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横浜ゴム、タイヤ内のゴムとスチールコードの接着劣化を3次元で解析する世界初の技術

接着劣化しにくい材料や新素材などの研究でタイヤの耐久性向上などに利用可能

2017年5月22日 発表

接着界面のSEM写真と3次元画像による接着劣化前後の様子

 横浜ゴムは5月22日、東北大学 多元物質科学研究所 陣内研究室、日立ハイテクノロジーズと共同で、タイヤ内のゴムとスチールコードの接着劣化を3次元で解析する技術を世界で初めて開発したと発表した。この新しい技術により、接着劣化しにくい材料配合や新素材などの研究が可能になって、耐久性を大幅に高めた高品質なタイヤの開発などが期待できるとしている。

 今回発表された新技術ではタイヤのスチールベルトの解析が行なわれ、日立ハイテクノロジーズの最新リアルタイム3DアナリティカルFIB-SEM複合装置「NX9000」を活用。集束イオンビーム(FIB)を使った数ナノm単位での接着界面の断面作製と、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面画像収集を自動的に繰り返し行ない、接着界面の3次元構造が構築できる。これに陣内研究室が開発した画像処理技術を組み合わせることにより、劣化した接着界面の正確な把握と劣化によって発生する元素レベルでの組成変化を解析することに成功した。

タイヤの基本構造におけるゴムとスチールコードの接着界面

 タイヤの補強材として使用されるスチールベルトはゴムとスチールコードを接着してベルト状にした部材で、ゴムとスチールコードの接着保持力がタイヤの耐久性で極めて重要となる。これまでもスチールコードとゴムの接着界面を解析する研究は行なわれてきたが、2次元の解析ではタイヤが劣化したあとの接着界面の正確な把握が困難だったため、タイヤ開発で十分に活かされていなかった。

 今後はさらに研究を進めて、乗用車用タイヤだけでなく、より過酷な条件下で使用されるトラック・バス用タイヤ、オフロード向けタイヤなどの開発にもこの新技術を活用。さらにゴムとスチールコードの接着部材を使用しているコンベアベルトといったタイヤ以外の商品での応用も検討していくとしている。