ニュース

新型「楽ナビ」は、パイオニア市販モデル初の6層AV基板採用などで楽ナビ史上最高音質

16サイバーナビと同じデュアルコアDSP採用

2019年4月15日 発表

車種専用エキスパートチューニングSD」データを適用した新型楽ナビのデモカー「N-BOX」

 4月15日にパイオニアから発表された、カロッツェリアカーナビ「楽ナビ」の2019年モデル6機種は、IPS採用の1280×720ドットのHDパネルを全機種搭載し、地図も高解像度描画することで大きな話題となっている。

 5年振りにフルモデルチェンジした新型楽ナビだが、実は画質だけでなく音質に関しても力が入っており、パイオニア市販モデル初の6層AV基板を採用するなど根本から見直しが行なわれ、楽ナビ史上最高音質になっているという。

新型「楽ナビ」のラインアップ

 発表会では、最大のセールスポイントであるHDパネルと高画質、そして新採用したインターフェースを全面的に訴求していたが、発表会場には音楽を試聴できるデモカーもあり、担当者に楽ナビ史上最高音質たるポイントを聞いてきた。

 まず、音楽ソースに関しては音楽CDなどはもちろん、USBメモリやiPod/iPhoneのUSB接続に加え、iPod/iPhoneのBluetooth接続に対応していること。iPod/iPhoneのUSB接続とiPod/iPhoneのBluetooth Audio接続はどちらかしか選ぶことができないが、使い勝手の部分でも進化している。

 そして、ファイルオーディオに関してもダウンサンプリングながら、FLACとWAVでハイレゾ音源に対応したこと。96kHz/24bitまでのデータであれば、ダウンサンプリングで再生することができる。こちらも音がよくなるという部分より、普段家で使用しているハイレゾ音源がそのまま音楽CD相当の音質で利用できるという使い勝手の向上になる。

 音質の向上に関しては、先述したパイオニア市販モデル初の6層AV基板に加え、GND(グラウンド)ノイズの流入防止を徹底した回路設計に数多くの高音質パーツを搭載。背面パネルにT字スリットを入れることで、シャシーの振動抑制も行なっているという。基板の層については、層が厚くなっていくことで回路設計の自由度が増し、ノイズ抑制を行なう、短距離で結ぶ、振動抑制が行なえるなどのメリットが出てくる。デメリットとして容易に分かるのはコストが上昇すること。ただ、ここのコスト上昇に関してはさまざまな形で吸収されているようで、ユーザーから見たらオーディオ機器同様の手法で高音質化が図られたことになる。

高音質に関する説明はこのスライドのみ。しかしながら、OSコンらしきものが基板に実装されていたり、オーディオグレードのコンデンサを見ることができる。詳細は不明

 それらに加え、キモとなるDSPとDACに「16サイバーナビと同様のものを使っている」(パイオニアスタッフ)とのこと。16サイバーナビは、2016年モデルのサイバーナビのことで、大幅に高速化を図って(「3倍速い」で)話題となったAVIC-Cx900シリーズと同様のDSPなどが使われているというのだ。AVIC-Cx900シリーズのDACは非公開だが、DSPについてはある程度スペックが公開されており、パイオニアフルカスタム「高性能48bitデュアルコアDSP」が搭載されていることになる。その後、サイバーナビはさらに高音質化を押し進め、17サイバーナビつまり、AVIC-Cx901シリーズは「フルタイム52bit高性能Tripleコア浮動小数点DSP」を搭載しているので、サイバーナビ超えとはなってはいない。

 しかしながら、各スピーカーの位相のズレを補正するタイムアライメントステップが、サイバーナビ AVIC-Cx900シリーズでは2.5cm、今回の新型楽ナビは1.4cmになっていることを考えるとソフトウェア的には進化しているものといえる。

 ただ、楽ナビらしく、イコライザーがどうとか、タイムアライメントがどうとか細かいことは気にせず、ビシッと車種ごとに音を作ってくれる機能を搭載。それが「チューニングモード」で7000円(税別)で別売の「車種専用エキスパートチューニングSD(MapFanオンラインストア限定販売)」。これは、今まで16サイバーナビ以降でしか使えなかった機能で、パイオニアのスペシャリストがDSPの調整機能をフル活用した音場データを新型楽ナビでも使えるようになった。

音質チューニングのメニュー。チューニングモードで手軽にON/OFFできる

 実際にこのチューニングデータがインストールされたホンダ「N-BOX」で試聴してみたところ、ノーマル状態では広がりのあった音が、チューニングデータ適用後は、ボーカル音や楽器音の定位がくっきりとするのが分かる。短い試聴時間でも定位のよさはすぐに分かるレベルだ。ただ、音質という意味では、どちらもよい感じで広がり感のある音が好きな人にとっては、ノーマル状態も楽しめるものだ。ビシッとした定位から音作りを楽しみたい人は、ぜひチューニングデータ適用後の音を「2019夏 カロッツェリア新商品発表会」などで確認していただきたい。