レビュー

【スタッドレスタイヤレビュー】氷上制動動画掲載。ウェット性能も強化した“最高傑作”、横浜ゴム「アイスガード 6」(アイス編)

氷上制動性能15%アップをスケートリンクで試す

横浜ゴムの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード 6」を氷上路面となるスケートリンクで試乗した

 横浜ゴムが9月から発売を開始している新型スタッドレスタイヤ「iceGUARD 6(アイスガード シックス)」(製品名:アイスガード iG60[アイジー ロクジュウ]、以下アイスガード 6)。2月に行なわれた北海道テストタイヤセンター(TTCH:Tire Test Center of Hokkaido)における試乗の模様はスノー編のレビューでお届けしたとおり。しかしTTCHでは、外気温が+2℃だったということもあって、アイスガード 6が生み出す氷上性能の確認が完全にはできなかった。

横浜ゴムの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード 6」。キャッチコピーは“冬の怪物、登場。”

 そこで後日、スケートリンクで改めて氷上テストを行なう機会を得た。歩くこともままならないスケートリンクをどう走るのか? 今回もまた従来製品の「アイスガード 5プラス」との比較を行ないながらその違いを感じ取ってみたいと思う。

 まずはアイスガード 5プラスで走行を開始してみると、雪上で感じていたとおり、操舵した初期でのステアリングの手応えが薄いところが気になった。さらに切り込んだ際にヨーの発生が遅く、旋回スピードが低い。アッという間にグリップが抜けてしまう、そんなイメージがあったのだ。また、制動の立ち上がりもわるく、止まるまでに時間がかかっていることは明らかだ。

白いプリウスがアイスガード 5プラス、黒いプリウスがアイスガード 6を装着していた

 続いてアイスガード 6に乗り換えると、低速域から確かな手応えがあり、剛性感がかなり高まっていることが感じられる。おかげでステアリングを切り込んだ際にヨーがシッカリと出ており、旋回スピードも先ほどに比べれば速く感じる。それでいてグリップが抜ける際もジワジワと滑る感覚があり、コントロール性も高い。制動についてはフロントだけでなくリアもきちんと効いている感覚があり、まるで屋根から押さえつけられているように制動してくれるから安心感が高い。

動画による20km/hからの制動距離比較。およそクルマ1台分の差
アイスガード 5プラス(白いプリウス)と、アイスガード 6(黒いプリウス)の制動距離の違い。20km/hからのブレーキで、壁の青いペイントからアイスガード 6の制動距離が短いことが分かる

 横浜ゴムのテストデータによれば、アイスガード 6の氷上制動はアイスガード 5プラスに対して15%短く止まることができるようになったという。また、氷上旋回についても7%向上。これは一定円を通過するタイムを比較したデータとなっている。

 15%短く止まり、7%速くなったと聞くと、たったそれだけと思うかもしれない。だが、その数値以上に体感できるものは大きい。これは誰もが限界を飛び越してしまいがちな氷上において、かなりの安心感と安全性をもたらしてくれることは間違いない。

定常円旋回でのアイスガード 5プラス(白いプリウス)と、アイスガード 6(黒いプリウス)。アイスガード 6は舵角が小さく、アイス路面におけるグリップ力の高さを示している

 アイスガード 6は長持ちすることやウエット性能、そして燃費性能までをも向上させたオールラウンドスタッドレスタイヤとして登場したが、そんな性能を持ちながらもスタッドレスに求められる氷上性能をしっかりと持ち合わせていることが確認できた。

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。走りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども行っている。現在の愛車は日産エルグランドとトヨタ86 Racing。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛