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【SUPER GT最終戦もてぎ】第3戦予選、コバライネンがドライブする39号車 DENSO KOBELCO SARD RC Fが初ポール獲得
ランキング上位が下位に沈む波乱の予選。GT300トップは11号車 GAINER TANAX AMG GT3
2016年11月12日 11:42
- 2016年11月12日 開催
ツインリンクもてぎで11月12日、熊本地震の影響でキャンセルとなったオートポリス大会の代替戦として「2016 AUTOBACS SUPER GT Round3」の予選、決勝レースがおこなわれる。8時30分からは、GT300、GT500の予選がおこなわれ、13時10分からの決勝に向けてのグリッド順位が決定した。
ツインリンクもてぎがある栃木県茂木町の天気は朝から晴れたが、昨日の雨が残った路面になっており、GT300の予選を前にウェットタイヤを使うことができる"ウェット宣言"が出され、各チームとも急速に乾いていくことになると予想される中、ウェットとドライ、どちらのタイヤを選択するかが鍵になった。今回の予選は2人のドライバーのうち1人が15分間を走り、明日の予選ではもう1人が15分間を走るという変則的なシステムが採用されている
ポールを獲得したのはGT500が39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F(ヘイキ・コバライネン/平手晃平組、BS)、元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンにとっては、2015年のSUPER GT参戦以来、初めてのポールポジション獲得となった。GT300は11号車 GAINER TANAX AMG GT3(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組、DL)で、ダンロップ勢が1-2-3と5位を独占する状況となった。
ダンロップ勢が1位-2位-3位-5位と上位独占、GT300クラストップは11号車 GAINER TANAX AMG GT3
GT300の予選は、昨夜からの雨によるウェット路面のままスタートすることになった。天気は晴れており、太陽が顔を出している状況。このため、15分のセッションの後半あたりでは路面が急速に乾いていくことも十分あり得る状況。このため、各チームとも、ウェットタイヤでいくのか、ドライタイヤでいくのか、頭を悩ませる展開になった。
この中でチャンピオンを争う車両の中で、ランキング2位の3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組、YH)、ランキング6位の4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)の2台がスリックタイヤで最初からでていき、乾いていくと思われる終盤に向けてタイヤを温める作戦にでた。
だが、路面は思ったより乾かない。両車ともに、予選の中盤になってもタイムが上がらず下位に沈む展開。結局中盤に3号車、4号車ともにピットに入り、ウェットタイヤに交換しなければならないハメになった。ウェットタイヤに交換した両車とも、短い時間ではタイヤで温めることができず、結局3号車が21位、4号車が19位に終わるというまさかの展開になってしまった。
こうした中で、ポールポジションを獲得したのは、11号車 GAINER TANAX AMG GT3(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組、DL)。11号車は、途中でウェットタイヤからウェットタイヤへ乗り換える余裕を見せた。それでも交換後もタイムを出しており、同車が履くダンロップのウェットタイヤは暖まりがよいようだ。2位は同じくダンロップを履く21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/藤井誠暢組、DL)、3位も同じくダンロップを履く61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)、さらには5位も0号車 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/富田竜一郎組、DL)が入り、ダンロップタイヤが1位、2位、3位と5位を獲得するなど、このちょい濡れの路面がダンロップにフィットしていたようだ。
なお、ポイントリーダーの25号車 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組、YH)は7位、ランキング3位の55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組、BS)は9位からのスタートとなった。
・GT300の予選結果
カーナンバー | マシン | ドライバー | タイヤ | ウェイトハンデ | タイム |
---|---|---|---|---|---|
11 | GAINER TANAX AMG GT3 | 平中克幸/ビヨン・ビルドハイム | DL | 22 | 1'54.932 |
21 | Hitotsuyama Audi R8 LMS | リチャード・ライアン/藤井誠暢 | DL | 29 | 1'55.522 |
61 | SUBARU BRZ R&D SPORT | 井口卓人/山内英輝 | DL | 47 | 1'56.137 |
31 | TOYOTA PRIUS apr GT | 嵯峨宏紀/中山雄一 | BS | 44 | 1'56.197 |
0 | GAINER TANAX GT-R | アンドレ・クート/富田竜一郎 | DL | 32 | 1'57.059 |
87 | triple a ランボルギーニ GT3 | 細川慎弥/佐藤公哉 | YH | 3 | 1'57.270 |
25 | VivaC 86 MC | 土屋武士/松井孝允 | YH | 54 | 1'57.337 |
51 | JMS LMcorsa 488 GT3 | 都筑晶裕/新田守男 | YH | 13 | 1'57.349 |
55 | ARTA BMW M6 GT3 | 高木真一/小林崇志 | BS | 48 | 1'57.417 |
33 | Excellence Porsche | 山野直也/ヨルグ・ベルグマイスター | YH | 9 | 1'57.795 |
88 | マネパ ランボルギーニ GT3 | 織戸学/平峰一貴 | YH | 19 | 1'57.859 |
2 | シンティアム・アップル・ロータス | 高橋一穂/加藤寛規 | YH | 1'58.034 | |
65 | LEON CVSTOS AMG-GT | 黒澤治樹/蒲生尚弥 | YH | 24 | 1'58.199 |
48 | DIJON Racing GT-R | 高星明誠/青木孝行 | YH | 2 | 1'58.216 |
9 | GULF NAC PORSCHE 911 | 阪口良平/吉田広樹 | YH | 1'58.308 | |
26 | TAISAN SARD FJ AUDI R8 | 元嶋佑弥/近藤 翼 | YH | 6 | 1'58.430 |
50 | ODYSSEY SLS | 安岡秀徒/久保凜太郎 | YH | 1'58.433 | |
63 | DIRECTION 108 HURACAN | エイドリアン・ザウグ/横溝直輝 | YH | 1'58.550 | |
4 | グッドスマイル 初音ミク AMG | 谷口信輝/片岡龍也 | YH | 36 | 1'58.885 |
60 | SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 | 飯田章/吉本大樹 | YH | 1'59.266 | |
3 | B-MAX NDDP GT-R | 星野一樹/ヤン・マーデンボロー | YH | 49 | 1'59.629 |
360 | RUNUP Group&DOES GT-R | 柴田優作/田中篤 | YH | 1'59.699 | |
5 | マッハ車検 MC86 | 玉中哲二/影山正美 | YH | 1'59.899 | |
111 | エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT | 植田正幸/鶴田和弥 | YH | 2'00.013 | |
30 | TOYOTA PRIUS apr GT | 永井宏明/佐々木孝太 | YH | 2 | 2'00.317 |
7 | Studie BMW M6 | ヨルグ・ミューラー/荒聖治 | YH | 17 | 2'01.013 |
108 | DIRECTION 108 HURACAN | 峰尾恭輔/竹内浩典 | YH | 2'01.063 | |
18 | UPGARAGE BANDOH 86 | 中山友貴/山田真之亮 | YH | 23 | 2'24.218 |
22 | アールキューズ SLS AMG GT3 | 和田久/城内政樹 | YH | 2'38.688 | |
ヘイキ・コバライネンが来日以来初めてのポールポジションを獲得
GT500の予選でも、引き続き各チームがタイヤ選択に頭を悩ませる展開となった。この中で、37号車 KeePer TOM'S RC F(ジェームス・ロシター/平川 亮組、BS)だけがドライででていくという選択。37号車は予選中、ずっとスリックタイヤで走り続けるが、結局路面はスリックタイヤで走り続けるほどには乾かず、結局最下位に終わってしまう。かつ、37号車は予選で走り続けたそのタイヤで決勝レースをスタートしなければならないため、その面でもハンデがあることになる。
予選で下位に沈んだのは37号車だけではない。チャンピオンシップのラインキング1位の1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)も12位、ランキング2位の6号車 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組、BS)が10位、ランキング3位の38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組、BS)も14位とランキング上位が下位に沈むことになった。
そうした中でポールポジションを獲得したのは、39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F(ヘイキ・コバライネン/平手晃平組、BS)。元F1ドライバーで、F1ウィナーでもあるコバライネンのドライブする39号車は、乾いていく路面の中で、ベストタイムをマークしてポールポジションを獲得した。コバライネンのポールポジションは、昨年のSUPER GT初参戦以来初めてとなる。
2位は24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝組、YH)、3位は36号車 au TOM'S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ組、BS)となった。ホンダ勢最上位は4位の100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組、BS)。
決勝レースは13時10分スタートの予定で、53周/250kmで争われる予定だ。
・GT500の予選結果
カーナンバー | マシン | ドライバー | タイヤ | ウェイトハンデ | タイム |
---|---|---|---|---|---|
39 | DENSO KOBELCO SARD RC F | ヘイキ・コバライネン/平手晃平 | BS | 45 | 1'45.885 |
24 | フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R | 佐々木大樹/柳田真孝 | YH | 22 | 1'45.950 |
36 | au TOM'S RC F | 伊藤大輔/ニック・キャシディ | BS | 35 | 1'45.994 |
100 | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT | 山本尚貴/伊沢拓也 | BS | 19 | 1'46.126 |
64 | Epson NSX CONCEPT-GT | 中嶋大祐/ベルトラン・バゲット | DL | 7 | 1'46.442 |
46 | S Road CRAFTSPORTS GT-R | 本山哲/千代勝正 | MI | 28 | 1'46.498 |
15 | ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT | 武藤英紀/牧野任祐 | BS | 20 | 1'46.697 |
19 | WedsSport ADVAN RC F | 関口雄飛/国本雄資 | YH | 41 | 1'46.759 |
8 | ARTA NSX CONCEPT-GT | 松浦孝亮/野尻智紀 | BS | 16 | 1'46.886 |
6 | WAKO’S 4CR RC F | 大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ | BS | 46 | 1'47.064 |
12 | カルソニック IMPUL GT-R | 安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | BS | 36 | 1'47.103 |
1 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田次生/ロニー・クインタレッリ | MI | 56 | 1'47.816 |
17 | KEIHIN NSX CONCEPT-GT | 塚越広大/小暮卓史 | BS | 27 | 1'47.860 |
38 | ZENT CERUMO RC F | 立川祐路/石浦宏明 | BS | 45 | 1'48.450 |
37 | KeePer TOM'S RC F | ジェームス・ロシター/平川亮 | BS | 32 | 1'51.146 |
予選後の記者会見
Q:ポールをとったそれぞれの感想を
ヘイキ・コバライネン選手:今日は質問に答えるのが簡単、非常によかった。ただ、大事なことはレースで勝つことだし、チームのターゲットはチャンピオンを獲ることだ。SUPER GTのレースでは何があるかわからないレースだが、このチャンスを逃したくない。チームにとっても、去年は悲劇的な状況で、晃平とも一緒に苦労した。でもそのかいがあって、今年は非常にいいシーズンになっている。今年のサードは皆さんが思っているよりもいいシーズンを送っている。チームも、我々も成長しており。僕たちの目標はチャンピオンを獲得する、そのこと1だけで、まずはこのレースに勝ちたい。
ビヨン・ビルドハイム選手:ツインリンクもてぎのレースはいつも調子が良いし、ダンロップが得意なサーキットだ。予選を前にどのようにタイヤを使うか、エンジニアと話し合って、途中でウェットからウェットへと交換しようと決めていた。ダンロップのタイヤは暖まりがよくて、ちょうど良いところに出ることができたこともあって、タイムがだせた。それでも前の車に引っかかったので、それが無ければもっと縮めることが可能だったはず。今年は全体的に厳しいシーズンになってしまったが、僕たちはチームの実力に疑いを持ったことはなかったし、こういう結果が出せて嬉しい。とにかく今日のダンロップは非常によかった。実際ダンロップ勢が1-2-3なのだし。
Q:コバライネンのポールタイムを出した状況に詳しく教えて欲しい。
コバライネン選手:サーキットは乾きつつあったけど、ドライまでいってなかった。ホンダ車の後ろにちょっとスタックしてしまったけど、最後にクイックラップを出すことができた。タイヤは完璧で、グレイニングもでなかった。僕たちの車は、実は今年とても調子よくてドライでも非常に良いんだ。残念ながら今年まだそれをお見せする機会はあまりなかったけど、午後のレースではそれを見せたいと思う。
Q:11号車のタイヤ交換は4本交換だったのか?
ビルドハイム選手:ウェットタイヤからウェットタイヤへ交換し、4本全てを交換した。
Q:予選を走らなかった2人にその感想と決勝レースの見通しを
平手晃平選手:ピットでハラハラしながら見ていた。ウェットの状況としては昨日の状況に近かったので、固めのタイヤを選んでいくという作戦でやった。ヘイキには最後の最後でタイムがでると思うからという話しをしていたら、見事その通りにやってくれた。ドライでも自信があるし、午後のレース頑張りたい。
平中克幸選手:走る前にみんなで話し合って、タイムがでるのは後半だとわかってた。その通りにビヨンがタイムをだしてくれた。心配だったのはスリックを履いた車両がいくつかいたので、最後タイムをだしてくるかということ。ただ、後半にはその心配もなくなったので、安心して見てられた。決勝は完全なドライになり、わからない部分が沢山ある。プリウスが速いなというのがあって、去年は直線でぱーんと抜かれて面白くないレースだったので、そこをしっかりカバーしていきたい。しっかり今日戦って明日につなげたい。
Q:今日のレースと明日への意気込みを
コバライネン選手:ポールからスタートするので、スタートでギャップを作って、ゴール前に追いつかれるけど逃げ切るみたいな展開がいいんだけど…ハリウッドのようにはいかないだろう(笑)。チームは長い間準備してきて、勝つことを目標にやってきた。もし今日がダメでも明日があるし、チャンピオン獲得というクリアな目標に向けて、しっかりやっていきたい。
ビルドハイム選手:スタートでギャップをつくって逃げ切りたい。僕たちはダンロップタイヤのおかけでここで毎年強いし、現在の路面状況にもあってると思う。ただし、決勝になると他のタイヤメーカーも差を詰めてくると思う、実際昨年決勝ではそういう展開になってしまったので、今年はそうならないようにしていきたい。