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ビーウィズの「調音施工」と「プラチナボイス」を藤島知子が体感 音の専門メーカーが生み出すメニューは何が変わるのか?

藤島知子(手前)がプジョー「308」で音の専門メーカーが考える走行音静粛化プログラム「調音施工」と「BEWITH プラチナボイス」を、オーナーの林知美さん(奥)と一緒に体感してみました

走行時の不快なノイズや振動をピンポイントで抑え込む「調音施工」

 クルマで移動する時間は心地のいい車内環境に身を置きたい。気分に合わせてハイクオリティな音楽を楽しめたら最高……。そんなこだわりをもつみなさんに注目してほしいのが、世界で支持されている高級カーオーディオ専門メーカー「BEWITH(ビーウィズ)」が提案する2つの施工プログラムだ。

 1つは、走行時の不快なノイズや振動をピンポイントで抑え込む走行音静粛化プログラム「調音施工」で、走行時の騒音源となるロードノイズとエンジンルームからの透過音を抑制するというもの。ビーウィズが開発した遮音効果が期待できる“ADVANS調音シート”を貼り付けることで、不快なノイズを低減する効果が得られる。

ビーウィズのADVANS調音シート。約3年にわたる「調音施工」で蓄積したノウハウを投入し、設計厚9mmのAD-8CS(超静音特厚タイプ)と、設計厚7mmのAD-6CS(静音型厚口タイプ)の2モデルを開発している
2kHz以上の比較的高い周波数帯域を含む、より幅広い音域の走行騒音をバランスよく吸収するようにチューニングしたニトリルゴム発泡体による「半連続気泡構造吸音層」をベースに、従来比約2倍の厚さのアルミシートを投入して高い遮音性を実現する「肉厚アルミ遮音層」と、施工対象面への強固な追従性により不要振動を抑え込むブチルゴム製の「超強粘着制振層」を一体化させた独自の3層構造となっている
調音施工は主に4輪のホイールハウスやライニングの裏側とバルクヘッドまわりに施工する。車種によってはラゲッジスペースへの施工も推奨している。必ず実車に施工して効果を確認できた車種について商品化している

 この製品の開発・販売・施工を行なうビーウィズの代表を務める中島さんのお話によると、調音施工は最小のコストで最大の効果が得られる「調音」を行なうものだという。

 カーオーディオの世界では車体の内部まで手をかけるデッドニングという言葉を耳にすることがあるが、店舗によって技術力の違いがあったり、どこまで手をかけるかによって金額が不明瞭なケースもある。その点、調音施工は人の耳が不快に感じる周波数帯の音を効果的に低減できる箇所に的を絞って施工するもので、4輪のホイールハウスやライニングの裏側と、エンジンルームとキャビンの隔壁にあたるバルクヘッドまわりに施工するのが基本。

 ちなみに、EV(電気自動車)やハイブリッド車など、特にロードノイズが目立ちやすいクルマの場合はラゲッジルームに施工するプランも用意されている。いずれにしても、施工にまつわるコストが明瞭だ。そもそも、ビーウィズは高級オーディオを扱うメーカーということもあり、車内でいい音を聴いてもらうことを大切にしている会社。環境作りへのこだわりもひとしおだ。

ビーウィズ株式会社の代表取締役である中島敏晴氏にお話を伺った
取材でお邪魔したのは、木更津アウトレットの目の前に位置するフォーカル プラグ&プレイ本店(千葉県木更津市金田東1-38-5)。中島代表によると「試聴もできますので、気軽に足を運んでほしい」とのこと

 2つめの提案は、プジョー/シトロエンオーナーのために開発したプレミアムサウンドシステム「BEWITH Platinum Voice(プラチナボイス)」で、スピーカーユニットをボルトオン&カプラーオンで純正品から手軽に交換できるもの。ディーラーの店舗で注文できる製品でありながら、まるでオーディオ専門店にオーダーしたようなジャストフィットのサウンドが楽しめる。

 プジョー向けの製品は「5008」「3008」「2008」「208」「リフター」、シトロエンは「C5 エアクロス SUV」「C3」「ベルランゴ」に対応していたが、このたび待望のプジョー新型「308」、シトロエン新型「C4/Ë-C4」用のスピーカーユニットが追加されたという朗報が。そこで今回は、「308」のオーナーである林知美さんの愛車に調音施工とBEWITH プラチナボイスを施工してもらい、ノーマルの車両と施工後の変化を一緒に体感させていただくことになった。

手前がプレミアムサウンドシステムBEWITH プラチナボイスのスピーカー。奥が純正スピーカー。左からトゥイーター、フロントスピーカー、リアスピーカー
音質の決め手となるスピーカーユニットには、コンポーネント・カースピーカー「Reference AM(リファレンス エーエム)」シリーズの16.5cmウーファー「L-165R」を採用
フロント用スピーカーには、新世代プジョー&シトロエン車のために専用形状の深型バッフルボードを新たに設計。音を濁らせる不要共振を抑えるとともに長期間にわたる耐久性も確保できる高精度アルミダイキャスト製となっているほか、「PLUG&PLAY」のテーマカラーである「錆利休(さびりきゅう)」塗装仕上げとなっている
リア用スピーカーは、取り付け奥行寸法69mmの標準タイプと、リフターやベルランゴといった奥行きのないスペースに合わせた40mmの薄型タイプの2種類を独自に開発(写真は薄型タイプ)。リアスピーカーも合わせて交換すれば、後席の音の明瞭度がさらに向上する
2.5cmのドームトゥイーター「L-25R」を採用。純正交換タイプなので見た目に派手さはないが、サウンドの奥深さは大きく飛躍する

 取材でお邪魔したのは千葉県木更津市、ビーウィズが運営するFOCAL PLUG&PLAY STORE。交差点の対岸には日本最大規模のアウトレットモールが隣接する絶好のロケーションで、施工している間に買い物や食事を楽しめる。こちらの店舗は、ビーウィズが提案するオーディオや調音施工にまつわる相談ができるのはもちろん、施工を行なうピットを併設。お伺いしたときは調音施工の作業や販売店向けの製品を送り出す準備に追われていた。

 308オーナーの林さんと話してみると、知的でクルマ選びにこだわりをもち、ドライブ好きであることが伝わってくる。ドライブスポットにまつわるトークに花が咲いた。そんな彼女と一緒に、ビーウィズが提案する2つの施工がどんな体験をもたらしてくれるのか楽しみになってきた。

走行中の騒音が減ると自然と車内の会話もはずみ、女子トークも止まらない

効果は遮音性だけでなく、走行の質感にも好影響を寄与していた

藤島:林さんはどんなジャンルの音楽を楽しむのですか?

:そのときの気分に合わせてジャズ、クラシック、洋楽、邦楽といろんな曲を聴いています。308は手持ちのスマホとBluetoothで連携できるので、音楽アプリのプレイリストから選曲して再生します。

今回「調音施工」と「BEWITH プラチナボイス」を装着したプジョー308のオーナー林知美さん

藤島:ドライブで移り変わる景色に合わせて音楽を楽しむと盛り上がりますよね。プジョー308は内外装や走行に定評があるモデルですが、走行時の環境やスピーカーでどう変わるのか楽しみです。

 まずは、ノーマルのプジョー308で一般道をドライブしてみることに。車両は1.5リッターのディーゼルエンジン搭載車とあって、アイドリング時には音と振動でディーゼル車であることを伝えてくる。

藤島:ディーゼル仕様は豊かなトルクを発揮して、力強さが得られる点が魅力ですが、低回転時のコロコロとした音はそれなりに聞こえてきますね。

:そうですね。ロードノイズについては、荒れた路面に差し掛かると、目立ちやすい感じがします。

最初に何も施工されていないノーマル状態の308を試乗

藤島:このクッションが厚いシートはホールド性や座り心地はいいのですが、後席に座ると上下動の振動を拾うシーンがあります。

:スピーカーの音を試したいので、いつも聴いている曲を再生してみますね。

藤島:ノーマルのスピーカーの音質はそれほど悪くはないみたいだけれど、ロードノイズが大きい場所では音量を上げたくなってしまうかも。では、いったん店舗に戻り、これを基準に施工後にどう変わるかチェックしてみましょうか。

 施工している間にランチを楽しんだ後、調音施工と308用のスピーカーユニットを装着した308で同じルートを走ってみることに。走行前に308専用のプレミアムサウンドシステムが奏でる音をチェック。

オーナーの林知美さんと一緒に乗りながら施工有無の違いを確認してみました

:比較しやすいように、同じ曲を再生してみますね。

藤島: 「あっ……、もう違う!」

藤島:ヴォーカルの声のハリが明らかに違っていますね。

:まるで音に包みこまれているような感じがします。スピーカーの音質がよくなっているし、声も楽器も表現力が豊か。音楽にそれほど興味がない人でも違いが分かるレベルですね。

藤島:思い返せば、ノーマルのスピーカーは一部の場所から音を発していた感じだったのかも。このスピーカーは目の前でアーティストが演奏しているみたい。では、走り始めてみましょうか……。うわぁ、ディーゼル特有の音が遠くからかすかに聞こえるレベルになりましたね。

:ロードノイズも静かになっていますが、さっきと同じ荒れた路面を走ると、まるでアスファルトのキメが細かくなったかのような感触です。路面の継ぎ目では突き上げられる感じも少なくなっていますね。

藤島:本当だ。遮音性が調音施工の最大のメリットだと思っていたら、意外にも、乗り味がマイルドになったように感じますね。うれしいことに、フランス車に求める猫足感が増したような感じ。

遮音性だけでなく乗り味もマイルドになったように感じられ、効果に驚きです

:走行時の車内が静かになったので、会話もしやすいので、快適にドライブを楽しめますね。

 調音施工はバルクヘッドまわりと4つのホイールハウス周辺にシートを貼り付けただけなのに、ロードノイズを効果的に抑えているだけでなく、乗り味までマイルドに感じられた。代表の中島さんによれば、実際に調音施工されたお客さまからは「乗り心地がよくなった」とか、「足回りに何かしましたか?」という言葉が挙がるらしい。聴覚から入るビビリ音や共鳴音が収まると、いいサスペンションを入れたような足取りに感じられることがあるという。ちなみに、スポーツカーの場合、エキゾーストの音色がよくなったように感じる副次効果も得られる。

:同じ日に同じ道で乗り比べたのは初めての体験でしたが、同じクルマであるはずなのに、まるで別空間になった感じがしました。調音施工はアイドリングの段階で、本当に同じエンジンなのかと思えるほど、不快なノイズや振動が抑えられていて、快適性が高まりました。調音施工をした308に乗ってみると、それまでストレスを受けていたのだなと気づかされました。施工後はワンランク上のクルマに乗っている気分に変わったのと同時に、安心感と心地よさが増したようでした。

藤島:スピーカーについてはいかがでしたか?

:BEWITHのスピーカーに換えたら、音の重厚感が増したのと同時に、音に包まれるような感じがして、音は空間デザインの一環なのだなと気づかされました。人の感じ方はセンシティブなものです。そうした部分を改善していく仕事って素晴らしいですね。調音施工を含め、これほどクルマのクオリティが高まり、幸福度が増すことを考えると、価格以上にメリットが大きいと思います。みなさんにもぜひ体験してほしいと思いました。


 普段、プジョー308のハンドルを握る彼女だからこそ、施工前後の違いに驚いた様子。モータージャーナリストである私自身、308はノーマルの状態でも十分に素晴らしいクルマだと思っていたので、体験前はクルマ全体のバランスが崩れないかと思うところもあった。しかし、実際に体験してみると、Cセグメントのハッチバック車なのに高級車のようにストレスがなく快適に過ごせる空間が手に入り、クオリティの高い音楽を楽しめる。

 今回は308だったが、ミニバンのプジョー リフターやシトロエン ベルランゴ、SUVの5008のような家族で使うクルマに施工したら、みんなでメリットが得られるのではないかと思った。いずれにしても、量産メーカーではできない環境の追求や質の高い音といった付加価値をこだわり派のユーザーに届けるブランドとして魅力的だと感じた。

 聞くところによれば、取材した2023年6月現在、調音施工は木更津市のふるさと納税の返礼品としても選べるそうなので、この機会に利用してみてはいかがだろう。

前後スピーカー交換に4chデジタルパワーアンプとサウンドプロセッサを一体化したコンパクトなDSPプロセシングアンプを組み合わせると、究極のサウンド環境を実現する「BEWITH プラチナボイスフルシステム」となる。「DSPプロセシングアンプ」はすべて車両の状態に合わせてセッティングが施される受注生産品で、「BEWITHスピーカー専用モデル」と「純正スピーカー専用モデル」が用意されている
今回は最後に「BEWITH プラチナボイスフルシステム」をインストールしたプジョー「208」にも試乗してみたが、さすが個々の車体に合わせてセッティングを施しているだけあり、さらなる音の深みが感じられた。よりクオリティの高い音響を求めるならこちらをおススメしたい

Photo:堤晋一