ニュース

BFGoodrich、日本市場にトラック用タイヤで本格参入。「ROUTE CONTROL S」など4製品発表会

“オン・オフロード”対応やトレーラー専用などをラインアップ

2017年8月29日 開催

オープンプライス

8月29日に行なわれたBFGoodrichのトラック用タイヤ新製品発表会のフォトセッション

 BFGoodrich(日本ミシュランタイヤ)は、トラック用タイヤ4製品を9月1日から順次発売。日本の商用車向けタイヤ試乗にBFGoodrichブランドで本格参入すると発表した。

 9月から発売されるのは、高速道路を含めた舗装路向けトラックタイヤ「ROUTE CONTROL S」(11R 22.5)1サイズ、舗装路から砂利道などの軽度なオフロード向けトラックタイヤ「CROSS CONTROL S」(11R 22.5)1サイズの2製品。これに続き、11月からトレーラー専用タイヤとなる「ROUTE CONTROL T」(265/70 R19.5、385/65 R22.5)2サイズも発売となる。価格はそれぞれオープンプライス。

左から「ROUTE CONTROL T(265/70 R19.5)」「ROUTE CONTROL T(385/65 R22.5)」「ROUTE CONTROL S(11R 22.5)」「CROSS CONTROL S(11R 22.5)」

 舗装路だけをターゲットにしたROUTE CONTROL Sは優れた耐偏摩耗性能を備え、さらに雨天時にはV字形状のグルーブが高いウエットグリップ性能を発揮する。未舗装路までカバーするCROSS CONTROL Sは路面からトレッド部が受けるカットやチッピングなどによる損傷を抑制するコンパウンドを採用しており、さらにトレッド面の下に「プロテクションプライ」を設定して損傷を防ぐ高い耐久性を特徴とする。サイドウォールにも高い耐久性が与えられ、トレッドパターンにはアグレッシブなデザインを採用。路面状況が変化したりタイヤが摩耗したときも高いトラクション性能を維持する。

ROUTE CONTROL S
ROUTE CONTROL Sのトレッドパターン
CROSS CONTROL S
CROSS CONTROL Sのトレッドパターン
トレーラー専用タイヤとなるROUTE CONTROL T

 トレーラー専用タイヤのROUTE CONTROL Tでも、トレーラーでの厳しい使用条件でカットやチッピングが発生するリスクを抑制するコンパウンドを使用。トレッド幅に合わせてグルーブも狭くなる265/70 R19.5サイズでは、走行時にトレッド面が変形する動きを使って小石を排出する「石噛み防止グルーブ」を採用してタイヤが受けるダメージを抑制している。

ROUTE CONTROL T(385/65 R22.5)
ROUTE CONTROL T(385/65 R22.5)のトレッドパターン。グルーブの幅が十分にあるので小石などの噛みこみはあまり発生しない
ROUTE CONTROL T(265/70 R19.5)
ROUTE CONTROL T(265/70 R19.5)のトレッドパターン。グルーブの両サイドに互い違いの山形を設け、グルーブ底面に小石を押し出すリブを設定した「石噛み防止グルーブ」を採用

BFGoodrichは優れた製品を生み出した歴史を示すアメリカ人の誇り

 発表当日には都内で新製品発表会が行なわれ、製品のアンベールや技術解説、BFGoodrichブランドの紹介などが実施された。

 発表会では具体的な技術解説に先立ち、日本ミシュランタイヤ トラック・バスタイヤ事業部 マーケティングマネージャーの猪崎克詩氏からBFGoodrichの歴史について説明が行なわれた。

日本ミシュランタイヤ株式会社 トラック・バスタイヤ事業部 マーケティングマネージャー 猪崎克詩氏

 このなかで猪崎氏は、創業者であるベンジャミン・フランクリン・グッドリッチが1870年に設立したBFGoodrichが、当初は消火用ホースの製造メーカーだったところから1896年に「初の自動車用空気入りタイヤ」を発売してタイヤメーカーとなり、1903年に初めてアメリカ大陸の横断を達成したクルマに装着。また、1927年に大西洋無着陸横断を成し遂げた「スピリット オブ セントルイス号」、1981年に世界で初めて地球と宇宙を往復したスペースシャトル・コロンビア号」などにもBFGoodrichのタイヤが使われたことを紹介し、「BFGoodrichは現在でも多くのアメリカ人にとって優れた製品を生み出した歴史を示す誇りになっている」と解説。高いブランド力を維持していると語った。

ベンジャミン・フランクリン・グッドリッチが設立したBFGoodrichは、冬でもしなやかさを保ってしっかり使える消火用ホースを生産して好評を博し、やがてさまざまなタイヤの製造にも着手
初めてのアメリカ大陸横断、初めての大西洋無着陸横断を実現したクルマや飛行機にBFGoodrichのタイヤが装着されていた。当時は道路や空港がしっかりと整備されておらず、タイヤの耐久性も重要な要素となっていた
スペースシャトル・コロンビア号のタイヤもBFGoodrichが担当

 さらに猪崎氏は、BFGoodrichが過去に偉業を成し遂げてきただけでなく、現在もアメリカを中心にさまざまなオフロードレースに参加。過酷なオフロード走行で耐久性を磨き上げており、多くのレースで優勝してきたと紹介。また、レースシーンの動画内でオフロードコースを駆け抜けるマシンのタイヤが激しく上下動していることを指摘し、「タイヤは第3のサスペンションと言われるゆえんだと思います」とコメントした。

BFGoodrichは「世界で最も過酷なオフロードレース」とも呼ばれる「MINT400」など数多くのレースに参加。レースマシンの足下を支え、耐久性を磨き上げている
猪崎氏のプレゼンテーション終了後、会場中央に置かれた新製品がアンベールされた
日本ミシュランタイヤ株式会社 トラック・バスタイヤ事業部 技術サポート 永楽俊平氏

 続いて、日本ミシュランタイヤ トラック・バスタイヤ事業部 技術サポートの永楽俊平氏から9月から発売される新製品の技術解説が行なわれた。

 永楽氏は高速道路や一般道、都市近郊などでの使用に適したROUTE CONTROL Sについて「トレッド面の最適な接地形状を図ることによって優れた耐偏摩耗性能を有しており、トラックユーザーのみなさまはタイヤのライフを非常に気にするというニーズがあります。偏摩耗はタイヤの寿命に大きく影響しますので、そのようなニーズに対応する特性を持っております。また、V字に刻まれたグルーブが高い排水性を発揮して、雨の路面でも優れたグリップ性能を確保できる製品になっています」と解説。

 CROSS CONTROL Sについては、一般道や都市近郊から“オン・オフロード”まで対応すると説明。見た目にもはっきり分かるアグレッシブなパターンデザインにより、摩耗が進行しても高いトラクション性能を維持すると説明。コンパウンドや「プロテクションプライ」と名付けられた内部構造によって高い耐久性を発揮するという。また、使用状況として取り上げた“オン・オフロード”ではサイドウォールが縁石で擦れたりちょっとした岩場などを通過することも想定。そんなシチュエーションでも内部の構造材がダメージを受けないよう設計していると語った。

 11月から販売がスタートするトレーラー専用タイヤのROUTE CONTROL Tでは、低床化されたトレーラーに向けて小径化した「265/70 R19.5」と、3軸トレーラーに対応するシングルタイヤの「385/65 R22.5」の2サイズをラインアップ。カットやチッピング、ねじれ、すれといったトレーラならではの特性に対応する耐久性を確保していると紹介した。

ROUTE CONTROL Sの製品概要
CROSS CONTROL Sの製品概要
ROUTE CONTROL T(265/70 R19.5)の製品概要
ROUTE CONTROL T(385/65 R22.5)の製品概要