ダイハツ、「ムーヴ」をビッグマイナーチェンジ、JC08燃費は29.0km/Lに

　ダイハツ工業は12月20日、「ムーヴ」をマイナーチェンジして発売した。価格はムーヴが107万円～137万1000円、ムーヴ カスタムが130万円～159万1000円。

ムーヴ カスタム RS

　今回のマイナーチェンジに伴い、部材配置の最適化や材料選定を徹底的に行い、従来のムーヴは112万円スタートだったところ107万円から、ムーヴ カスタムは131万円から130万円スタートと、価格の引き下げが行われた。

　また、軽自動車として初となる先進装備として、今回新たに衝突回避支援システム「スマートアシスト」をムーヴ L“SA”とX“SA”、ムーヴ カスタム X“SA”とX“Limited SA”に標準装備した。

　今回のマイナーチェンジにおけるポイントは、「低燃費・低価格の進化」「基本性能の進化」「先進装備の採用」の3点となる。

ムーヴ X“SA”

ムーヴ L

ムーヴ L“SA”

ムーヴ X

ムーヴ X“SA”

ムーヴのインパネ

L“SA”およびLグレードはウレタンステアリングを標準装備。そのほかのグレードは革巻きとなる

X“SA”、Xグレードはオートエアコン（プッシュ式）、そのほかはマニュアル（ダイヤル式）

X“SA”、Xグレードはプッシュエンジンスターターボタンが備わる

メッキプレート付きシフトノブ

自発光式メーターは全車標準装備

Lグレードを除く全車に運転席シートリフターを標準装備

シートアレンジ

7型ワイドVGAディスプレイ（タッチパネル）を採用するメモリーナビはX“SA”、Xグレードにオプション設定

前席の足下スペース

助手席下にシートアンダートレイが用意される

後席は240mmの前後スライドが可能

後席もリクライニング機構が備わる

後席の足下スペース

JC08モード燃費は29.0km/Lに

　低燃費化については、燃費技術「e：Sテクノロジー」を第2弾に進化させ、サーモ（熱）マネジメント技術に焦点を当てて改良が行われた。

　その中で特に着目したのがCVTオイル。エンジンオイルなどと比べて温まるまでに時間を要していたCVTオイルは、冷めた状態での走行中、エンジンに大きな負担をかけていたと言う。そこで、軽自動車で初採用となるCVTサーモコントローラーを搭載し、エンジン冷却水の熱を利用してCVTオイルを素早く温めるようにするとともに、常に最適な温度に保ち、エンジン負荷を軽減させることで燃費向上を図った。同時にギア比のハイギアード化、CVTオイルの低粘度化（同社比25％の低粘度化）も行われている。

　また、フロントグリル周辺の形状を変更し、よりエンジンルーム内に走行風を導くとともに、気筒ごとの点火タイミングをコントロールして燃焼状態を最適化。さらにアイドリングストップ機構「eco IDLE（エコアイドル）」では、これまで車速が7km/h以下になるとエンジン停止を行っていたところ、9km/h以下で作動するようになった（ターボ車は従来どおり7km/h以下で作動）。

　これらにより、JC08モード燃費は直列3気筒DOHC 0.66リッターの自然吸気エンジン搭載車（2WD）は29.0km/L（従来は27.0km/L）に、直列3気筒DOHC 0.66リッターのターボエンジン搭載車（2WD）は25.2km/L（従来は24.2km/L）にそれぞれ進化した。

　エンジン出力・トルクは従来と変わらず、自然吸気エンジンの最高出力は38kW（52PS）/6800rpm、最大トルクは60Nm（6.1kgm）/5200rpm。ターボエンジンは47kW（64PS）/6400rpm、92Nm（9.4kgm）/4000rpmとなっている。

基本性能の進化

　一方、クルマとしての基本性能を向上するべく、新型ムーヴでは従来モデルのカスタムグレードにのみ採用していたフロントスタビライザーや、カスタムRSのみ装備していたローダウンサスペンションを全車に標準装備した。これにより全高が15mm下がったことで走行安定性が高まり、さらに2WD車ではリアスタビライザーを全車に標準装備した。

　また、ブッシュバネのバネ定数を低減し、路面から伝わる振動を減少させたほか、フロントブレーキのサイズを12インチから13インチのベンチレーテッドディスクに、リアブレーキをΦ165mmからΦ180mmのドラムブレーキ（リーディング・トレーリング式）に大型化。

　さらにクランキング音を低減したスターターギア、低回転走行時の振動を低減したトルコンダンパーを採用したほか、排気音を低減するためのマフラー容量大型化や、エンジン透過音を低減するためAピラートリム内に吸音材を配置するなど、静粛性を高めるためのさまざまな施策が講じられた。これにより、車内での会話明瞭度は10％向上、加速時エンジンノイズは10dB低減（40km/h走行時）したとしている。

ムーヴ カスタム RS

ムーヴ カスタム X

ムーヴ カスタム X“Limited”

ムーヴ カスタム X“Limited SA”

ムーヴ カスタム X“Limited SA”

ムーヴ カスタム X“SA”

ムーヴ カスタム X“Limited”

ムーヴ カスタムのインパネ

ムーヴ カスタム RSに標準装備されるMOMO製ステアリング

オートエアコン（プッシュ式）はムーヴ カスタム全車に標準装備

自発光式メーター（メッキメーターリング付き）、運転席シートリフターもムーヴ カスタム全車に標準装備

助手席下のシートアンダートレイ

イルミネーション付きインパネセンタートレイ（写真左）およびインパネトレイ（助手席）

シートアレンジ

衝突回避支援システム「スマートアシスト」

　新型ムーヴでは、衝突回避支援システム「スマートアシスト」を軽自動車として初採用した。

　スマートアシストは、フロントグリル内のレーダーレーザーで前方車両や障害物（壁や建物）を認識し、低速域での衝突を回避する「低速域衝突回避支援ブレーキ機能」、ペダル踏み間違えによる急発進の抑制を支援する「誤発進抑制制御機能」、信号待ちなどで先行車が発進しても自車が進まない場合に、ブザーとメーター内の表示でドライバーに発進を促す「先行車発進お知らせ機能」の3機能からなる。

　低速域衝突回避支援ブレーキ機能は、約4km/h～約30km/hの範囲内で走行した際に有効な機能で、衝突の危険が高まるとブザーとメーター内の表示で警告を行い、さらに回避操作が行われずに衝突の危険性が高まると緊急ブレーキが作動する。相対速度が約20km/h以下では衝突回避、約20km/h～約30km/hでは被害軽減を支援する。停車後、約1.5秒経過するとブレーキを離す仕組みになっている。

　同機能は主に前方車両に対して作動するが、場合によって2輪車、歩行者、電柱、壁などに対しても作動することがあるとしている。

　誤発進抑制制御機能は、停止中または約10km/h以下で走行中に有効な機能。前方約4m以内に障害物がある状況で、ペダルの踏み間違いなどにより必要以上にアクセルを踏み込んだとシステムが判断すると、ブザーとメーター内の表示でドライバーに警告を行うとともに、エンジン出力を抑制して発進を緩やかにする。このエンジン出力の抑制制御はアクセルを踏み続けた場合、最長で約8秒間継続すると言う。

フロントグリル内にレーダーレーザーが備わる

低速域衝突回避支援ブレーキ機能

内外装の変更点

　そのほか、新型ムーヴでは内外装の一部変更も行われた。

　ムーヴでは、シンプル・安心感を表現したフロントデザインにするとともに、角型ヘッドランプや従来の4個から12個に増やしたLEDリアコンビネーションランプを採用。

　ムーヴ カスタムでは、大型メッキグリルやターンシグナルランプとフォグランプをビルトインしたフロントバンパー、4連LEDヘッドランプ（ロービーム）、従来の4個から20個に増やしたLEDリアコンビネーションランプなどを採用。

　また、インテリアではムーヴ、ムーヴ カスタムともにインパネデザインを刷新するとともに、メーター位置はこれまでのセンターレイアウトから運転席前に変更。インパネのカラーリングはムーヴがベージュをアクセントとした2トーン、ムーヴ カスタムはブラックを基調にブラックやシルバーの加飾を与えたものとなっている。

　そのほか、インパネまわりの収納スペースを増やして使い勝手を向上させている。

新型ムーヴ主要諸元