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スズキ、新型「スイフトスポーツ」を9月20日発売。183万6000円から

車重は6速MTが970kg。3ナンバーサイズに

2017年9月20日 発売

183万6000円~190万6200円

新型「スイフトスポーツ」

 スズキは、コンパクトスポーツモデル「スイフトスポーツ」をフルモデルチェンジして9月20日に発売する。価格は183万6000円~190万6200円。

モデルエンジン駆動方式変速機価格
スイフトスポーツ直列4気筒DOHC 1.4リッター直噴ターボ2WD(FF)6速MT1,836,000円
6速AT1,906,200円

 エンジンは1.4リッター直噴ターボのK14C型ブースタージェットエンジンを搭載。駆動方式は2WD(FF)。トランスミッションは6速MTと6速ATを設定。シャシーは先に発売された新型スイフト同様、新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用。ボディは、前後フェンダーの張り出し量を増やし、前後トレッドをワイド化。これによりボディサイズは3890×1735×1500mm(全長×全幅×全高)となり、スイフトシリーズでは初の3ナンバーモデルになっている。

 車重に関してはHEARTECTと軽量なボディ材を使用したことで、先代モデルより約70kgの軽量化を実現。6速MT車で970kg、6速AT車も990kgと1tを切る車重になっている。

 ボディカラーは専用色の「チャンピオンイエロー4」のほか、「バーニングレッドパールメタリック」「スピーディーブルーメタリック」「ピュアホワイトパール」「プレミアムシルバーメタリック」「スーパーブラックパール」の全6色を用意。

 そして今の時代のクルマとして欠かせない先進安全技術は、単眼カメラとレーザーレーダーによる衝突被害軽減ブレーキを含むセーフティパッケージをメーカーオプションで用意する。

バーニングレッドパールメタリック
スピーディーブルーメタリック
ピュアホワイトパール
プレミアムシルバーメタリック
スーパーブラックパール
エンジンは1.4リッター直噴ターボのK14C型ブースタージェットエンジンを搭載

開発コンセプトは「操る楽しさと感動を与えるクルマ」

 グローバルモデルとしてのスイフトスポーツは2005年9月に初代がデビュー。当時から「スズキブランドの走りのフラグシップ」という位置づけだった。2011年11月に発表された2代目も走りのフラグシップというコンセプトは継承。専用エンジンと6速MTを搭載するなど、さらに走りの性能と質を高めたモデルへ進化した。そして、2017年9月にデビューした3代目スイフトスポーツは「Ultimate Driving Excitement」をコンセプトに、ドライバーに操る楽しさと感動を与えるクルマとして開発したという。

 新型スイフトスポーツに搭載されるエンジンは、直列4気筒DOHC 1.4リッター直噴ターボのK14C型ブースタージェットエンジン。緻密で安定した燃料噴射制御を実現するために、7穴式インジェクションノズルを採用。さらに、可変燃圧制御により燃料噴霧の高微粒化を図ることで排出ガスのクリーン化と高出力化を両立している。最高出力は103kW(140PS)/5500rpm、最大トルクは230Nm(23.4kgm)/2500-3500rpmとなっている。

先代スイフトスポーツに比べて税制面で有利な排気量に抑えながら、最高出力、最大トルクとも上まわっている。なお、エンジン自体もサイズがコンパクトになり(全高は同一)、ターボチャージャーを装備したにも関わらずエンジン重量も軽量化されている
シリンダー内直噴イメージ

 K14C型エンジンは「エスクード」の1.4リッターターボモデルにも搭載されているが、スイフトスポーツには吸気、排気、冷却系に専用のチューニングを施して搭載される。内容は出力、トルクの向上のため、点火制御とターボ過給圧制御を行なうことで低回転からトルクを立ち上げ、さらに中回転域でももう1段トルクアップする特性を作り出す仕様である。その結果、回転数が落ち込み通常ならシフトダウンを必要とするシーンでも、そのままのギヤで加速することが可能になっている。

ターボチャージャーは低回転から過給が立ち上がる小型のものを採用。アクセル操作に対するレスポンスに優れている
ウエストゲートバルブの制御について。タービンホイールへの排気ガス流入量を調整するウエストゲートバルブの開閉を、エンジンの負荷状況に応じて適正に制御する機能を持たせた。これによってアクセル操作に対するレスポンスを高めている
サブマフラーのデュアル化やマフラー内部構造の見直しなどにより、排気音をスポーティに演出。エンジン回転の上昇につれてリニアに排気音量が上がるサウンド特性に仕上げている
ラジエターのサイズアップを行なうことで、放熱性能を先代スイフトスポーツより34%向上。さらに電動ファンをシングルからダブルに変更。加えて、ラジエターへの導風板も回転するリングファンを採用。これによりラジエターに作用する風量を38%向上させている

 トランスミッションのバリエーションは6速MTと6速ATがある。ギヤ比の決定にはさまざまな組み合わせでテストを行なったとのことだが、結果として先代スイフトスポーツと同様のギヤ比になった。ただし、3速ギヤは先代スイフトスポーツがシングルコーンシンクロだったのに対してダブルコーンシンクロに変更している。

 シフトの操作性に関しては、トランスミッションからシフトノブまでの部品を専用設計。これでシフトレバーのショートストローク化、操作荷重のチューニングによるスムーズでダイレクト感のあるシフトフィーリングを実現している。

 6速MT車のクラッチは、低回転から高いトルクを発生するエンジンに合わせて、クラッチディスクサイズを大型化。さらに、クラッチディスクを操作するレバーの改良によりクラッチの操作性も向上させている。

 6速AT車は、先代スイフトスポーツで採用していたCVTからステップATに変更となった。これは、ダイレクトな加速感や変速感を求めた結果とのことで、開発当初からCVTではなく6速ATで行くことは決めていたという。

 ベースになっているのはエスクードの1.4リッターターボ用の6速ATだが、スイフトスポーツに採用するにあたり、ギヤ比とトルクコンバーター特性をスポーティな方向へ変更している。

6速クロスミッション
3速ギヤをダブルコーンシンクロ化した

 新型スイフトがユーザーのニーズに合わせてボディサイズを5ナンバー枠に収まるようにしているのに対して、新型スイフトスポーツは前後フェンダーの張り出し量を拡大し、スイフトスポーツ(国内仕様)としては初となる3ナンバー設定。ボディサイズは3890×1735×1500mm(全長×全幅×全高)だ。

 このワイド化により、前後トレッドは標準の新型スイフトに対して30mm拡大し、旋回性能を向上させている。また、ホイールベースは先代スイフトスポーツに対して20mm伸ばし、直進安定性も高めている。なお、全高も10mm下げているので、広がった全幅と合わせてワイド&ローのスタイルになっている。

 クルマの基本骨格と言えるプラットフォームは、軽量高剛性の新プラットフォームHEARTECTを採用。従来のプラットフォームでは屈曲していた骨格を滑らかにつなぐことで、アンダーボディの剛性を高めている。また、ボディの構造材には超高張力鋼板をボディの17%に使用。これは先代スイフトスポーツと比べて約3倍の量である。

 さらにリアドア開口部上側やテールゲート開口部の下側左右に計12点のスポット溶接打点を追加し、五感で感じられる「ボディのしっかり感」を向上させている。

「HEARTECT」や軽量なボディ構造材、そして内装部品の見直しにより先代スイフトスポーツより70kgの軽量化に成功。6速MT車で970kg、6速AT車で990kgと1tを下まわる車重になった
フロア下には大型のフロントストレイク、エンジンアンダーカバー、メインフロアカバーを装備して、揚力と空気抵抗を高いレベルで低減している。空気抵抗は先代に比べて約10%軽減している

 ボディの基本性能を高めたことで、シャシー性能を限界まで引き出すことが可能となった。全面刷新したサスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式で、フロントはコイルスプリングのばね定数を新型スイフトより33%アップ。さらにストラットケースのアウター径を5mmアップの50mmとして、ストラットの曲げ剛性を向上。なかに組み込むショックはモンロー製のスポーツモデルを採用。なお、新型スイフトスポーツではハブベアリングも専用品としていて、サスペンションシステム全体の曲げ剛性を15%向上させている。

 リアも、コイルスプリングのばね定数を新型スイフトより30%アップ。トーションビームも新型スイフトスポーツ専用で、ねじり剛性は新型スイフトより30%アップ。ショックアブソーバーはフロント同様のモンロー製だ。

 さらにリアに関してはトレーリングアームも専用品。旋回時などタイヤに大きな横Gが掛かった際のタイヤの接地変化を抑えている。先代スイフトスポーツに比べてトー剛性は約1.4倍、キャンバー剛性も約3倍になっている。

モンロー製のショックアブソーバーを採用。サスペンションシステム自体もスイフトスポーツ専用設計。ボディの基本性能を高めたことでサスペンションも高性能化が実現した
アルミホイールは17インチだが、鋳造後にリム部をローラーで引き延ばすフローフォーミング成形を採用することで、新型スイフト用の16インチアルミホイールと同等の重量に抑えている。タイヤサイズは195/45 R17
ブレーキはフロントに16インチベンチレーテッドディスクを採用(先代は15インチ)。ディスクの厚さは先代と比べて2mm厚い24mmとなった。このサイズアップの結果、耐フェード性と効きが向上。加えて剛性感のあるブレーキ操作フィーリングとなった

 先進安全技術について、新型スイフトスポーツでは、歩行者検知もできる単眼カメラ+レーザーレーダーによる衝突被害軽減ブレーキシステムをメーカーオプションのセーフティパッケージとして用意する。この機能には、「デュアルセンサーブレーキサポート」「誤発進抑制機能」(6速MT車は除く)、「車線逸脱警報機能」「ふらつき警告機能」「先行車発進お知らせ機能」「ハイビームアシスト機能」があり、さらにスズキ初の装備として「車線逸脱抑制機能」が含まれる。この車線逸脱抑制機能は高速道路走行中、単眼カメラで車線を認識。自車位置と目標走行経路を計算することで、車線を逸脱しそうになるとステアリング操作をアシスト制御して自車を車線の内側中央へ戻す支援を行なうものだ。

 また、セーフティパッケージにはアダクティブクルーズコントロール(ACC)も付いている。車間距離の設定は短・中・長の3段階設定。先行車がいない場合の速度設定は約40km/h~約100km/hとなっている。

 エクステリアデザインは、前後でワイド化されたフェンダーが作るスポーティなデザイン。ノーズに関しても、新型スイフトよりも前方へせり出すことで躍動感を生んでいる。また、ノーズを伸ばしたことによってフロントグリルを逆スラント形状としている。フロントグリル、フロントバンパー下部のスポイラー、サイドアンダースポイラー、リアディフューザーはカーボン調のシボ仕上げとなっている。マフラー出口も光の反射面を広く取ったデザインで、ワイド化されて迫力が増したリアビューとのバランスがよいものになっている。

 インテリアデザインは、ドライビングに深く関わるメーターやステアリング、シート、ペダルプレートにスイフトスポーツ専用品を用意する。メーターは特徴ある作りでタコメーターの盤面はレッド、スピードメーターはダークシルバーという構成。どちらも目盛りは小刻みなものとしていて、これがメカニカル感を強調する。

 両メーターの間にはマルチインフォメーションディスプレイを装備。ここには燃費関係、平均車速&走行時間、時計、モーション表示、パワー&トルク表示、アクセルとブレーキの操作表示、ブーストおよび油温表示のモードがある。なお、イグニッションOFFのときには、走行時間や距離などの走行データ表示と走行時に受けた走行Gの履歴が表示できる。

 インパネまわりについては専用オーナメントを採用し、センターコンソール、ドアトリムにレッドからブラックへのグラデーション柄を取り入れている。これはカラーシートを貼り付けたものだが、曲面や曲線部でもグラデーション内の格子柄が変形しないようこだわって作られたシートを使っている。

 ステアリングは専用の本革巻きでグリップ部にはディンプル加工を施す。形状は下部がストレートなD型になっている。また、ステッチはスイフトスポーツ伝統の赤。シフトノブやブーツなども同様に赤いステッチを入れている。

6速MT車のインテリアデザイン
6速AT車のインテリアデザイン
シートは先代スイフトスポーツ用と比べて1脚あたり7.6kgも軽量。サポート部はパイプフレームが組まれている

 シートは、専用表皮とデザインを使用したセミバケットシート。シートの骨格も軽量で強度性能がある最新素材を使用していて、先代スイフトスポーツよりシート1脚あたり7.6kg軽量化している。また、胴体と太もも部のサポートはフォームを持っているものでなく、パイプフレームが組まれているのでサポート力が高く、型崩れもしにくいものになっている。

 このように、新型スイフトスポーツは内装に関してもエンジンや外観に劣らない充実した作りになっている。