドバンストキーレスエントリーシステムを採用する
エアコンは運転席/助手席で独立して温度コントロールが可能なタイプが全車に標準エアコンの下は収納スペース。奥が下がる形状に加え下部にはゴムマットが敷かれているため、置いたモノが飛び出してしまう心配がないシフトレバーは4ポジション+マニュアルゲート付
インパネ右側のスイッチパネル。アイドリングストップやトラクションコントロール、リア・ビークルモニタリング・システム(RVM/オプション)などのON/OFFが行えるスイッチパネルの下は小さな収納になっているアクセルペダルはかかとのズレが少ないオルガン式を採用
メーター外縁に金属パネルを配置することでスポーティな印象を強めたメーターパネル
メーターパネル右側にはさまざまな情報の表示が可能なマルチインフォメーションディスプレイを装備。車両の挙動を監視することで運転操作を評価、運転終了後にスコアとアドバイスなどを表示するi-DM(インテリジェント・ドライブ・マスター)機能も用意
センターコンソールにはアームレストを兼ねたボックス。取り外し可能なトレーやアクセサリーソケットが備わる
20C以外は本革巻きサイドブレーキレバーを採用。その横にはカップホルダーが用意されるシンプルな形状のグローブボックス
ルームミラーには液晶モニターを内蔵。エアコン下のボタンを押すことでドアミラー下のサイドカメラ映像を映すことが可能。カーナビを装着しない場合、バックカメラの映像もここに表示されるガソリンモデルは4スピーカーのみのオーディオレス仕様が標準。写真のアルパイン製HDDカーナビは、ボーズサウンドシステムとの組み合わせ専用となるモデル
フロントシートのルーフにはマップランプとサングラスホルダールーフ中央にはルームランプ。点灯はフロントライトと連動サンバイザー裏には照明付バニティミラー。20Cは照明なしになる
運転席のサンバイザー裏にETCユニットが収納されている運転席ドアのアームレストにはドアミラーとパワーウインドーのスイッチ
ウインドーから上をオフホワイト、下部をブラックでコーディネートしたインテリアフロントシートは構造から見直し疲れにくくサポート性に優れた形状を実現。アクティブクロスの表皮は20SとXD(ディーゼルモデル)の専用パターンシートのポジション調節は手動式。前がリフト、後ろがシートバックの調節用レバー
リアシートのヘッドレストはきちんと3人分用意されているセンターアームレストにはカップホルダーが備わるリアドアのポケットは1リットルのペットボトルが収納可能
ラゲッジルームは定員乗車時で500Lの容量を確保。4:2:4の分割可倒式のリアシート(20C以外に採用)を活用すれば、フラットかつ最大1620Lのスペースが確保できる
中央部分のみを倒すことで4名乗車でもスノーボードや組み立て式家具などの長尺物が積み込める
フロアボード下部には車載工具などを収納。スペアタイヤは搭載されずパンク修理キットでの対応となる
リアシートのシートバックはリアゲート側からでも、左右壁面に用意されたハンドル操作によりワンタッチで前倒しが可能左側面にはラゲッジルームライトを装備
タイヤハウス後部は小物を収納できるスペース。下部には固定用フックも用意されるラゲッジにもアクセサリーソケットを用意インパネに3つ、各ドアに1つ、リアピラーに2つと合計9つのスピーカを装備するボーズサウンドシステム。コンパクトなデジタルアンプと走行ノイズ補償システム「AUDIOPILOT2」により、ボーズらしい迫力あるサウンドが楽しめる
リアゲートの開閉に連動して上下に動く「カラクリトノカバー」。いちいち開け閉めの必要がない。またオープン時はリアシートとの境がメッシュになるため、車内との会話が必要になった時でもスムーズに行える。取り外しも簡単

 


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(安田 剛)
2012年 4月 9日