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ミシュラン、信州エリアの運送会社にワイドシングルタイヤ「X One」を初納入
「X One」による重量軽減効果で多目的なウッドチップ運搬車が成立
(2015/7/8 00:00)
- 2015年7月7日発表
日本ミシュランタイヤは7月7日、長野県松本市に本社を構えるアルプス運輸建設にトラック・バス用ワイドシングルタイヤ「X One」を納入。これに合わせて同タイヤの製品説明会と装着車両のお披露目会を実施した。
車両のお披露目に先立って行われた製品説明会では、日本ミシュランタイヤ トラック/バス事業部 マーケティング部 ビジネスセグメントマネージャーの尾根山純一氏がX Oneのコンセプトや導入効果などについて解説を担当。
ミシュランが2007年から日本市場に導入したX Oneは、トラックやバスなどの大きな荷重がかかる車両で重量を受け止めるため、通常は2本のタイヤを横に並べて使うダブルタイヤを、1本のワイドタイヤに置き換えるという製品。これにより、「軽量化」「低燃費化」「メンテナンス時間削減」「環境負荷削減」「パンク率低減」「運転操作性向上」「車両設計の可能性拡大」という7つの効果が生み出されるという。
「軽量化」は、ダブルタイヤではそれぞれに装着されて2つ必要となるホイールがシングル化により1つに集約され、基本的にX Oneは専用品となるアルミホイールのみが組み合わされることから、ダブルタイヤでスチールホイールを使う場合と比較するとより軽量化が進むことになる。車両重量が軽減されると、トラックの場合は軽くなった分を荷物の積載に充てることが可能となり、1回の往復で運搬できる荷物を増やすことにつながる。
「低燃費化」は、前出の軽量化でタイヤの重量が減り、車両重量も軽くなることに加え、タイヤのエネルギーロスはサイドウォールのショルダー周辺で発生しやすく、とくに重いトラック用タイヤはゴムが厚く設計されていることから、タイヤのシングル化によって角が減ってエネルギー効率が向上する。
「メンテナンス時間削減」は単純にタイヤが2本から1本に減ることで作業の手間が減るほか、ダブルタイヤでは内側に設置されたタイヤをチェックするために低い姿勢になったりする場合もあるが、シングルタイヤではその必要もない。また、タイヤ交換するときにも手順が減り、タイヤ管理が簡素化できる。
「環境負荷低減」は前出の低燃費化による燃料の削減に加え、ワイド化にあたって必要となるトレッド面の強化に利用されているミシュラン独自の「インフィニコイル」によってタイヤ接地圧が均一化され、偏摩耗などを防いでロングライフ化を実現する。また、耐久性の高いインフィニコイルによって「パンク率低減」も手に入れる。
「運転操作性向上」は、ダブルタイヤは2本のタイヤを並べていることでタイヤのトレッド面の幅以上に横に広く、旋回時にタイヤ自体がねじれて大きな抵抗が発生。ワイドシングルタイヤではこの抵抗が減って運転しやすくなり、特にバック時に大きな差が出るという。
「車両設計の可能性拡大」は、ワイドシングルタイヤはダブルタイヤよりトレッド幅を広くとることができ、ホイールの横幅も大きいことからホイール内側のスペースも利用できるため、車両の足まわり設計における自由度が飛躍的に高まる。輪距の拡大によって転覆限界性能を高められるほか、車両の操作性を高めてドライバーの疲労を軽減したり、シャシーデザインを工夫して積載スペースを拡大することなども可能になる。
こうした性能を持つことから、当初は大型のトレーラータンクでの採用に止まっていたX Oneだが、ポスト新長期規制などの開始によってトラックの重量が増加するようになったことなどの影響から、2013年を境にカーゴトラックなどの車種でも採用が増え、2015年末までの導入予定数は2007年との比較で5倍ほどになると説明された。
また、導入側からの解説では、アルプス運輸建設 代表取締役社長の上嶋金司氏が登壇。50年以上の歴史を持つ同社では、65台の保有車両を使って建築資材などの輸送をはじめさまざまなものの輸送を行っているが、新規事業として長野県や塩尻市が推進している森林バイオマス資源活用事業「信州F-POWER プロジェクト」に参画。この信州F-POWER プロジェクトは木材加工によって発生する木材チップを使って発電する「木質バイオマス発電」によって循環型地域社会の形成を目指す事業だが、現時点では県内に対応する発電所が存在しないことから、これから2年ほどは富山県にある発電所に木材チップを輸送する必要がある。この大量の木材チップの輸送をアルプス運輸建設が担当することになり、新たに木材チップの輸送で使うトラックを導入することになったことを契機に車両にX Oneを採用することになったという。
この木材チップの輸送トラックは、単純に木材チップだけを扱うだけでなく、富山県まで木材チップを運んだ帰路にも輸送に使って効率化できるよう、使い勝手の良好なウイングボディー仕様が選択されたが、木材チップをウイングボディーの荷台に収めると内側からの荷重に耐えられる構造にする必要がある。このため、部材を一般的なアルミからステンレスに変更したほか、板厚なども増やして強度を高めたが、これに伴い重量も増加。車体が重くなると最大積載量がその分だけ減ってしまうところだが、X Oneを採用することで最大積載量がキープできたとのこと。
これに加えて上嶋氏は、「経費削減や最大積載量の確保による効率化といった経済性も重要ではあるが、運送業でなによりも重要なのは安全性。安全に業務を続けていくことが一番大切だと考えている。このX Oneは耐久性もしっかりしていると聞いているので期待している」とコメントしている。