トピック

ネクセンタイヤのオールシーズンタイヤ「N BLUE 4Season(エヌブルー 4シーズン)」、ドライ路面&雪上で試す

ADAC(ドイツ自動車連盟)が行なったオールシーズンタイヤテストで1位の評価

 北国から雪の便りがちらほら届くころになると、非降雪地域在住の私たちが毎年のようにつぶやく言葉が「タイヤどうしよう?」。

 そんなにたくさんの雪が降るわけではないけれど、近年は異常気象でいきなり関東でもドカ雪が降ったりすることもあり、冬タイヤに履き替えておきたい気持ちはある。でもスタッドレスタイヤは高額だし、休日ともなると販売店は混み合っていて、交換だけでも待ち時間が長くかかったり、外した夏タイヤを運んで保管場所を確保したりと、考えただけでもゲンナリするのがタイヤ交換だ。それを、ワンシーズンに1~2回降る雪のためにやるのか? もちろん本来ならやるべきなのだけれど、育児や家事に追われる毎日では、なかなか重い腰が上がらない。そしてまた「タイヤどうしよう?」の繰り返しだ。

 もし、休日ごとにウインタースポーツに出かけるようなこともなく、日常での急な雪に備えたいのならば、オールシーズンタイヤを選ぶという手もある。一般道や高速道路を快適に走れる夏タイヤとしての十分な性能がありながら、突然の降雪時にも対応できる冬タイヤとしての性能をあわせ持つため、1年を通じて履いたまま走ることができるオールシーズンタイヤ。とくに10年ほど前から欧州での需要が大きくなっており、近年は日本でも非降雪地域での新しい選択肢として注目されている。

 子育てファミリーの中には、スタッドレスタイヤに高いお金をかけるよりも、その分を子供のために使いたいから、「雪が降ったらクルマは乗らない」と決めているという人もいる。でも、子供が夜中に高熱を出して病院に連れて行きたいのに、雪が降っていたら? 大事な受験の朝に雪が降って駅まで送れなかったら? そうした万が一のことを考えたら、やはり備えておくべきではないだろうか。

 では、どのオールシーズンタイヤを選べばよいのかと考えたときに、困るのはまだ日本で絶大な支持を得ているブランドというのがほとんどないこと。有名メーカーを選べばよいという保証もなく、決め手に欠けてなかなか踏み切れないところもある。

 そこで今回は、オールシーズンタイヤの先進国ともいえるドイツで高い評価を得ているブランドを探してみた。すると、ADAC(ドイツ自動車連盟)が2018年に行なったオールシーズンタイヤテストにおいて、第1位の評価を獲得していたのがネクセンタイヤ「N BLUE 4Season」だ。評価項目はドライ、ウェット、スノー、アイス、燃費や摩耗、ノイズと多岐にわたり、総合的に高い評価を叩き出している。


N BLUE 4SeasonがドイツADACのタイヤテストにて高い評価を獲得

https://www.nexentire.com/jp/media/news/1261214_8004.php


今回試したのはネクセンタイヤのオールシーズンタイヤ「N BLUE 4Season(エヌブルー 4シーズン)」。オールシーズンタイヤは夏用タイヤと冬用タイヤ双方の特性を備えた全天候型タイヤ。突然の降雪でもチェーンを装着しなくて済み、保管場所やシーズンごとのタイヤ交換が不要といったメリットが挙げられる。ただし過酷な積雪や凍結路を走行する場合はスタッドレスタイヤの使用を推奨している
N BLUE 4Seasonはウェット性能に加え、浅い雪道やシャーベット路面の走行にも配慮したトレッドパターンを採用。ディレクショナルパターンの「V-Typeグルーブ」を配し、耐アクアプレーニング性能とシャーベット状の雪上性能を向上させた。また、3Dサイプのバランスのとれたブロック剛性により、スノートラクションとドライ路面で安定したグリップを発揮。トレッドセンター部のサマーサイプとショルダー部の3Dウィンターサイプの組み合わせにより、全天候下で高いパフォーマンスを提供する
泥道などのオフロードだけでなく雪道での使用も可能であることを示す「M+S(マッド&スノー)マーク」に加え、世界最大の民間の標準化規格設定機関であるASTMの公式試験で厳しい寒冷地でも十分な性能を発揮することを認証された「スノーフレークマーク」も刻印される

 日本ではまだあまり知られていないネクセンタイヤだが、タイヤメーカーとして80年以上の歴史があり、1987年にはミシュランタイヤ・コリアとしてmade in KOREAのミシュランタイヤを生産していた。高品質を求める世界中の自動車メーカーに新車装着タイヤを供給しながら、よいタイヤ作りのノウハウを積み上げてきた、韓国発のグローバルタイヤメーカーだ。私もネクセンのタイヤを体験するのは初めてで、せっかくならロングドライブで実力を試したいと、雪景色の長野を目指した。

シャーベット状の雪道でも頼もしいパフォーマンス

トヨタ「ルーミー」にN BLUE 4Seasonを履かせてさまざまな路面で試してみた

 ドライブの相棒はトヨタ「ルーミー」。コンパクトながら両側スライドドアで使いやすく、広大な室内空間を持つファミリーカーとしても人気のモデルだ。ただし運転席に座ると、ブラックを基調としたシックなインテリアと身体にほどよくフィットするシートで、ドライバーの操作性もしっかり考えられていることが分かる。子育てファミリーにも便利な前後左右に移動できるウォークスルー、最大240mmのロングスライドが可能な後席、多数の収納スペースを備え、視界も広々としていて運転が楽しみになってくる空間だ。そんなルーミーとN BLUE 4Seasonの組み合わせは、どんな走りを見せてくれるのだろうか。

 まずはドライ路面を走り出すと、1.0リッターターボエンジンはひと踏みめから元気よく、街中のストップ&ゴーも軽快。カーブでは思いのほかガッシリとした剛性感があって、広大な室内空間の存在を忘れてドライブに没頭できるのがうれしい。

 これまでのオールシーズンタイヤでは、ドライ路面でノイズが大きめに感じることもあり、チェックしたいポイントの1つだったが、N BLUE 4Seasonは夏タイヤとほとんど同じくらいで、不快なノイズは気にならない。後席の人との会話も弾み、楽しいドライブの予感がする。

 高速道路に入ると、多少のノイズは増える気がするものの、風切り音の方が大きいと感じる。感心したのはステアリングから伝わる、路面への確かな接地感と安定した手応え。速度が上がってもふらつくようなことがなく、落ち着いた挙動でリラックスして走ることができる。インターチェンジを出るときに、下りながらの急カーブといった緊張感が高まるシーンもあったが、ブレーキでの減速コントロールがしやすいことも安心できたポイントだ。これならオールシーズンタイヤだと言われなければ夏タイヤだと思って違和感なく走れると感じた。

ドライ路面でのノイズは気になるレベルでなく、後席の人との会話も楽しめた

 長野の山々はすっかり白く覆われ、幹線道路は除雪されていてもところどころに雪が残っている。踏み固められて凍っている部分がチラホラ見えるような状況に、最初は少し身構えて運転していたのだが、滑ったり止まらなかったりといった不安になるような挙動はまったくなく、しっかり走ってくれることが分かって肩の力もゆるんできた。あらゆる路面に安定したグリップを生み出す接地形状を持つ、N BLUE 4Seasonの実力が顔を出し始めたようだ。

取材時の長野の市街地。ところどころに雪が残り、一部凍結しているような状況

 せっかくなので山を上ってみようと、ワインディング路に入っていく。少しでもヒヤリとするようなことがあればすぐに引き返すつもりだったが、発進で空転するようなこともなく、ガッシリとスノー路面を捉えて進んでくれる感覚がある。ブレーキを踏んでみてもしっかりと減速するフィーリングがあって、安心して走ることができた。これはN BLUE 4Seasonの「マルチシーズンサイプ」の効果だろう。トレッドセンター部には雪や氷に強い3Dウィンターサイプを配置し、ショルダー部にドライ路面に強いサマーサイプを配置するコンビネーションで、雪道でのトラクションやコーナリング性能に威力を発揮する。高い排水性能を持つV-Typeグループによって、シャーベット状の雪道でも頼もしいパフォーマンスを得ることができるという。

雪の残るワインディング路でも路面を捉えて進んでくれる

 おかげで、かなり山を上ったところで野生の猿に出くわしたり、多くのプレーヤーで賑わうスキー場を横目に見ながら、冬ならではのドライブを楽しむことができた。正直なところ、オールシーズンタイヤでここまで山の上に来られるとは思っていなかったので、さすがドイツでの高評価はホンモノだ。N BLUE 4Seasonには冬道を走れることを示す「M+S(マッド&スノー)」マークに加えて、欧州最大の標準化・規格設定機関が定める「スノーフレークマーク」も刻印されており、日本では高速道路の冬用タイヤ規制/チェーン規制でも走行可能となっている。

M+S、スノーフレークマークが刻印されるだけあって、思った以上の雪上性能を体験できた

 これなら旅行に出かけて泊まっている間に急な雪が降ったとしても、慌てずに帰ってくることができる。無理して夏タイヤで帰ろうとしてぶつけてしまったり、途中で冬タイヤ規制がかかって足止めされたりするようなことがあれば、かえってお財布的にも精神的にも痛いのではないだろうか。今回のドライブで、そうしたリスクや不安がないことが一番なのだと、あらためて実感した。

 夏用タイヤと冬用タイヤの両方を買わなくてよくなり、年に2回の面倒なタイヤ交換もなくなり、マンションなどで困る保管場所もいらないと、いいことずくめ。家族との毎日を安心して過ごしつつ、レジャーやドライブでの思い出づくりを季節問わずに楽しむなら、ブランドだけで選ぶのではなく聞きなれないブランドであっても性能が高いオールシーズンタイヤを選ぶべきである。

Photo:堤晋一