橋本洋平の“夢のガレージハウス”探訪記
モデリスタとヨドコウがコラボして作り上げた「ヨドガレージ ラヴィージュIII MODELLISTA×YODOKO」をチェック
2026年8月3日 06:00
モデリスタとヨドコウの出会い
みなさんは「モデリスタ」というブランドをご存知だろうか? トヨタ車に乗っている方々であれば、割と馴染み深いはずのこのブランドはトヨタカスタマイジング&ディベロップメントが保有するもので、トヨタ車のエアロパーツをはじめとする用品を展開している。最近ではライフスタイル拡張戦略なるものを開始し、トヨタマリンの特別仕様船を手がけてみたり、セイコーとスペシャル腕時計を制作するなど、異業種コラボの実績を重ねている。
そんな「モデリスタ」が次なる商品展開を考えたのがガレージだった。特別に仕立てた自分の愛車をショールームに入れるがごとく演出するために。はたまた、ガチに整備するピットとして使うのもアリだろうと。いずれにせよ、「モデリスタ」ならではのガレージ制作に取り組もうと模索をはじめた。けれども「モデリスタ」にはクルマのノウハウは多くあるもののガレージの知見はない。そこで異業種コラボのタッグとして組んだのがヨドコウこと淀川製鋼所だ。
ヨドコウはそもそも鋼板メーカーで、家電向けの塗装鋼板や建物の屋根や壁材などを手がけているが、いっぽうでヨド物置に代表されるエクステリア商品が存在する。そのエクステリア商品の中にわれわれクルマ好きには馴染み深いカーポートやガレージといった製品がラインアップされている。だが、「モデリスタ」がターゲットとするようなコアな自動車ユーザーに対しての訴求はできていないため、そこに期待したいと協業がスタートした。
「はじめは建築業界、エクステリア業界のリサーチを開始し、さまざまな展示会へと足を運びました。普段はなかなか見ない世界なので非常に刺激的で、クルマのデザインの仕事に戻っても役立ちそうだと思えましたね」と語るのは、トヨタカスタマイジング&デベロップメントの開発リーダーでありデザイナーの伊藤洋祐さん。普段は国内市場向けのモデリスタ用品のデザイン担当をしている。
みなさんも一度は見たことのありそうなアルヴェルのブルーに光るリアスポイラーは伊藤さんがデザインを担当したアイテム。賛否両論あるアイテムだと伊藤さんは言っていたが、あの製品のように業界に新風を巻き起こしている人物だ。そんな伊藤さんはガレージライフの実践者であり、ヨドコウの「ヨドガレージ ラヴィージュIII」を使い、クルマやバイクをいじる日々を続けている。
「じつは今回のガレージもヨドコウさんのラヴィージュIIIをベースにしています。クルマのエアロパーツ発想で外板部品を付け加え、見た目の刷新を図る初期案を複数提示。一方、当初は投資規模不透明に備え、デカールや色変えだけで終わらすような案も考えました。けれども、ヨドコウさん側から『事業チャンスとして予算をかけ、良いものを作りましょう』と前向きなお答えをいただき、現在の方向へと仕上げることになりました」。
クルマ好きの心を理解している唯一無二なガレージ
こうして仕上がったガレージのエクステリアは、コーナー処理に強いこだわりを感じる。化粧部材のマッドブラックの部分は、面と面の合わせをシャープに面取りし、意思のあるRを付与しているところが特徴的だ。チリやツラがきちんと揃った仕上がりをしており、精度良く収まっているところもポイント。ここはモデリスタのこだわりの1つで、エアロパーツに通じた考えが踏襲されている。
前面シャッター上部にはシンプルなスリットを採用し、昨今のクルマの「プレーン」なトレンドと呼応するように配慮。また、換気口としての機能も与えている。その片隅には「MODELLISTA by YODOKO」のヘアライン仕上げの質感高いエンブレムを掲げている。雨樋については必要不可欠なものだが、屋根は奥行方向に水勾配をとり、雨水を後方へと集約し樋へ流す構造としている。屋根化粧がフレームと一体となり、樋も配色を統一することで、それが目立たなくなっているところも美しい。
また、シャッター側面にはオプションのデザインライトが備えられ、間接照明の柔らかい光がガレージの意匠を引き立てるほか、夜間の入庫時に見切りが良いようにも配慮されているところが美しく使いやすい。隅々まできちんとデザインされ、クルマ好きの心をよく理解している唯一無二なガレージに仕上がった。
インテリアもこだわりが詰まっている。内装部材は側壁がシルバー、天井・後壁がスモークシルバーのAタイプと、側壁・後壁がシャンパンゴールド、天井が木目柄のコロラドブラウンのBタイプから選択可能なオプションを準備。そこにはグラスウールを裏貼りした断熱仕様にもすることが可能だ。いずれもヨドコウが一般建築向けに展開する金属化粧パネルを採用しており、不燃材なので車庫でも使用できる。天井にはシーリングライトを埋め込み可能な高さがある。この天井内張を貼ると梁とツライチになり、まるでショールームにいるかのような贅沢な空間が広がっていた。さらに、その気になれば補助ドアや引き戸、そして窓サッシなどを加えることも可能。電動シャッターのオプションも準備している。
ここまで豪華になると価格が気になるところ。ざっくりとした概算だが、今回のような2台収納タイプの場合、外装がおよそ200万円ちょっと、内装が150万円弱、基礎工事が100万円。そこに組み立て費用が加わり、およそ500万円前後といったところのようだ。施工業者の費用などにより価格は前後するため、あまりはっきりとした値段はお伝えできないとのことだったが、ビルトインガレージを作る場合、その倍以上の値段が母屋に加わるのが一般的。そこから考えればリーズナブルといえるのかもしれない。いずれにしても土地が必要になるのは当然ではあるが、とてつもなく夢物語というわけではなさそうだ。
そしてもう1つのハードルが建築物であるため、建ぺい率なども考慮しなければならないことだ。伊藤さんはガレージを建てる際、この建ぺい率をクリアするために自宅の方がわずかに坪数を少なくする必要に迫られたという。「上から見た時の図を見ると、ガレージの方が少し大きくなってしまい、妻からツッコミを受けました(笑)。実際のところは自宅は2階建てなので床面積は広いんですけれどね」とのこと。
中にはここまできちんと考えず、また建築確認申請(ちなみに母屋と別で出すとおよそ30万円ほど)もせずに建ててしまうパターンも世の中にはあるようだが、のちに固定資産税調査で引っかかりペナルティを払ったり、最悪の場合は取り壊し命令をくらうというパターンもあるようだ。
このようにガレージを建てるにはさまざまなハードルが存在するが、全国のヨド物置取扱店でそのあたりは相談に乗ってくれるようなので、気になる方々はぜひ訪れてみてほしい。













