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ミシュラン、リトレッドタイヤをインターネットで管理する「e-Retreadシステム」記者説明会

タイヤのデータや現在状況をユーザー、メーカー、工場の3者がリアルタイムに情報共有

パソコンなどでブラウザを表示させてリトレッドタイヤの情報を管理するe-Retreadシステム
2014年12月1日正式稼働

 日本ミシュランタイヤは11月28日、同社のトラック・バスタイヤ事業部で推進している「リトレッドタイヤ(再生タイヤ)」に関する情報をサーバーで管理し、インターネットを使ってリアルタイムに利用できる新システム「e-Retread(イーリトレッド)システム」に関する記者説明会を実施した。

 12月1日から同社のトラック・バス用タイヤを取り扱う販売店向けにサービスを正式スタートさせるこのe-Retreadシステムは、リトレッドタイヤの販売店からの回収、ミシュランのカスタマーサービスセンターから販売店に配送する出荷内容、工場で設定するトレッドパターンなど、リトレッドに関連するさまざまなデータを、ユーザー、メーカー、工場の3者でリアルタイムに共有するシステム。インターネットに接続してウェブブラウザが利用できる端末なら、PCやタブレット、スマートフォンなどさまざまな機器で利用可能となっている。9月中旬から一部の販売店を対象に試験運用が行われており、これまでにリトレッドタイヤにおける「委託リトレッド」の30%を超える本数がe-Retreadシステムでデータ入力されるようになったとのこと。

同社が推進しているリトレッドタイヤでは、トレッドゴムを使い切ったケーシング(使用済みタイヤ)を工場に送り、リトレッドして再配送する「委託」、元のケーシングにはこだわらず、加工済みのリトレッドタイヤとケーシングを交換するようなスタイルになる「台交換」、リトレッドタイヤを買い増しする「台付」の3パターンを用意し、今回のe-Retreadシステムは委託で利用する場合に使われる。また、委託には販売店が直接委託する「ディーラー委託」とエンドユーザーから販売店を経由して委託される「ユーザー委託」の2種類がある
e-Retreadシステムではタイヤの側面に製造時に刻印される固有の番号「セリアル」をIDとして運用。データが更新されるたびに実績データとして蓄積されていく
委託リトレッドでケーシングがリトレッドタイヤとして戻るまでのサイクル
さまざまな条件が付与される委託リトレッドはしっかりした情報管理が必要で、この需要からe-Retreadシステムが生み出されることになった
1つのセリアルを中心としたケーシングのデータを、ユーザー、メーカー、工場の3者が共有して運用
ケーシングのデータは「e-Retreadサーバー」で集約される
販売店では、自分たちが所有するケーシングのセリアルやサイズ、リトレッドで設定してほしいトレッドパターンなどを入力
工場ではケーシングを検査したリトレッドの可否、リトレッドできない場合はその理由などを入力する
販売店はリトレッドを委託しているケーシングの本数をチェックしたり、リトレッドタイヤがいつ手元に戻ってくるか、工場での検品結果などをリアルタイムで確認できる
ケーシングの回収からリトレッドタイヤの出荷予定日までを一元管理するe-Retreadシステムは業界初の試みとのこと
試験運用で参加した販売店の反応も良好で、12月1日から本格稼働することになった
日本ミシュランタイヤ トラック・バスタイヤ事業部 マーケティング部 リトレッドマーケティングマネジャー 小林史礼氏

 記者説明会で登壇した日本ミシュランタイヤ トラック・バスタイヤ事業部 マーケティング部 リトレッドマーケティングマネジャーの小林史礼氏は、同社が環境保護のために推し進めている「3R」が、ロングライフな自社のタイヤを使ってもらうことで省資源化する「リデュース」、摩耗が進んだタイヤに再度溝を刻む「リグルーブ」、使用済みタイヤであるケーシングにトレッドゴムを貼り付けて再生する「リトレッド」の3つのRであると解説。12月1日から正式稼働をスタートさせるe-Retreadシステムは、リトレッドを利用する販売店の利便性を高めて業務効率を高め、販売活動のサポートを通じて3Rをさらに発展させることが目的であると紹介した。

 さらに小林氏はe-Retreadシステムの詳細について語り、ユーザー、メーカー、工場の3者がケーシングの情報を共有することでデータの正確性と利便性が高まるほか、エンドユーザーの使用状況とリトレッドの可否を解析することで、再利用できる確率を向上させるためのアドバイスができるようになることも大きなメリットであるとアピールした。

記者説明会の会場にはe-Retreadシステムを体験できるデモ機も用意されていた
パソコンなどでブラウザを表示させてリトレッドタイヤの情報を管理するe-Retreadシステム
販売店がケーシングの情報などを入力する画面
過去の入力情報を検索して一覧表示することも可能
リトレッドタイヤ(左)とトレッドゴムがすり減ったケーシング(右)
新品同様のトレッドパターンを再び手に入れたリトレッドタイヤ
走行によってトレッドパターンがすり減ったケーシング
タイヤ側面にセリアルが刻印されている

(編集部:佐久間 秀)