トピック

ネクセンタイヤ「エヌブルー 4SEASON 2」、デビュー間もない新オールシーズンタイヤをオンロード&雪上でチェック!

ネクセンタイヤの新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4SEASON 2(エヌブルー フォーシーズン ツー)」をドライ&雪上で体験

ミシュラン・ジェネリックのネクセンタイヤ

 タイヤ会社として80年を超える歴史を持つネクセンは、1987年にミシュランタイヤ・コリアを仏ミシュラン社と設立し、made in KOREAのミシュランタイヤを製造して良いタイヤの作り方を学び、いわば「ミシュラン・ジェネリック」のポジションを得た。

 ほどなくその品質と性能を認められ、ドイツのプレミアムブランドをはじめ世界のメジャーな自動車メーカーにOEMタイヤを供給するようになり、ヨーロッパの有名自動車雑誌や機関のタイヤテストで高い評価を受けている。2000年には現在の「NEXEN TIRE」に社名を変更した。

 日本では、2017年にネクセンタイヤジャパンが始動するまでは、ほぼインターネットによる販売のみだったにもかかわらず、製品については安価ながら性能には定評があった。

 そんなネクセンには、「N-Blue 4Season」というオールシーズンタイヤがある。当初は欧州のみで販売されていたが、のちに日本市場にも投入されて好評を博している。

 ご参考までに、冬季に冬用タイヤ非装着だと由々しき事態になりかねないことから、2013年ごろからドイツではスタッドレス(日本で言うところのウィンタータイヤ)の販売も増加するとともに、夏タイヤの代わりとしてオールシーズンタイヤが爆発的に売れるようになった。

 しばらくして日本でもオールシーズンタイヤに目が向けられるようになった。オールシーズンタイヤのメリットとして、

①突然の降雪にも対応可能(慌ててチェーンを装着しなくても良い)
②タイヤの保管場所が不要
③シーズンごとのタイヤ交換が不要

 などが挙げられるが、浅雪路や除雪路の多い欧米では標準タイヤとして装着されることも多い。

 そのネクセンを代表するオールシーズンタイヤが最新世代に進化した。「欧州の四季を知るアクティブ・オールシーズンタイヤ」をキャッチコピーに掲げ、より高いスノー走破性(アイス除く)、ドライ&ウェット、高速安定性、ハンドリング、耐摩耗性能(夏タイヤとしての性能)を兼ね備えた、「N-BLUE 4SEASON 2」だ。

今回試したタイヤは10月16日より発売開始となったオールシーズンタイヤの新製品「N-BLUE 4SEASON 2」。16インチから19インチの計25サイズを展開する
「N-BLUE 4SEASON 2」は夏タイヤの性能に加え、雪上や凍結路面に対応する冬用タイヤの特性も備えた全天候型タイヤ
幅広い温度域に対応するコンパウンドを採用するとともに、タイヤパターンではアングルを付けた波型と超薄型カーフがウェット・スノー路面で高い効果を発揮。両側のショルダーブロックに施されたギザギザはスノー路面で効果的に駆動力を発生してくれる。また、従来品の「N BLUE 4Season」よりも耐摩耗性を向上させるとともに、摩耗が進むとジグザグブロックが現れ、摩耗後も雪上グリップを維持するという
「N-BLUE 4SEASON 2」ではオフロードや雪道での使用も可能なことを示す「M+S(マッド&スノー)マーク」が与えられるとともに、ASTM(米国試験材料協会)の公式試験で厳しい寒冷地でも十分な性能を発揮することが認められた「スノーフレークマーク」も刻印されている
サイズ一覧

サマータイヤと遜色なし

オンロードと雪上でその性能をたしかめた

 装着したのは205/60R16 96V エクストラロードで、サイドにはM+Sマークのほかスリーピークマウンテンスノーフレーク(3PMSF)マークが刻まれており、雪上性能が十分に確保されていることが期待できる。

 オールシーズンタイヤの原点である「サマータイヤの代替品」としての性能も、耐摩耗性を数値化したUTQG TREADWEARは、数字が大きければ大きいほど耐摩耗性に優れると思ってよいのだが、欧州で大定番となっているオールシーズンタイヤを上まわる「600」を達成しているというから大したもの。ロングライフの証であり、夏もガンガン走って大丈夫というわけだ。

タイヤの摩耗性能を示すUTQG TREADWEARは「600」

 実際に舗装路で乗ってみた印象はほとんどサマータイヤそのもので、腰砕けになる感じがない。ブロックにもケースにもしっかりとした剛性感があり、その感覚は記憶にある従来製品の「N-Blue 4Season」よりも高い。

 ステアリングの切り始めでセンター付近から応答する感覚もいくぶん高まっていて、サマータイヤと比べても遜色なく、大きく劣ることはない。この日はウェットを試せなかったが、このクラスでは贅沢にもコンパウンドにシリカをたっぷり使用していることからドライ性能とともにウェット性能にも自信があるという。

 タイヤが発する音については、舗装では注意深く確認するとサマータイヤと比べてやや大きめという印象もあったが、気になるほどではない。

舗装路で乗ってみた印象はほとんどサマータイヤそのもの

安定したトラクション

雪道での性能は?

「N-BLUE 4SEASON 2」になってより大きく進化したのは、舗装路での性能なのかと最初は思ったほどだったのだが、雪道を走ってさらに進化の大きさを確認できた。長野県の山あいのスキー場が点在するあたりの上り勾配とカーブが連なる道を走ってみて印象的だったのは、ずっと安定したトラクションが得られることだ。

 少しでも危険を感じたらいつでもすぐ引き返すことを念頭に置きつつ走ったのだが、思ったよりも路面にグリップする感覚が高く、下り勾配でのブレーキングでも姿勢を崩すことなくしっかり止まってくれる。おかげで安心して先へ進むことができた。

 従来品よりもステアリングの手応えがいくぶん増したように感じられたのは、それだけグリップが高まったからだろう。舗装路でも感じた応答遅れのない感覚を、雪上でも感じ取ることができた。

 ところどころ微妙に凍結していたのか多少空転して、もしスタッドレスだったらもう少し大丈夫だったかもしれないと感じた箇所はあったものの、全体としてはオールシーズンタイヤとして求められる雪上性能は十分すぎるほど満たしているように思えた。

雪道では想像以上に路面にグリップする感覚が高い

 日常のアシとしてはもちろん、ドライブが好きで季節を問わず1年を通してクルマでお出かけしたいという人にとって、舗装路を不満なく走れて多少の雪でもそのまま安全に走れるオールシーズンタイヤというのはとてもありがたい存在に違いない。

 とはいえ大きな出費はできるだけ避けたいというのはみんな同じ。欧米のメジャーな商品は高くてなかなか手が出ないので、もう少しお買い得な製品があるとよいのにと思っている人は大勢いるはずで、このところ自動車関連用品の価格が軒並み値上がりしているのでなおのことだ。

 それでもタイヤ選びで失敗はしたくない。その点、最新モデルの「N-BLUE 4SEASON 2」なら、舗装路での性能と雪道での性能をバランスよく兼ね備えていて、しかも価格がずっと控えめだ。ネクセンタイヤのことはあまりよく知らないけど、性能が「ちゃんとしてる」ならぜひ使ってみたい、という人も少なくないことだろう。

「N-BLUE 4SEASON 2」は舗装路での性能と雪道での性能をバランスよく兼ね備えていると感じた

 オールシーズンタイヤを探していて、ブランドに関係なく良いものが欲しくて、できるだけ賢い買い物をしたいと思っている人にとって、「N-BLUE 4SEASON 2」はまさしくその思いを叶えてくれるかなりの有力候補となりそうだ。

Photo:宮門秀行