カーグッズ・ミニレビュー

スマホで録画を確認できる70maiのSTARVIS2搭載ドラレコを試した 簡単取り付けで長期連休のドライブ準備にも◎
2025年4月28日 09:00
クルマとドライブレコーダーはもはや切っても切れないもの。かなり一般化してきた印象があり、すでに取り付けて5年以上たって買い替え時期という人も多いだろう。筆者もすでに何台か使っていて経年で故障も経験しているが、ちょうど買い替え時期だったので、最新のセンサーを搭載する機種を買ってみた。
ドラレコは消耗品で気づかないうちに役立たずになっている
筆者のクルマの1台に装着していたドライブレコーダーは、もはや購入時期を忘れてしまうほど古いもの。少なくとも3年、おそらく4年以上使っていたと思う。
ある日、終了時の音がしていないことに気づいた。どのドラレコも起動時と終了時に何か音がする。ところがいつのまにか終了時の音がしなくなっていた。そこで、microSDカードの中身を見ると映像は記録されているが、エンジンを切る最後の動画が残っていない。
どういうことかというと、本体内蔵バッテリが劣化か故障で使えなくなっており、クルマからの電源供給が絶たれた瞬間、終了処理ができずに最後のパートの動画ファイルが消失していたのだ。これは、事故の瞬間にエンジンが止まるなどしてドラレコへの電源供給が絶たれた場合に、事故の瞬間の記録がされないことになる。
そして、内蔵バッテリがないことで日時も毎回リセットされていた。GPSを搭載しない機種なので自分で時間を設定しないといけない。もはや内蔵バッテリが機能していないドラレコは大事なときには役立たず、ということになる。
前後カメラは必須条件。何か付加価値が欲しいと選んだのが70mai「A510」
そこで、早速買い替えを考えたのだが、とにかく安いタイプを選択する方法もある。しかし今回は後方にもカメラが欲しい。前後カメラで安いタイプも考えたが、ある程度の画質も備えていてほしいし、日時記録という点でGPS内蔵も条件。そして、せっかく買い替えるのなら何かプラスの機能が欲しい。そう考えた。
そうしているうちに、いつものCar Watchのサイトでセール情報としてドライブレコーダーが紹介されているのが目にとまり、調べ始めて結局、自分で購入したのが今回の70mai Dash Cam A510ということになる。
まず、注目した理由だが、70maiというブランド自体は以前から知っていた。あのシャオミが出資した会社であること、以前からWi-Fi機能を“ウリ”にしていたこと、そして当時注目された機種はディスプレイレスでスマホ操作が基本だったことなど。しかも、価格も魅力的だった。
全く知らないブランドではないことと、最近のドラレコ界でよく聞くSTARVISセンサーを搭載していることから画質は期待でき、Wi-Fi機能についても何年も継続しているので実用性も高いのではないかと感じた。そして、形状的に本体部分ががっちりとガラスに貼り付けられるタイプで、見た目の安心感がある。
70maiの製品ではさらに上のDash Cam A810もあるが価格帯が異なるし、下はWi-Fi接続があって6000円程度で購入できるDash Cam M310もあるが、リアカメラ非対応なのでパス。そのほかに同等機能でセンサーの世代が古いDash Cam Pro Plus+ A500sはかなりコストが抑えられるが、やはり新しいセンサーSTARVIS 2を試してみたいのでA510に落ち着いた。
価格的にもセールのタイミングなら他社の同クラス品よりも魅力的と判断、ポチったのだった。
取り付けは前後ウィンドウに貼るだけ
届いたA510の同梱物は本体のほか、必要なmicroSDカードやケーブルなどが入っている。前後カメラともガラスに貼り付けることになるが、両面テープなどがもう一度貼れるように入っているため、1回は貼り付けに失敗してもやり直すことができる。
このほかに貼り付け時には、貼り付け面をきれいにして脱脂するアルコールや、位置決めのためにマスキングテープを用意しておくとよい。ケーブルを内装の隙間に潜り込ませるための配線トリム工具が入っているが、内装のない軽トラックや軽バンといった質素なクルマの場合は、ケーブルを固定するクリップなども必要だ。
貼り付けは、先にガラスに静電ステッカーを貼り、そこにマウントを貼り、本体をはめ込む。カメラの角度は上下に回転するので調整できる。
電源はUSB電源アダプターとUSBケーブルを組み合わせて使う。フロントのケーブルは十分な長さがあるので短くて困ることはないだろう。
後方のカメラも同様に静電ステッカーを通してガラスに貼り付ける。後方カメラは静電ステッカーを通して映像を撮ることになる。リアガラスが開かないクルマ以外ではケーブルの取り回しが面倒だが、リアゲートとボディの間の蛇腹の中にケーブルを埋め込む際に便利なよう、カメラからのケーブルは細いコネクターで先端を分離できるようになっている。
どちらにしても視界を遮らないよう、そして、フロントの場合は保安基準に沿って取り付けが必要だ。A510の場合、本体の左側にカメラ部分が出っ張る構造になっている。左ハンドル車ならばカメラがクルマの中心近くになるように取り付けしやすいが、右ハンドルの場合はカメラが中心から左にずれてしまう。問題になるほどではないが、ミラー裏に設置した場合にmicroSDカードの取り出しなど、構造が反対になっていたらもう少し使いやすいのにと思ってしまう。
また、今回は「駐車監視ケーブル」は購入していない。常時電源を接続して駐車中の動作をさせるもので、電源確保のための配線が必要になる。今後、必要があれば導入しようと思っている。
画質ヨシ、夜間もヨシ
実際に取り付けて走行を開始し、撮れた映像を見るとくっきりと解像度の高い映像であることが分かる。
万一の際の記録という点では、前後のクルマのナンバーの判別性能が重要になるが、前方は10mほどに近づけば4桁の大きな数字は余裕で判別できる。3~4mほどになれば地域名表示やひらがなまでも完璧に判別できる。これなら広めの車間距離で停車した場合でも前のクルマのナンバーがはっきり読み取れるということになる。
一方、後方も解像度が高いのではあるが、筆者の軽バンのように高級品ではないフィルムを貼り付けている場合は判別度が低くなる。筆者のクルマの場合、ナンバーの4桁は3~4m程度から確認でき、全桁になるとさらに近くないと分かりにくい。
後方から衝突するような近さならきっとナンバーもドライバーも分かるので非常時は大丈夫だが、普段から画質を求めるならカメラ部分だけフィルムがないように工夫したほうがいいだろう。
A510で撮れる映像は、超広角レンズのカメラのように遠近がかなり強調されたものになる。レンズが広角でセンサーも小さいためやむを得ないのだが、カメラから離れればすぐに写りが小さくなる。実際には車間距離が詰まっていてもドラレコの映像ではかなり離れているようにも見えてしまう。その点は注意が必要だ。
夜間も同様に明るくはっきりくっきりと写っているが、ナンバープレートの判別性能は落ちる。前方の映像はこちら側からライトで照らしているため判別性能はあまり落ちない印象だが、後方の場合はこちらからライト照射がないばかりか、後方のクルマのヘッドライトが干渉するため、さらにナンバーは見にくくなる。この点はよく理解しておいたほうがいいだろう。
ADAS機能はオマケ的な機能だが、ないよりも便利
そして、A510はドラレコとしての映像記録のほか、撮影映像からのADASの機能もある。「スマートトラベル」をONにしておくと車線逸脱、先行車の発進、車間距離などを日本語で注意してくれる。
しかし、ONにしていると、先行車の発進の注意が頻繁すぎて煩わしいこともある。目の物体から離れた場合に注意がされるようで、間髪入れずに発進しても注意されることが多い。前向き駐車の駐車場から出る場合にバックしても先行車の注意が出てしまう。
また、車線逸脱は車線内で極端に端に寄れば「車線逸脱!」と注意が出る。正確に車幅を検知しているわけではないので、細い道の場合は連続して警告される場合もある。使っているうちにオオカミ少年になっては意味がないので、筆者は車間距離を注意する「車両全部衝突」以外はOFFにしてしまった。必要な場合は必要な機能だけONにできるので必要に応じて選んでほしい。今後、この機能の洗練に期待だ。
なお、ADASを利用する際は「校正」として走行映像から学習する必要がある。一定速度で数分間走行して車線などを読み取っていく。
スマートフォンからは、映像の確認や操作設定ができる
ドラレコというと、少ないボタンで設定しないといけないため、どうしても操作が面倒になってそのまましがちだ。映像の確認もドラレコの小さい画面では見にくいため、外部機器にメモリーカードを差し換える手間を考えると、一度付けたら万一の場合まで放置しがちになりやすい。
ところが、A510の場合はスマホで映像を確認できるため、何かあればすぐに映像を振り返ることが可能になる。しかも手元のスマホで確認でき、スマホに映像をダウンロードしてすぐ活用することもできる。
スマホ操作は事前にアプリのインストールと設定が必要になるが、一度行なってしまえばすぐに使うことができる。そして、映像を振り返るだけでなく走行中のリアルタイム映像を車内からスマホの画面で見ることもできる。
また、スマホ画面で設定ができる。あとから設定を変更することはあまりないかもしれないが、設定だけでなくファームウェアアップデートもスマートフォンからすぐできる。もし機能面で不具合があったとしても、後日修正されることも期待できそうだ。
ちなみに、Wi-Fi機能といってもドラレコから直接インターネットに接続して通信するわけではなく、スマホとの間でデータを高速転送するために使う。走行中のリアルタイム映像の伝送もWi-Fiがあってのこと。ドラレコがどこかのWi-Fiスポットに接続してインターネットに映像を配信するわけではない点は注意が必要だ。
高機能のドラレコであり、万一の対応も期待できる
ドラレコといっても使い始めて問題がなければ放置してしまうことが多いが、A510はスマホから走行映像をすぐ見ることができる。映像を確認しやすく、見返す頻度が上がれば故障や不具合に気づきやすく、今回、買い替えの発端であったような問題があっても早めの対処が期待できる。
いつやってくるか予測不能なアクシデントへの対応という点では、かなり有効な機能なのではないだろうか。
さらに、スマホから多くの操作や設定ができ、スマホでなんでもやりたい派には、なかなか便利なこのA510。あとは耐久性だがまだ買ったばかりで分からない。その点については70maiはこれまであまりひどい評価を目にしていないのと、正規販売店での購入は3年保証ということなので、おそらく無事に使うことができると思っている。