はじめまして。モータージャーナリストの先川知香です。私は普段、愛車のトヨタ「86」でパイオニア カロッツェリアの「楽ナビ」を使っているのですが、今回はそんな楽ナビが新しく生まれ変わったそう。Car Watchさんからレビューのお話をいただいたので、早速使わせていただきました。開通したばかりの新東名も走ってみたので、そのあたりも含めてレポートさせていただきます。

個人的にも愛用中の楽ナビ、その最新モデルを試してきました

画面が見やすくメニューも分かりやすく!!

用意されたデモカーは日産セレナで、今回登場した楽ナビの中でも大画面8V型モニターを持った「AVIC-RL910」というモデルが装着されていました。たった1インチの違いでもずいぶん画面が大きくなったように見えますね。早速エンジンをかけて新しくなった楽ナビを起動させてみると、旧型の楽ナビを使用している私は、大きさだけではない画面の見やすさの違いに驚きを隠せませんでした。

まず、私の楽ナビと比べて、光の反射による画面への無駄な映り込みがほとんど気になりません。実際には映り込みがないわけではないのですが、高透過の静電容量式タッチパネルと高輝度LEDバックライトを組み合わせたおかげで、明るくてコントラストが強い印象になっています。おかげで映り込みが気にならず、画面をはっきりくっきりと見ることができるのです。この日は小雨が降ったり時々青空がのぞいたりとコロコロ変わる天気だったのですが、陽が差すようなシチュエーションでも変わらず、映り込みは気になりませんでした。

日中でも斜めからでも画面がはっきりくっきりとよく見えます。写真で撮ってもこのとおり。画面はハメコミ合成じゃないですよ

それに画面に表示される地図がとってもきれい。HD画質の解像度ということで、私が今使っている楽ナビのVGA画質と比べて2.4倍も高解像度なんだそうです。パッとした見た目は似ているのですが、地図の表示のきめ細やかさが全然違って、まるでスマホの地図を見ているみたい。なんだか私の楽ナビがずいぶん古いもののように感じてしまいます。

そして、メニューまわりも私の楽ナビとは大きく変わっていました。これまではメニューボタンを押すとナビ関連のメニューが表示され、そこからAVメニューに行ったり、設定メニューに行ったり、という使い方でしたが、新しい楽ナビでは、ホームボタンを押すと、画面右側には目的地検索のメニュー、画面左側にはAVメニューが、真ん中には再生中のAVソースが表示される形になっています。

さらに表示されるメニューは状況によって変更可能! 目的地検索のメニューは自分がよく使う検索方法を3つ選んで表示できるし、AVメニューは、現在使用できるソースのみが自動的に表示されるので、無駄がありません。

私の楽ナビだと、メニューを押すと8つの検索メニューが表示されるんですが、自分の選びたいメニューがどこにあるのか一瞬迷ったり、メニューを押し間違えたりすることがあるので、自分の使用頻度の高いメニューを選んで表示できるというのはいいですね。私なら「住所」「マルチワード検索」「電話番号」の3つにしたいです。

新しくなったインターフェイス。ホーム画面からナビメニューやAVメニューにアクセスできます

ホーム画面右側にはナビメニューとして3つの選択肢を表示

ホーム画面に表示するナビメニューは好みのものが選べます

ナビメニューを変えてみた状態。上の画面と比べてみると右側のナビメニューが変わっているのが分かります

ホームメニュー左側がAVメニュー。現在はUSBメディアを挿している状態

USBメディアを抜くとUSBの選択肢がなくなりました。選べないソースは選択肢から自動で外れます

ドライバーの好みで表示を変えられるのが「ターゲットインターフェース」と呼ばれるこの新しいインターフェース。実はいまご紹介した「おすすめモード」の他に「カンタンモード」という表示モードもあって、こちらだともっとアイコンも大きく説明も具体的で、目的のメニューを選ぶのに、タッチする回数は増えますが、初めて使う人でも迷わない画面レイアウトになっています。さらに地図表示も文字が大きくなるなど工夫されていて、誰でも操作しやすい形になっていました。

ホームボタンを押してアプリを選ぶ感じとか、自分の好みにカスタマイズできるところは、スマホみたいで使い方に悩むことはありません!

表示モードは「おすすめモード」のほかに、より分かりやすさを重視した「カンタンモード」も選べます

カンタンモードのホームメニュー画面

スマホみたいといえば、文字入力や地図の操作方法についてもスマホのようになっていました。「マルチワード検索」では文字のフリック入力にも対応していますし、地図画面ではピンチ操作でのスケール変更やフリック操作での地図スクロールにも対応。スマホに慣れた世代にとっても自然に扱える操作感になっていました。

「マルチワード検索」ではフリック入力もできました

マルチワード検索では、目的地の正式な名称が分からなくても、部分的な名前を合わせて検索できます

スマホのようにピンチインやピンチアウトで地図スケールの切り替えができます

フリック操作で素早く地図をスクロールすることもできます

いざ出発!! ルート案内はいかに?

そしてルート案内を開始すると、一般道のルートは緑色、高速道路は青色と、いつも使っている楽ナビと同じような見慣れた案内画面が立ち上がります。しかし、なぜか画面に表示されている地図が、以前よりもなんとなくシンプルですっきりしたような気が。「新しくなって進化した楽ナビ」と聞くと、情報量が増えてゴチャゴチャしているかと思っていただけに、これは意外な印象でした。

実はこれ、HDパネルの採用に合わせて、そこに表示する地図もHD解像度に最適化して作り直したそうです。ルートの色などは従来の楽ナビと同様なので使い勝手に違和感はありませんが、地図の色味とかフォントの装飾、サイズなどを変えることですっきりと見えるようになっていたのです。

しかも実際に走り出してみると、このすっきりとした地図が運転中には見やすくてビックリ!! それでいてきちんと欲しい情報は分かりやすく表示されているので、次の案内地点なども分かりやすく、私の楽ナビより明らかに選択するべきルートの判断がしやすくなっていました。

走り始めてみると、すっきりとした地図ですが、ちゃんと欲しい情報が読み取れる使い勝手のよさを実感

地図画面。文字が細身になってすっきりとした印象。でも文字の縁取りや配色のおかげでしっかりと情報が読み取れるように工夫されています

こちらはカンタンモードの地図画面。地名などの文字が大きく表示されます

すっきり見える地図ですがランドマークとなる建物はしっかりと表現

東京駅前に行ってみると東京駅舎がしっかりと3Dで表現されていました

とはいっても、地図がシンプルに感じたのは私の視覚的感覚だけで、たとえばコンビニのアイコンには駐車場があることを示す情報が入っていたり、ガソリンスタンドが営業中かどうかといった情報も入っていたりと、実は情報量は増えているそう。

この細かい情報がクルマでの移動にはかなり便利で、 今までだとコンビニに行っても駐車場がなくて入れないなんてこともあって、最終的にはスマホで「コンビニ 駐車場」と検索していたので、ひと目で駐車場のあるコンビニを見つけられるのはスゴく助かります。

実際に使ってみても、同じ楽ナビなのにいつもより分岐の選択が分かりやすくなっていて、迷うことはありません。カーナビは、運転しながら見るという特性上、瞬時の判断力が求められますが、そうした状況でのこのすっきりとした地図表示は、ナビ画面を確認してから「考える」という負担が明らかに減っていて、使いやすさや見やすさにつながるという新しい発見がありました。しかも、実は情報量は増えているなんて、文句のつけ所がありません。

また、地図をただシンプルに見えるように工夫をするのではなく、例えば高速道路の分岐では、路面の模様や色など細かいディテールまでリアルに再現し、選択すべき方向の標識のみを明るく表示するなど、それぞれのシーンに応じて、視覚的により分かりやすく案内表示をしてくれています。

この細かい地図表示の使い分けがとても直感的で、見るだけで考えなくても目的地にたどり着けるカーナビを実現していました。

一般道での交差点拡大表示。シンプルな中にも目印となるコンビニなどが分かりやすく表示されます

上の拡大案内の状態から拡大表示を閉じたり、画面左側のサイドキーをOFFにするといったこともできます

こちらは青色看板の表示状態。選ぶべき車線が緑色で表示され直感的に判断できます

こちらは高速道路での分岐の案内。色分けされた路面も表現され、案内看板は選ぶべき方向のものを明るく表示するので一目瞭然

大橋JCT(ジャンクション)の分岐の案内画面。右側の道には赤黒のゼブラが描かれていました

これが実際の写真。たしかに赤黒ゼブラになっています

新しい道もカーナビになければ使えない

私の中で、今使っている楽ナビでの問題点が地図が古いということ。といっても3年前のモデルなのでそんなに古いというわけではないんですが、それでも新しい道路は日本中でどんどんできていて、ナビに入っている地図が追いついていないのが現状です。日本中あちこち走っていると、こんなにも新しい道ができているのかと驚かされます。ですがこの点も新しい楽ナビなら大丈夫! 購入時から、2019年の最新地図データが収録されていて、今回も新しく開通した新東名の伊勢原JCT(ジャンクション)から海老名南JCTの区間を通る新江ノ島水族館を目的地に設定してみたのですが、開通したばかりの新東名の新区間が問題なく案内ルートに組み込まれていました。

秦野中井IC(インターチェンジ)付近から新江ノ島水族館を目指すルートを検索すると、開通したての新東名を通るルートを引いてくれました

2019年のゴールデンウイークの10連休、高速道路を管理するNEXCO東日本(東日本高速道路)は、この新東名の伊勢原~海老名南間など、新しい道路が開通し、ダブルネットワークになったことで、渋滞は減少傾向との予想を立てていましたが実際には東名が大渋滞になりました。

実際、ゴールデンウィークに東名高速で大渋滞に巻き込まれたという方も多いのではないでしょうか。この時も新しく開通した新東名 伊勢原~海老名南間を使えばその分渋滞は回避できたのです。実際、Car Watch編集部のスタッフは、今年のゴールデンウィーク期間中、5月2日の東名下りで秦野中井IC付近を先頭にした渋滞のところ、この新東名では伊勢原JCTで東名に合流する直前までまったく渋滞にはまらなかったとのこと。

なのになぜ皆さんがその道を使わなかったのかと言うと、現在市場で使われているカーナビの多くに新しい道が反映されていなかったことが原因の1つと言われています。やはり皆さん、カーナビが案内するルートを無条件で走りますもんね。

新しい楽ナビ(AVIC-RL910、AVIC-RW910、AVIC-RZ910の場合)では、2019年の最新地図が収録されているので、こうした渋滞を回避できる新ルートも案内できます。さらに2022年4月までのマップデータ更新が無料で付いてくるので、最大3年間は最新のマップでドライブが楽しむことが可能です。今は2020年の東京オリンピックに向けて新しい道路がどんどん作られている最中なので、2022年までの地図更新があれば、これからできる新しい道路にも対応できます。

新しくできた伊勢原JCTの案内看板。左が新東名のルートで案内看板では圏央道 茅ヶ崎となっていますが、圏央道 八王子方面にも行くことができます。このルートを使うと渋滞を回避できるかもしれないんですね

こちらが楽ナビのナビ画面。左側にしっかりと伊勢原JCTの文字が表示されています

伊勢原JCTの100m手前。ちゃんと拡大での案内も表示されます

実際の伊勢原JCT。この日も左の新東名ルートに行くクルマはあまりいませんでした

ほとんどクルマのいない新東名を抜けて海老名南JCTに到着。ご覧のとおり圏央道を八王子方面にも行けるので海老名JCT渋滞時には迂回ルートにできます

もちろん楽ナビでは海老名南JCTから圏央道に入る案内もされます

途中、渋滞を考慮したオートリルートがかかりました。一般的なカーナビよりも豊富な渋滞情報を利用できるという基本性能の高さもさすが

私もそうなのですが、道に詳しい訳ではないからナビを使用しているので、新区間が開通したと言われても、カーナビのルート案内で表示されていない道を使うには勇気がいるもの。いくらその区間を利用すれば時間が短縮できると言われても、迷っては元も子もありません。

そのためカーナビで一番大事なポイントは地図が最新であることだと思うのですが、新しい楽ナビは、そのポイントを最新の地図データと長期間の無料更新という形でクリアしてくれました。

こちらは新東名の途中にある厚木南ICの様子

複雑なICもしっかりと拡大表示で案内してくれます

2020年度には大きく変わる道路事情。楽ナビは2022年まで対応

新型楽ナビでは、2019年春版の最新地図を収録している。この地図には今回も通行した新東名 厚木南IC~伊勢原JCTが収録されているほか、同じく3月17日に開通した新名神 新四日市JCT~亀山西JCTなど、多くの新規道路が収録される。

新型楽ナビが収録する2019年春版の最新地図データに入っている新規開通道路

新名神 新四日市JCT~亀山西JCTにおいては、開通1か月での交通量は4万4100台/日。並行する東名阪自動車道は渋滞の多発スポットだったが、交通量は3割減、渋滞回数も大幅に減少している。

一方で、今回走った新東名 厚木南IC~伊勢原JCTの交通量は、開通1か月の状況において、1日約1.1万台と決して多くはない。これは伊勢原JCTの案内看板表示が、新東名の行き先として圏央道の茅ヶ崎方面のみの表示となっているのも要因の1つだろう。もともと海老名JCTから圏央道 茅ヶ崎方面への利用者は全体の4%程度と少なかった。

しかし東名の大和トンネルを先頭にした上りの渋滞は、2018年8月の平均で16kmとなっており、これは海老名JCTを過ぎて伊勢原JCTにまでおよぶ。つまり圏央道 八王子方面の利用者にとっても、今回の新東名はこの渋滞を回避できるルートとなり得る。しかし前述のとおり案内看板だけでは新東名から八王子方面に行けるという判断ができず、道を知っている人か、新型楽ナビのように、この新ルートが収録されいて、かつ渋滞オートリルートの機能を持つカーナビを持っている人だけの選択肢となるだろう。

なお、現時点でこそ利用者の少ないこの新東名だが、2020年度中には大きな意味を持つことになる。というのも、まず、伊勢原JCTから先において、新東名が御殿場JCTまで全線開通する予定だ。

加えて、海老名南JCTから先においても、圏央道の茅ヶ崎側は、現在は新湘南バイパス経由の藤沢ICで終点のところ、こちらも2020年度には横浜湘南道路、高速横浜環状南線が開通して横浜横須賀道路の釜利谷JCTまで接続する予定。

釜利谷JCTからは湾岸線やさらにはアクアラインにもつながっているので、新東名 御殿場JCTから横浜・横須賀エリアを経由して都内や千葉までつながる重要なルートになるのだ。現在は横浜方面から東名に接続する保土ケ谷バイパスも、都心から東名につながる首都高3号線も渋滞が多発するルートであり、この新ルートの持つ意味はとても大きい。

今回通ったのは赤い実線の部分、伊勢原JCT~海老名南JCTだが、2019年度中に伊勢原JCT~秦野ICが、2020年度中には秦野ICから御殿場JCTまでが接続する。さらに2020年度中には灰色の点線の部分、横浜湘南道路、高速横浜環状南線が開通して横浜横須賀道路の釜利谷JCTまで接続する予定(※画像:国土交通省「再評価結果(平成30年度事業継続箇所)」より加工して作成)

他にも2020年のオリンピックに向けてさまざまな施設が完成し、新しい道が開通するが、2022年4月までのマップデータ更新が無料で付いてくる楽ナビ(AVIC-RL910、AVIC-RW910、AVIC-RZ910)であれば、そんな新ルートにも対応が可能となる。

オーディオの映像も進化して車内がさらに楽しく

さらに、進化したのはナビ機能だけではありません。オーディオやビジュアルモニターとしても十分楽しめるようになっていて、モニターの画質が鮮やかなだけではなく、音質も細かい調整が可能など、クルマの中とは思えない臨場感で映画や音楽を楽しめます。

というのも実はこのデモカーのセレナは、タイムアライメントやイコライザーなどの細かい調整を、カロッツェリアが誇る音のプロがセレナ専用にセッティングしているそう。といっても「なんだ、デモカーはプロが設定した特別な仕様か」とガッカリする必要はありません。実はパイオニアではいろいろな車種専用に音のセッティングデータを持っていて、「車種専用エキスパートチューニングデータ」として、オプションでラインアップしているんです。音のセッティングなんていうと難しそうですが、このデータがあれば誰でもプロがセッティングした音で、新しい楽ナビのオーディオが楽しめるということ!

オーディオを聴いてみると、まるで目の前で歌っているような臨場感にビックリ

実はこのデモカー、セレナ用の車種専用エキスパートチューニングデータでセッティングされているとのこと。聴き比べてみるとその差は歴然!

デモカーはスピーカーがトレードインタイプのセパレート2ウェイスピーカー(税別3万2000円)が付いていました

また、別売りで後部座席用のプライベートモニターもラインアップされていて、フロントモニターの音声はフロントスピーカーから、リアモニターに直接入力された映像の音声はリアスピーカーから再生できるプライベートモニターモードにも対応しています。さらに楽ナビはHDMI出力も持っているので、リアモニターでもとてもきれいな映像を楽しむことができました。

後席用プライベートモニター「TVM-PW1000T」も装備。10.1V型の大画面に高解像度ワイドXGAパネル、映り込みを抑えるARコーティングなどで、車内でもすごくきれいに映像を見ることができました

プライベートモニターモードにすれば、前席でラジオ、後席で動画といった、それぞれ違ったソースを楽しむことができます

リアスペース設定。プライベートモニターモードやリアスピーカー音量の調整などができます

このプライベートモニターモードや、オーディオのリスニングポジションの設定などは、ナビ画面からワンタッチで入れるクイックリストからすぐにアクセスできます。ちなみにクイックリストには「自車の向きを反転する」といったメニューもあるので、ターンテーブル付きの駐車場に入れたときなどもすぐに自車位置を修正できますね

おまけですがちょっと変わった表示としては、こんな時計表示モードもありました。毎日の通勤路などナビはいらないけど時間が知りたい場合に便利そう

今までのカーナビは、「見て、考えて、判断する」。この「考える」という動作が必要だったので、案内ルートが表示されているにも関わらず、道の選択を間違えてしまうことがたびたびありました。しかし新しい楽ナビでは、この「考える」という部分を徹底的に取り払うための工夫が随所になされていて、運転がますます「楽」に! さらに音や映像といった「楽しさ」にもこだわった、いろんな意味での「楽」ナビに進化していたのです。