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【2017 ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ】空気抵抗低減のため、前面投影面積削減にこだわった。37号車 呉港高等学校「Musoushin」
レース戦略はドライバーの感性にお任せ
2017年10月7日 22:49
- 2017年10月8日~15日(現地時間) 開催
オーストラリアを舞台に10月8日~15日(現地時間)の期間開催される「2017 ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」。開催前日となる7日は、ダーウィン郊外のヒドゥンバレー レースウェイで予選や動的車検が実施される。
その予選開始前に、37号車 呉港高等学校「Musoushin」のピットを訪ねてみた。広島県呉市広大新開にある高等学校。ほかの日本チームが、大学チームであるのに対して、高校がベースのチームとなっている。
チームの体制もコンパクトで、10名ほどのチームとなっており、現地への参戦も少数でのもの。今回は、ドライバーの藤原弘子さんと、車体製作などを担当した武田信寛氏に話をうかがった。
車体製作の方針は、とにかく空気抵抗の低減にあるといい、そのために前面投影面積の削減にこだわって作られている。空気抵抗は速度の2乗で増加し、速度を得るために必要な馬力(エネルギー)は、力に速度を乗じたものなので、空気抵抗は速度の3乗で影響。巡航速度が大切な要素となっているソーラーカーレースでは、抵抗をいかに減らすかがポイントで、転がり抵抗については日本の全チームをはじめ、多くの参加チームがブリヂストンの低転がり抵抗タイヤ「ECOPIA with ologic」を選択。ボディの作り込みが見せ所となっている。
空気抵抗を下げるには、空気抵抗がものの形(Cd値)と前面投影面積から算出される値のため、これらの値を減らせばよいことになる。ボディ形状について呉港高等学校は、カタマラン型(双胴型)を選択。その上で、前面投影面積を低減するために、サスペンションのスプリングに板バネ(リーフスプリング)選択。リーフスプリングとすることでサスペンションの長さを短くでき、結果的にボディを薄くできると、武田氏はいう。
リーフスプリングとなるデメリットとして第一に思い浮かぶのは乗り心地の悪化だが、ドライバーの藤原さんに聞いたところそれほどでもないという。また、藤原さんは女性のため、ドライバーの座るコクピットまわりもコンパクトに設計。これも当然前面投影面積の低減に効いてくる。
他チームでは衛星通信などを用いて、さまざまなデータを解析したバックアップ体制を組んでいるが、呉港高等学校では「ドライバーの能力に任せる」(武田氏)とのこと。ある意味シンプルな戦略でソーラーカーレースに挑むこととなる。