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トヨタ系カスタムメーカーが放つ新型「ハリアー」用パーツ(TRD編)
「空力をコントロールしてスポーティに走ることを狙っている」
2017年7月16日 00:00
トヨタ自動車の新型SUV「ハリアー」の発売に合わせてトヨタモデリスタインターナショナル、TRD(トヨタテクノクラフト)から新型ハリアー用のカスタマイズパーツが発売されている。
そのプロモーションとしてモデリスタとTRD、それにTOM'S(トムス)を加えたトヨタ系のカスタマイズメーカー3社が合同で新型ハリアーを中心とした撮影会を開催。Car Watchでは上記3社の展示車を全車紹介していく。
先に公開された記事ではモデリスタの新型ハリアーを掲載したが、今回はTRDが用意した新型ハリアーと「アクア」を取り上げる。
まずは新型ハリアーだが、TRDは2台の撮影車を用意していたのでそれぞれの装着パーツから紹介しよう。「ホワイトパールクリスタルシャイン」のボディカラーの車両にはフロントスポイラーVer.1・LED付き(塗装済み税別10万6000円、素地税別10万2000円)、フロントバンパーガーニッシュ(税別3万2000円)、クォーターパネルスポイラー(塗装済み税別2万円、素地税別1万6000円)、ハイレスポンスマフラーVer.S(税別6万8000円)、18インチアルミホイール「TRD TF6」&ナットセット(税別15万6500円/台)が装着されている。
ブラックの車両もほぼ同じ装備だがフロントスポイラーのみLEDが組み込まれず、フォルム自体もシンプルに仕上げたVer.2(塗装済み税別6万3000円、素地税別5万9000円)が装着されている。
TRDはトヨタのモータースポーツ活動において中心的な存在でもある。そこでアフター向けのスポーツパーツにもモータースポーツからの流れを取り入れて、それをTRDらしさとしている。そこでトヨタテクノクラフト 商品事業部商品開発室 デザイングループ グループ長の新美裕三氏にデザインについての特徴を伺った。
新美氏いわく「TRDのエアロパーツは、空力をコントロールしてスポーティに走るということを狙っています。ハリアーに関しては人気車種なので、幅広い層のユーザーにマッチするよう2タイプのフロントスポイラーを用意しています。まずは白いハリアーに装着している“フロントスポイラーVer.1”というタイプですが、このデザインでは迫力、ダイナミックさ、パワフルさを表現するため、ボリューム感を多めに取っています。また、開口部の形や加飾パーツもそのイメージに沿ったものにしています。対して黒いハリアーに装着している“フロントスポイラーVer.2”はシャープ、スマート、ハイスピードといったことをイメージさせるデザインです。メッキ加飾パーツもシャープさを増すような使い方をしてそれぞれを作り分けています」とのことだ。
では、空力面はどうかというと「ハリアーの空力バランスはリアが強めになっています。トヨタがこの設定にしているのには理由があるのでしょうが、TRDが提供したいハンドリングを実現するためにはフロントのリフトを抑えることが必要なので、フロントのダウンフォースを増やすのが定石です。ただ、今のクルマのボディは空力をよくするために作り込まれているので、あとからエアロパーツを付けるとその作り込みの部分を隠してしまうこともあります。そのため、大きめのスポイラーを付けても以前のクルマほどダウンフォースが強く出るということはありません。でも、上げしろが少ないにしてもTRDが作るエアロパーツは確実に効果を出せるので、“フロントにこれくらい空力を足すとリアはこれくらい必要になる”という感じでバランスを取っていきます」とのこと。
そして「それを踏まえてフロントスポイラーVer.1は縦方向にボリュームをもたせ、ダウンフォースが強めに出る作りにしています。こうすることでステアリングレスポンスが向上し、ノーズの入りもよくなる傾向です。フロントスポイラーVer.2もダウンフォースは増していますが、Ver.1ほど強く出ない形状に抑えています。そのため、ステアリングのレスポンス向上はほどほどですが、高速道路走行時の車体の据わりのよさやスタビリティがいい傾向になります」ということだ。
さらに、TRDのエアロキットにはリアクォーターパネル両側の隅に装着するクォーターパネルスポイラーというパーツがあるが、これについて新美氏は「今回のエアロパーツのなかで特に取り上げてほしいのがこのパーツです」と前置きしたあと、「気持ちのいいハンドリングを得る上で大切なのはロールの特性です。ハリアーでは、コーナリング時にイン側のサスペンションが伸びることでロールを大きくしている傾向もあるので、TRDではボディを空気で抑えて余計に持ち上がることを抑えました。ショックアブソーバーを変えれば同様の効果は得られますが、足まわりを固めれば乗り心地も変化します。ところが空力でロールをコントロールすると、乗り心地は変わらないままTRDが提供したかったハンドリングが実現できるのです」ということ。
これはかなり興味深いことだけに試してみたいハリアーオーナーもいるだろうが、フロントのダウンフォースが弱めのフロントスポイラーVer.2とクォーターパネルスポイラーを組み合わせるとリアの効きが強すぎる傾向になるそうなので、走りを優先したい場合はフロントスポイラーVer.1との組み合わせがお勧めとのこと。
コンセプトは“ボーイズレーサー”「大人世代を意識したアクアの新しい解釈」
次は「アクア」の紹介。ベースになっているのはアクアの「S」グレードで、ボディカラーはブラックマイカだ。このクルマのコンセプトは“ボーイズレーサー”というもので、これは1980年代に1.6リッター以下のハッチバック車で行なうカスタムスタイルを指す呼び名。トヨタ車では歴代の「スターレット」がボーイズレーサーのベースであった。
そんな走りのイメージを盛り込んだのがアクアだが、TRDが「気に入ってくれるであろう」と見ているのは、リアルタイムでスターレットなどに乗っていた人達。この年代の人は歳を取ってもクルマの流行に敏感な傾向もあるだけに、今どきの流行りであるダウンサイジング&ハイブリッドカーへの興味も高い傾向だという。そして実際にアクアに乗り替えるケースも多いということだが、クルマ趣味の人にとってはノーマルのアクアは大人しすぎるイメージ。そこで「ちょっと変えたい」と思ったときに気持ちに響くエアロパーツを作ったとのことだ。
では、そのTRDアクアの装着パーツを紹介していこう。フロントから順番にいくと、まずフロントスポイラー(塗装済み税別5万7000円、素地税別5万4000円)、サイドスカート(塗装済み税別4万4000円、素地税別4万1000円)、リアバンパースポイラー(塗装済み税別5万1000円・素地税別4万8000円)、フォグランプガーニッシュ・LED付き(税別4万8000円)、フロントバンパーガーニッシュ(塗装済み税別4万2000円、素地税別3万9000円)、テールゲートスポイラー(塗装済み税別2万円、素地税別1万8000円)、ハイレスポンスマフラーVer.S(税別6万1500円)、16インチアルミホイール「TF4A」&タイヤセット(税別19万円/台)。
デザイン的にこだわったのがボンネットまわり。フロントバンパーガーニッシュという、ヘッドライトまわりからノーズにかけて視覚的な形状の流れを作るパーツを付けることで、ボンネットを長めに見せてスポーティさを演出している。ただ、撮影車はボディ色がブラックマイカなのでパーツの効果が分かりにくいと思う。そこで、TRDの広報写真にある白いボディにフロントバンパーガーニッシュを装着した姿も掲載する。
そのほかのパーツについては写真を見てもらうとして、ハリアーにしてもアクアにしてもTRDらしく走りの性能にこだわりがあふれるものだけに、スタイルアップだけでなく走りのよさも重視したい人は、TRD製品をチェックしてほしい。