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【SUPER GT最終戦もてぎ】トヨタ、ホンダ、日産、2017年仕様の新型車両を一般公開

記者会見でホンダの山本モータースポーツ部長「ドラゴ撤退でも5台体制は維持」

2016年11月11日 発表

ツインリンクもてぎのホスピタリティガーデン内特設会場に展示されている、トヨタ、ホンダ、日産の2017年型GT500車両

 SUPER GT最終ラウンドとなる「2016 AUTOBACS SUPER GT Round3」「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL」が11月11日~13日の3日間、栃木県茂木町にあるツインリンクもてぎで開催されている。

 その併催イベントとして、SUPER GTのプロモーターであるGTA(GTアソシエイション)主催による「GT500クラス NEWマシン展示」が、ホスピタリティガーデン内特設会場で開催されている。

 11月11日の午前中にGTA 代表取締役 坂東正明氏と、トヨタ自動車 モータースポーツマーケティング部 主査 高橋敬三氏、本田技研工業 モータースポーツ部 部長 山本雅史氏、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役社長 片桐隆夫氏という3メーカーの代表が参加した記者会見が行なわれた。

 この記者会見の中で、先日突然発表されたドラゴチームの撤退の件を聞かれたホンダの山本氏は「ドラゴ撤退であっても、5台体制は来年も維持する。ドラゴの代わりとなるチームは今年中にはお披露目できればと考えている」と述べ、来年もホンダのGT500は5台体制が維持されると明言した。

坂東代表と3メーカー代表者の記念撮影

 記者会見の冒頭、GTAの坂東氏は「新型GT500車両を皆様にお披露目できて嬉しく思う。SUPER GTのGT500車両は軒並み各サーキットのコースレコードを更新するなど“世界最速のGTレース”の名にふさわしくなっているが、その一方で行き過ぎたスピード競争が大きな事故につながるのではないかという懸念もある。決して規則によってマニファクチャラーやタイヤメーカー、参戦チームの技術進化に歯止めをかけようとは思っていないが、GT500のコーナリングスピードは異次元の領域に達してしまっている。そこで、2017年規則ではこのコーナリングスピードを低減すべく、ダウンフォースを25%削減する」と述べ、2017年規則に狙いを説明した。

 SUPER GTの現行車両は、2014年規定と呼ばれるドイツのDTMと車両のベースを共有化した規定が導入され、今年で3年目を迎える。このため、来年新型の車両を更新する時期になっており、今回3メーカーともに新しい車両が導入される運びになった。

 導入される新型車両はレクサス(トヨタ自動車)が「LEXUS LC500」、ホンダが「Honda NSX-GT」、日産が「Nissan GT-R NISMO GT500」という名称の車両となる。車両名を見ると、レクサスが「RC F」から「LC500」へと変更、ホンダは「NSX CONCEPTーGT」からコンセプトがとれて「NSX-GT」に、日産自動車はGT-Rで変わらずという意味では、レクサスが大変更、NSXが中変更、GT-Rが変更なしのように思えるかもしれないが、実際には3メーカーとも完全な新車となる。

 というのも、2014年に導入された規定では、シャシーはフレームなどのベース部分を共有化しており、そこに各メーカーの車両をイメージしたボディを乗せ、開発できるのはシャシーの下部の空力ぐらいという規定になっている。2017年もこれは継続され、今回新たにその空力規定が見直され、GTAの試算ではダウンフォースが25%削減されるなかで、各メーカーは開発が許されているシャシーの下部で開発競争を行なう形となる。

 ただし、今回はトヨタがそのイメージとなる車両を従来のRC Fから来春に市販される予定のLC500に変更し、ホンダは新型NSXが発売されたことに合わせてその新型NSXをイメージしたボディへと変更しているのだ。さらに、日産はこれまでと同じGT-Rだが、ボディのデザインはすでに発表されている「GT-R NISMO(2017モデル)」のイメージがベースになっており、やはりこちらも新しくなっているのだ。

GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏
トヨタ自動車株式会社 モータースポーツマーケティング部 主査 高橋敬三氏
本田技研工業株式会社 モータースポーツ部 部長 山本雅史氏
ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 代表取締役社長 片桐隆夫氏

 今回の会見に同席した各メーカーの責任者は、一様に「25%削減されたダウンフォースを取り戻すべく空力開発に力を入れている」と説明しており、実際に公開された3メーカーの車両を見ると、開発が許されているボディ下部の空力開発に力を入れている様子がうかがえる。

 なお、質疑応答ではホンダの山本氏に対して「NSXーGTにはハイブリッドシステムは積んでいないのか?」という質問と、先日突如発表された「ドラゴチームの撤退に伴うホンダの来年の体制はどうなるのか?」という質問が出た。

 山本氏は「ハイブリッドは今年同様搭載していない。また、ドラゴチームの撤退に伴っての来年の体制だが、4台に減るということではなく5台体制は維持する。ドラゴに代わるチームは今年中に皆様にお披露目できると思う」と述べ、来年もホンダのGT500参戦は今年同様5台体制を維持し、ドラゴに代わるチームは今年中に何らかの形でお披露目される可能性があるとした。

 会見で公開された2017年型GT500車両は、引き続きツインリンクもてぎのホスピタリティガーデン内特設会場で展示されている。ホスピタリティガーデンとは、レーシングコースとグランドスタンドの間にある旧オーバルコースのメインストレートのことで、グランドスタンドからパドックへ向かう途中にある。レースの観戦チケットを持っていれば、無料で入ることができるので、興味がある観戦者は忘れずに訪れておきたい。

2017年型GT500マシン展示会場の案内
会場となるホスピタリティガーデン内特設会場

来春発売予定の「LC500」をベースにした「LEXUS LC500」

LEXUS LC500と高橋氏

 レクサスのLEXUS LC500」は、レクサスが来春に販売開始予定の「LC500」をベース車両にしたGT500レーシングカーとなる。LC500は今年のデトロイトショーで発表された新しいレクサスのフラグシップ車両ともなるラグジュアリークーペ。RC Fに比べてコックピット部分がより低い作りになっており、空力面では有利だとみられている。

LEXUS LC500
ミラー
コックピット
フロント部分
左フロント
左側面
左ドア横
左リア

ホンダの新型「NSX」をベースにした「Honda NSX-GT」

Honda NSX-GTと山本氏

 ホンダのHonda NSX-GTは、今年発表された新型「NSX」をモチーフにしたデザインを採用しており、従来どおり他メーカー同意の元で特例としてエンジンをミッドシップに搭載している。ホンダは他メーカーにやや遅れて、10月下旬にオートポリスでシェイクダウンを済ませている。なお、展示されていたNSX-GTでは、開発が許されているマシン下部の空力特性に関してはかなりアグレッシブに攻めてきている印象で、特にドアサイドの空力特性がかなり複雑になっていた。

ミラー
コックピット
フロント
左フロント
ドア横
左側面
左リア
Honda NSX-GT

GT-R NISMO(2017モデル)をベースにした「Nissan GT-R NISMO GT500」

Nissan GT-R NISMO GT500と片桐氏

 日産のNissan GT-R NISMO GT500は、市販車の「GT-R NISMO(2017モデル)」をイメージに作られた新型車。やはりボディサイドの空力造形が非常に複雑になっており、空力開発をやり込んでいる様子がうかがえる。

Nissan GT-R NISMO GT500
ミラー
コックピット
フロント
左フロント
左側面
左リア