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抜群の存在感、装備も充実。藤島知子の日産「デイズ」魅力探報

デイズのある日常で感じた美点とは

 お洒落に乗りこなせるスモールカーとして、2013年に新登場した日産自動車「デイズ」。街で走らせやすいボディサイズ、それでいて室内は広く、大人でもスタイリッシュに乗りこなせる軽ハイトワゴンとして、累計販売台数は約43万台という人気のモデルに成長した。3月にフルモデルチェンジした2代目は、フレンドリーな表情の標準タイプのデイズのほかに、精悍さと上質さを併せ持つデイズ ハイウェイスターを設定。モノトーンや2トーンカラーを用意するほか、塗装がキレイに色映えするボディカラーがあったりと、周囲がパッと華やぐスタイリングは存在感も抜群。

 自分の生活にちょうどいいミニマムなクルマに乗り換える“ダウンサイジング化”の動きはしばらく続いていきそうだが、いまや日本で最も売れているのは軽自動車。昔の軽自動車は車両価格や維持費など経済性に優れ、生活圏を走るコミューターとしての役割が主体となっていたけれど、今では、一家に1台のファーストカーとして軽自動車が活躍する時代に。普段は街乗り、週末は郊外に遊びに行くというシーンでも活躍するようになった。今回は、デイズの自然吸気モデルとターボモデルをちょっと長めの期間お借りして、色んな道のりをドライブ。デイズが日常の傍らにあったらどんな風に向き合えるのか、探ってみることにした。

3月に2代目にフルモデルチェンジした軽自動車「デイズ」。自然吸気モデル、ターボモデルに乗ってデイズの美点を探った。なお、デイズでは自然吸気エンジン仕様、自然吸気エンジン+SM21モーターを組み合わせたS-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)仕様、ターボエンジン+SM21モーターのS-HYBRID仕様という3バリエーションを展開する
2WD仕様の「ハイウェイスター G ターボ プロパイロットエディション」(167万7500円)。ボディサイズは3395×1475×1640mm(全長×全幅×全高)。2代目デイズでは新プラットフォームを採用し、従来からエンジンルームスペースを65mm縮小。その65mmをホイールベースに充ててホイールベースは2495mmを確保
2WD仕様の「ハイウェイスター X プロパイロットエディション」(159万6100円)
デイズのエクステリアでは、厚みのあるボディやロングホイールベースによって信頼感のあるプロポーションを実現するとともに、Vモーショングリル、ブーメランランプ・シグニチャーによりひと目で日産車と分かるデザインが与えられた。両モデルとも足下は15インチアルミホイールにダンロップ「エナセーブ EC300+」(165/55R15)を装着
各モデルともソフトパッドや合皮を用いたシートが与えられた「プレミアムコンビネーションインテリア」(メーカーオプション)を採用
ステアリングの右側にあるブルーのスイッチで軽自動車初搭載の先進運転支援技術「プロパイロット」を起動させることができる。プロパイロットはアクセル、ブレーキ、ハンドルの操作をクルマがアシストするというもので、高速道路などの走行中に車間距離の維持、車線中央の維持をサポートしてくれる。写真右は大型の9インチナビゲーション
表示部とスイッチの一体化によって直感的なオペレーションを可能にした静電タッチパネルエアコン
プロパイロットエディションでは電動パーキングブレーキを標準装備。プロパイロットを使用した際に停止保持も行なってくれる
USBソケットはオプションで選択可能
インストルメントパネルを中心に配置した収納アイテム類。車検証入れはドアポケットに設定し、グローブボックスのスペースをフルに使えるようになっている。助手席シートアンダーボックスはグレード別で用意するほか、ティッシュボックスなどを収納できるシートアンダードローをディーラーオプションで設定
シート地は合皮/トリコット。前席では中折れ(スパイナルサポート)形状の背もたれパッドを採用することで上体をより広い範囲で支持し、長時間着座時の疲労を軽減するというゼログラビティシートを日産の軽自動車として初採用。また、先代モデルからホイールベースを伸長したことで後席ニールームは70mm増の710mmを確保し、「フーガ」並みの広さを実現したという
ラゲッジスペースは先代から荷室長を135mm伸ばして385mmを実現。2WD車では容量54Lの大型ラゲッジアンダーボックスを搭載し、A型ベビーカーも積み込めるようにした

数々の魅力的装備

 まずは、ターボエンジンを搭載した「ハイウェイスター Gターボ プロパイロットエディション」を借りて、自宅付近に駐車。昔ながらの機械式駐車場は対応する全高が1550mm。デイズの全高が1640mmであることを考えると、平置き駐車場に停めなきゃいけないという制約は生まれてしまう。とはいえ、軽自動車ならではのボディサイズは絶対的にコンパクトだし、直線的なフォルムは駐車枠に収める際に車両感覚が捉えやすい。

 また、狭い場所を走る際は車両周辺の障害物の状況を確認できるバックモニターや、自車を頭上から俯瞰して見下ろすような画像を見せてくれる「インテリジェント アラウンドビューモニター」も設定されているので、運転席からの死角に障害物があることに早い段階で気が付いて注意を払える。この機能を使うと、駐車の際に車両の傾き具合も分かりやすいので、運転に慣れているドライバーでも活用できる。

障害物の状況を確認できるバックモニターや、自車を頭上から俯瞰して見下ろすような画像を見せてくれる「インテリジェント アラウンドビューモニター」も設定

 翌朝は早朝から出かけることになったのだが、鉄板のカタマリであるクルマは冬場には相当に冷たくなる。オートエアコンの操作はタッチパネルで行なうという点では先代と同様だけど、タッチパネルをよく見ると、各操作部を仕切るための凹みが設けられていて、操作箇所が指先で把握しやすく、直感的に調整しやすいように配慮されている。さらに、寒い日に嬉しい装備といえばシートヒーター。運転席と助手席で利用できるようになっているけど、そもそもお洒落なファブリックシートは座り心地もいいものだし、エアコンの風がなかなか暖かくならない状況でも腰まわりをポカポカと温めてくれる。体が冷えやすい女性にとっては、この上ないおもてなしだと感じる。

寒冷地仕様の4WD車を選択すると前席シートヒーター、ヒーター付きドアミラーなどが標準装備になる(2WD車はオプション)

 このグレードはターボ車の最上級モデルということで、2WD仕様の価格は167万7500円。さらに安全装備やプレミアムなインテリアなど、数々のオプションを用意している。「軽としては立派すぎる金額では?」というツッコミを入れたくなるけど、予算を抑えたい場合は最もシンプルなデイズで129万円台から購入することも可能になっている。なおかつ、経済的=チープではなく、小さなクルマだからこそ欲しいドライブの安全をフォローする数々の最新機能が設定されているというのもデイズの凄いところ。

 例えばライトシステム。最近では、国が推奨するセーフティサポートカー(通称:サポカー)制度の発足を機にオートライトが普及しているが、デイズにはハイビームとロービームを自動で切り替えてくれるハイビームアシストや、夕暮れ時や雨天時にワイパーを動かすとヘッドライトを点灯する「インテリジェント オートライトシステム」が標準装備。

 また、衝突被害を軽減する踏み間違い衝突防止アシスト、前方のクルマや人を検知して衝突回避をアシストする「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」などを設定。さらには、軽自動車としては初めて「SOSコール」を設定した。これは車両の高精度な位置情報やセンサー情報を駆使して、事故や急病になった際にスイッチを押すと専門のオペレーターが音声通話で警察や消防との連携をサポートしてくれるというもので、万が一の事故の際には、SOSコールによりオペレーターからの安全確認が行なわれ、反応がない場合には通報してくれる。軽自動車という多くの人が手にするクルマにこうした機能が設定されることは喜ばしいことだ。まさに技術がドライブライフを支える日産らしい試みといえる。

登録車も含めて日産初となる先進事故自動通報システム(AACN)に該当する「SOSコール」(ヘルプネット)をオプション設定

高速道路の巡航時に活躍する「プロパイロット」

「いよいよ出発!」ということで、まずはお出かけに必要な荷物を載せてみることに。デイズは荷物が積み込みやすくなっている。キャリーケースを2つ積み込んでみたけれど、荷室に大きい荷物を積みたい時は、リアシートを前方にスライドすれば、後席に乗員が座れる状況を確保したまま荷室の奥行きを広く確保できる。スライドの操作レバーは背もたれの上部にあるので、リアゲート側からアレンジできるのも便利なところ。もっと荷物を積みたい時は背もたれを倒して荷室を拡大する方法もあるが、後席のスイングドアは足下が広く開けるから、リアシートの上や足下に荷物を置くという臨機応変な使い方もできる。

荷室に大きい荷物を積みたい時は、リアシートを前方にスライドすれば、後席に乗員が座れる状況を確保したまま荷室の奥行きを広く確保できる。スライドの操作レバーは背もたれの上部に用意
後席の広さは大きな魅力

 いざ、近所の一般道を走り出してみると、軽自動車ならではのコンパクトなボディサイズが運転のしやすさに結びついていることが身にしみて分かる。2車線道路の路肩に駐車車両が停まっている時、隣のレーンに併走するクルマがいても、2台の隙間をヒョイッとすり抜けて、スイスイ走っていける。ライトのスイッチをAUTOに合わせておけば、トンネルで片手を離してスイッチ操作を行なう手間も省けるし、その分、ハンドル操作に集中して走れる。

 また、イッキに車速を上げて流れに乗らなきゃいけない幹線道路や高速道路では、ターボエンジンが威力を発揮。アクセルを踏み込めば目標車速にスイッと到達してくれるレスポンスのよさが備わっている。普段は2.0リッターのターボ車に乗っている私でも、追い越し車線を走る時にいつもと違うストレスを感じにくいことに驚かされてしまった。新開発された660ccエンジンとS-HYBRIDと呼ばれるマイルドハイブリッドシステムの採用によって、低燃費と十分なパフォーマンスを発揮するあたりはお見事。

自然吸気の直列3気筒DOHC 0.66リッター「BR06」型エンジンは最高出力38kW(52PS)/6400rpm、最大トルク60Nm(6.1kgfm)/3600rpmを発生。ターボ付きの「BR06」型では47kW(64PS)/5600rpm、100Nm(10.2kgfm)2400-4000rpmとなる。2WD/自然吸気モデルのWLTCモード燃費は21.2km/L、2WD/ターボモデルは19.2km/L

 また、高速道路の巡航時に活躍してくれたのは「プロパイロット」。ハンドルにあるブルーのスイッチを押して車速を設定。さらに、前方を走行する車両との車間を維持しながら設定車速の範囲内で追従走行を行なうほか、車線内を維持して走る操舵支援も行なってくれる。これらの運転支援機能は、あくまでも運転の責任はドライバーにあり、常にハンドルに手を添えておく必要があるけれど、運転中に飲み物に手を伸ばしたり、同乗者と会話しながら移動するといった時に疲れにくい。運転の疲労が事故を招くと考えれば、プロパイロットは安全ドライブをフォローする効果が得られることに繋がると思う。

 そして有料道路の料金所に差しかかった時、「アレ?」と思ったのは、軽自動車の通行料が白ナンバーの乗用車よりも安いということ。伊豆縦貫道の料金所で普通車の200円を差し出したら、おつりを50円手渡されて驚いた。なるほど、立派に走るクルマでも、軽自動車のランニングコストってやっぱり経済的なのである。

自分のクルマの使い方に応じて自然吸気とターボから選べる

 山間の休憩所で編集部員と落ち合って、今度は自然吸気のモデルに乗り換えて走ってみることに。グレードは「ハイウェイスター X プロパイロットエディション」という仕様だけど、足下を見ると、これまで乗ってきたターボモデルと同じ165/55R15サイズのタイヤを装着。タイヤが同じとなれば、比較もしやすいというもの。そのルックスを見ると、自然吸気にもハイウェイスター仕様が設定されているとあって、装備がグレードダウンするようなこともナシ。自分のクルマの使い方に応じて、ターボか自然吸気か最適なパワーユニットを選べるようになっているのは嬉しい。

 スペックを見ると、ターボの最高出力は64PS、自然吸気は52PSと、10PSほどの違いはあるものの、実走行で感じる違いとしては、自然吸気はアクセルペダルを半開以上で踏み込むと加速する時に頭打ちを感じる。とはいえ、待てば車速が伸びていくので、先を急いでいなければ自然吸気で十分な走りが得られる印象だ。

 また、自然吸気にもS-HYBRIDが採用されているとあって、減速時にはリチウムイオンバッテリーに減速で得たエネルギーを溜め込み、加速する時はその電力でモーターを動かして走っていく。エンジンの力にモーターパワーが上乗せされるから、発進時や上り坂を駆け上るシーンでも想像していた以上にぐんぐん進んでいける感触を与えてくれた。重心が高めのクルマはこうしたシーンでフラツキがちなはずだけど、カーブを駆け抜ける時はじんわりと向きを変えてくれるので、イメージした走行ラインをたどりやすかった。

 伊豆スカイラインの道のりをゴキゲンで経由して、最後に目指すのは伊東市にある「菊間園みかん狩売店」。相模湾を望む丘の上にあるこのみかん農園は、11月のこの時期までは早生(わせ)みかんが美味しい時期。木々にたわわに実ったみかんをもぎ取って贅沢に頬張りながら、デイズのフレッシュなルーフカラーがこの景色にピッタリだなと思っていたのでした。

宇佐美海岸と亀石峠の中間地点の傾斜地にある菊間園。ここでは早生みかんのみかん狩りを楽しませていただいた。景観もよい菊間園の入園料(食べ放題)は大人500円、子供(3歳~小学生)400円
お持ち帰り(1kgあたり450円)したみかんをぶら下げることができるフックに利便性の高さを感じつつ、帰路に着いたのでした