【第3回】佐久で至福のケーキ三昧ですの、の巻


ジャムなどに使われるルバーブとイチゴを組み合わせたムースケーキ。まろやかな口当たりにほんのり甘酸っぱい風味が絶妙

 11月某日、上信越道を軽快に走る1台の赤い車がありました。

「今回の車、ゆきぴゅーさんのリクエストだっていうじゃないですか。車に興味ないって言ってるわりにはアルファ ロメオだなんて、なかなかの選択ですね~」
「へー、これ“あるふぁろめお”っていうんですの」
「えっ!?編集部にそう希望したんじゃなかったんですか!?」
「“クリスマスだから赤い車がいい”って言っただけですわ。そしたらあの見るからに怪しい副編集長ったら『わかりました。それでは赤い痛車を用意しますよ』とかなんとか調子いいこと言ってたくせに、これ痛車じゃないじゃないですの……(ブツブツ)」
「……そ、それは大きな誤解というかアルファ ロメオに対する冒涜というか……」
「ところでエイミー、今日は佐久にケーキ食べに行くんですのよね?」
「そうですよ。そういえばゆきぴゅーさん長野出身ですよね?佐久が、神戸・自由が丘と並んで日本三大ケーキの街って言われているのをご存じでした?」
「初めて聞きましたわ。でもなんで佐久なんですの。佐久といったら鯉ですわよ。あっ、もしかして佐久のケーキって鯉のお造りが乗っているとか!?」
「ないと思います」

 こんな調子で着いた先は佐久市にある「お菓子工房ル・ポミエ」さん。さっそく店内に入ると色とりどりのケーキやお菓子がお出迎えです。

「うっわー!どどど、どれにする?エイミー!?わたくしコレとコレと、それからこっちのもいいなぁ……」

外観からかわいらしいル・ポミエクリスマスの飾りつけがされた店内
カフェが併設されているすっかり仕事を忘れております

 目移りしながら選んだ数種類のケーキをほおばっているところへ、オーナーの大塚誠さんが出てきて下さったので“なぜ佐久がケーキの街なのか?”を聞いてみました。

「それはですね、このあたりの気候が大きく関係しているんです。佐久平は昼と夜の気温差があるおかげで糖度の高い美味しい果物が採れるんですよ。うちもそうなんですが、地元で採れた果物を使ってケーキを作るお店が多いんです。それからもともと佐久は人口に対してお菓子屋さんの軒数が多いらしいんです。老舗の和菓子屋さんも結構あって、昔から腕のいい職人さんがたくさんいたんですね」
「なるほど~!地元の新鮮な素材を使って美味しいケーキを作っているお店が多いということなんですのね。ところでル・ポミエさんのケーキにはどういう果物が使われているんですの?」
「季節によって違いますが、いちご、木いちご、巨峰、カリン、桃、キウイ、洋ナシ、柿、リンゴ、栗などですね。これらはすべて裏にある果樹園で採れるんですよ」

 なんと!オーナーさんのご両親が育てていらっしゃる果物が季節ごとに使われているんだそうです。自家栽培の果物だからそれを食べるわたしたちにとっても安心ですわね。

並んだケーキを目の前にしばしおあずけ「キャラメルポワール」(360円)。洋ナシのコンポート&クリームとキャラメルムースを、ミルクチョコレートのムースが包み込むという贅沢なお味「佐久畑パフェ」(280円)。パフェというだけあってスポンジ、クリーム、ムース、その上にはフルーツと美味しいものがテンコ盛り!お子様にも大人気
「KYOHOU」(350円)。ワインとバルサミコを使ったちょっと大人な味。入っているのはもちろん自家栽培の巨峰「ノワゼット」(290円)。王道の美味しさといったお味の秘密はヘーゼルナッツ。上のさくさく部分がおいすぃ~!「カシス」(330円)。カシスのムースと浅間ベリーのコンフィをバニラムースで包み込んだという人気商品。甘酸っぱさがくせになる一品
中身がぎっしりの「マロンパイ」(230円)。モンブランでも使われる栗は従業員総出で剥くんだとか自家製りんごを使った「アップルパイ」(190円、安い!)りんごは時期によって使われる品種が違うそうで、この日は“フジ”クリスマスシーズン限定のシュトーレンは大中小の3種類。エイミーがお買い上げ

「いやぁよく食べましたね~。1、2、3……7、8!うわっ、わたしたち8個も食べちゃいましたよ」
「エイミー、これからもう1軒行きますわよ」
「どこにですか?」
「ケーキ屋さんに決まってますわ」
「まっ、まだ食べるんですか!?」
「ここからすぐのところにオススメの洋菓子屋さんがあるって、さっきオーナーさんが教えて下さったんですの」

食用ほおずきを試食させてもらいました。プチトマトとプラムを足して2で割った感じで想像以上の美味しさ!収穫を終えた木いちごの残りがひっそりと
お店の裏にある果樹園。今の季節は、春を待つイチゴの苗を見ることができました夕日が沈む頃、佐久平は一気に冷え込みます。この温度差が豊かな農作物を実らせるんですのね

 というわけで人生初のケーキ屋さんのハシゴ、その2軒目は佐久の老舗店和泉屋菓子店が洋菓子部門として8年前にオープンしたという「フォンティーヌ」さん。クリスマスムード一色の吹き抜けの広い店内は甘~い焼き菓子の香りでいっぱいでした。

天井が吹き抜けになっている広々としたフォンティーヌの店内「ガトーショコラ」(左、280円)、「チーズケーキ」(右、280円)、「イチゴのグラタン」(奥、300円)と、どれもリーズナブルなお値段フェルトで作ったプチバッグの中にはお菓子の詰め合わせ

「ここは2階がカフェスペースらしいんですのよ。そこにはカプチーノにかわいらしい絵を描いてくれる……えっと、なんていったっけ?えーと……バ、バリカンじゃなくって……」
「バリスタさん、ですね」
「そうそう!バリスタさんがいるらしいんですの。とにかくそのカプチーノを飲むですわ」

 らせん階段を上がった2階が「カフェ ラ・フォン」。もちろん下の階で作られたケーキを選んで食べることができますの。こちらのカフェの自慢は香り高いコーヒー。大町市にある有名なお店から自家焙煎した豆を仕入れているのでそのお味はお墨付き。美味しいケーキを本格的なコーヒーとともに頂けるというわけです。

最大60名収容のカフェ ラ・フォンではランチタイムにピザやサンドイッチなどの軽食もバリスタさんがカプチーノにラテアートをしてくださいます右の「スノーマン」(550円)はマシュマロを使った2010年1月末までのスペシャルドリンク。左は「カプチーノ」(480円)

「ふぅ。なんだか今日一日で1年分の甘いものを食べちゃった気がしますわ~」
「そうですね~。で、ゆきぴゅーさん、次回は何食べにいきます?」
「決まってますわ!辛いものですわ!」

佐久までのドライブルート
都内→関越自動車道→上信越自動車道 佐久ICまで約2時間30分。佐久ICから約5分

行ったところ
 どちらのお店も上越関越自動車道 佐久ICを降りて5分ほど。もちろん駐車場も完備なので信州佐久の菓子職人さんが作った美味しいケーキを求めてクリスマスドライブなんてのはいかがでしょうか。

「お菓子工房ル・ポミエ」http://www.le-pommier.jp/
ル・ポミエのカフェではケーキと飲み物のセットがなんと500円!このワンコインセット東京じゃ考えられません。
〒385-0022 長野県佐久市岩村田1356-3
電話:0267-67-0797
営業時間:9時30分~19時 火曜定休日

「菓子工房フォンティーヌ」http://www.izumiya-saku.co.jp/
落ち着いた雰囲気のフォンティーヌ。2階のカフェはまったりできてオススメです
〒385-0028 長野県佐久市佐久平駅東16-1
電話:0267-66-0088
営業時間:10時~19時 木曜定休日
(2階の「カフェ ラ・フォン」は12月23日、24日はお休み)


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このクルマでドライブしました!

アルファ ロメオ 147

赤といえばイタリアン・レッドのアルファ ロメオしかないでしょ、ということで、大きすぎず小さすぎない「147」をチョイス。10月にマイナーチェンジされたばかりだけど、お借りしたのはマイナーチェンジ前の「スポルティーバII」。と言っても、違いはホイールやミラー、ボディーカラーだけ。エンジンやサスペンションはアルファらしくエキサイティング!佐久までの2時間半はあっという間に過ぎました。

プロフィール

ゆきぴゅーゆきぴゅーおふぃしゃるほーむぺえじ
イラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”。長野でフツーのOLをしていたが何の因果か鬼畜デジカメライターの弟子(奴隷)となり2000年に上京。日々の過酷でセクハラな毎日を絵日記で綴っているうちに絵の道に目覚め、ついに2005年独立。以降あちこちでタダでごはんを食べながらポンチ絵画家としてのお気楽な人生を歩んでいる。


エイミー
女性カメラマン。カメラマンとして名を馳せるべくボスニアに戦場カメラマンとして渡るも、行った早々流れ弾に当たってしまいあえなく帰国。日本で消沈の日々を送っていたある日、インターネットでゆきぴゅーの存在を知り、そのあまりにもお気楽でテキトーな人生を歩む姿に一種の憧れを抱くようになっていった。そしてついにある日、1通のメールをゆきぴゅーのもとに送ったのだった。「一緒にお仕事しませんか?」


2009年 12月 9日