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トヨタ、環状骨格ボディやVSCなど安全性を引き上げた新型「コースター」発表会
「もっといいCVづくり」第1弾
2016年12月26日 08:00
- 2016年12月22日 開催
トヨタ自動車は12月22日、マイクロバス「コースター」をフルモデルチェンジ。2017年1月23日に発売すると発表し、同日に東京 お台場 メガウェブで記者発表会を実施した。
24年ぶりのフルモデルチェンジで4代目となるコースターの価格は、バスが594万~887万2200円、ビッグバンが619万3800円~677万1600円。このほか、新型コースターのバリエーションなどについては関連記事「トヨタ、24年ぶりに『コースター』をフルモデルチェンジ。2017年1月23日発売」を参照していただきたい。
「思い描いたすべてをやりきった」と山川主査
発表会ではトヨタ自動車 CV Company CVZ-ZU 主査 山川雅弘氏が新型コースターの車両概要について解説。山川氏は1963年に発売された「ライトバス」から続く50年以上続くコースターの歴史について紹介。先代モデルとなった3代目コースターは1993年にデビューして、24年に渡って人々の身近な移動手段として愛用されてきたとアピール。日本をはじめ現在では世界110カ国以上に輸出され、グローバル累計販売台数は55万台以上になっているほか、2016年の国内シェアは、日野自動車にOEM供給している「リエッセII」と合わせて3分の2以上を獲得しているという。
4代目となる新型コースターの開発では、「快適な室内空間」「目を引く内外装デザイン」「安全性」「品質・耐久性・信頼性」という4つのポイントに主眼を置いたと解説。広くゆったりとした客室空間を演出する「快適な室内空間」では、車両の全高、全幅を拡大して室内高を従来比で+60mmの1890mmに設定。室内幅は乗員の肩の位置で片側40mm増やし、窓側席の人が肘を置いてゆったりと快適に過ごせるようにしている。また、最上級グレードとなるEXのシートでは表皮にファブリックと合成皮革のコンビネーションとしたほか、座面のクッションに低反発ウレタンを使ってしなやかで快適な走りを実現している。サイドウィンドウは高さが50mm広がって視界が広くなっていることに加え、全面のガラスにUVカットガラスを採用した。
ボディの構造面ではフロア、サイド、ルーフトップの骨格を強く結合させて環状構造にしたほか、従来モデルにはなかった助手席脇のピラーを新設。さらに縦方向の溶接を一般的なスポット溶接ではなく、接合面が広いレーザー接合としたほか、ボディ各所に高張力鋼板を採用。こうしたボディ剛性強化に加え、足まわりでは従来はリアのみだったスタビライザーを前後標準装備に変え、ボディのサイズアップに伴う重量増に対応してショックアブソーバーの減衰力を最適化。これらによってフラットで安定感のある走行性能が実現され、車内の静粛性も大きく向上させている。
また、強化したボディは地上80cmの高さから車両を転覆させる独自のロールオーバーテストを実施。ボディの変形量が小さいことも確認しており、このほかに安全性では、横滑りを防止するVSC(ビークルスタビリティコントロール)全車に標準仕様。運転席と助手席にはSRSエアバッグを装備し、客席では通常のシートで3点式、補助席に2点式シートベルトを備えている。
最後に山川氏は、新しいコースターはトヨタ車体、岐阜車体工業、日野、トヨタの4社が一体となって開発に取り組み、すべてのユーザーに進化を感じ取ってもらえる魅力的な商品とすることを目指し、思い描いたすべてをやりきったと力説。「新型コースターがこれまでどおりみなさまの身近な足になって、笑顔をお届けできることを願っております」と締めくくった。
新型コースターは「もっといいCVづくり」の第1弾
このほかに発表会では、トヨタ自動車 CV Company プレジデント 増井敬二氏も登壇。4月に始動したトヨタのカンパニー制におけるCV Companyの役割などについて説明を行なった。増井氏はカンパニー制の狙いを「各機能を製品軸で集約することで、意思決定のスピードと質を高め、持続的な成長に向けた『もっといいクルマづくり』を推進すること」と解説。CV CompanyのCVは「コマーシャルビークル」の略で、CV Companyは商用車に加え、SUVやトラック、ミニバンなどの車種群に責任を持つ組織となっている。
CV Companyに属するクルマは、2015年実績での台数規模でトヨタ全体(919万台)のうちおよそ3割にあたる262万台を占め、全体収益に対する貢献度の大きい「トヨタの屋台骨」で、増井氏は「地盤をしっかりと固めるミッションをになっていきたい」と意気込みを口にした。
また、CV Companyの今後については、ユーザーや社会で望まれるクルマをスピーディに市場に届ける「もっといいCVづくり」、バリューチェーン全体で価値を生み出す「お客さまの嬉しさ」、トヨタ車体との一体経営による「仕事の変革」の3点を挙げた。具体的にはタイムリーな商品強化を図り、ラインアップ拡充と新技術の牽引による未来対応に取り組むとする。タイムリーに商品強化を行なうためにはすばやい取り組みが必要だが、これまではトヨタ全体での商品戦略が定められ、限りのあるリソーセスをどのように配分するか優先順位を決めて仕事が進められていたが、商用車系のモデルには日が当たりにくい面もあったと語る。しかし、今後は一定の条件のなかで、カンパニー内での優先順位で開発が推進できるようになるという。
増井氏は「人々の生活を支えるクルマだからこそ、地道に商品強化を図っていきたい」と述べ、24年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型コースターについては、タイムリーな商品強化を進めていく象徴となる第1号車であると位置付けた。また、これまでは商品となるクルマそれぞれが「点」として戦ってきたが、今後はCV Companyの担当する車種を俯瞰してそれぞれのクルマの特性や担うべき役割などを踏まえ、車種群の全体最適を考えた「面」でのラインアップ戦略取り組んでいくと方向性を示した。
最後に増井氏は、新しいコースターではさまざまな技術を盛り込み、快適性や安全性を大幅に向上させているとアピール。商品自体に加え、これまでトヨタ車体の吉原工場で生産を行なってきたが、フルモデルチェンジで新たな技術や工法などを採用するべく、トヨタ車体のグループ会社である岐阜車体工業に生産を移管することになったことも明かした。製品から生産面まで大きく一新してリリースする新型コースターを「CV Companyが今後進むべき道を象徴するクルマになった」と表現し、「これからもいっそう世のため人のため『もっといいCVづくり』進めてまいります」コメントした。