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パイオニア、渋滞画像を共有可能となった新型「サイバーナビ AVIC-ZH0009HUD」など発表会
「スマートループ アイ」で渋滞履歴も閲覧可能に。ハード・ソフトを変更しレスポンスを改善
(2013/5/8 15:04)
パイオニアは5月8日、カロッツェリアから新型「サイバーナビ」を発表。都内で発表会を開催した。
今回発表された新型サイバーナビは、ハードウェア、ソフトウェアともに刷新。従来機種よりもレスポンスが改善されている。
新型サイバーナビのラインアップは、大きく1DIN+1DINのVHシリーズ、2DIN一体型のZHシリーズに分かれている。AR HUDユニット+クルーズスカウター付きの「AVIC-VH0009HUD」「AVIC-ZH0009HUD」、クルーズスカウターのみが付属する「AVIC-VH0009CS」「AVIC-ZH0009CS」、いずれも付属しない「AVIC-VH0009」「AVIC-ZH0009」があるほか、2DINのZHシリーズのみ5.1ch非対応の廉価版「AVIC-ZH0007」を用意する。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は34万円前後~15万円前後。発売は6月からとなる。機種の詳細は関連記事を参照のこと。
パイオニア 上席常務執行役員 カーエレクトロニクス事業統括部長 黒崎正謙氏は、同社の事業について紹介。パイオニアの売上高は、2013年度3月期で4500億円の見込みとなっており、その68%をカーエレクトロニクス事業が占め、国内比率は46%。国内のカーナビ市場においては、2012年度は市場全体は縮小したものの、エコカー補助金などの施策もあって新車販売が伸び、AVN(AVナビ一体機)は2%増。2013年度はさらなる市場縮小を見ているが、AVNについては昨年同様と予測している。この市場予測においてはPND(Portable Navigation Device)が大幅に減少しているが、輸入品などが含まれないため、とくにそのように見えているとのことだ。
国内カーナビ市場において、同社は先進性と高付加価値の「サイバーナビ」、ボリュームゾーンに向けた「楽ナビ」、若年層とスマートフォンユーザーに向けた「アプリユニット」「スマートフォンリンク」を展開。サイバーナビにより先進の機能を搭載することで「既存市場を活性化させていく」とし、「快適なカーライフを提供することが果たすべき役割」であると語った。
新型サイバーナビに搭載された機能については、カーエレクトロニクス事業部 マルチメディア事業企画 佐藤智彦氏が詳説。新型サイバーナビについてはさまざまな新機能が搭載されているが、その中でも最大のものが渋滞画像を共有する「スマートループ アイ」になる。同社は2006年に車両のプローブデータを共有し渋滞情報を提供する「スマートループ」をサイバーナビに搭載。スマートループ アイはこの発展機能となり、車両のプローブ情報のほか、新型サイバーナビとメガピクセル化(約100万画素)されたクルーズスカウター用のカメラで撮影された風景写真を共有できるようになった。
これは、全国の高速道路施設や交通量の多い交差点周辺(約2000個所)や、人気施設の駐車場付近(約1000個所)など、合計5000個所のあらかじめ設定したスポット(スマートループ アイ スポット)を通過すると前方の風景を撮影。その風景が同社のサーバーに送られ、画像加工され、後に通過する新型サイバーナビユーザーに配信される。画像加工はプライバシー保護の観点などからナンバーなどが自動で消されるようになっており、配信タイムラグは5分程度とのこと。
これにより、単に渋滞しているという情報だけでなく、どの車線が混んでいるのか?、どの駐車場が混んでいるのか?といったことが見られるようになるほか、履歴情報を確認できる。
また、サーバー連携では、音声検索をサーバーで実施するようになった。これにより、フリーワードでの検索ができるようになり、「しながわのすいぞくかん」との発話で「エプソン品川アクアスタジアム」や「しながわ水族館」をリストアップ。発話をサーバーで言語解析し、検索に必要な言葉をピックアップすることで、自由度の高いスポット検索を可能としている。
ARスカウターモードにおいては、映像解析機能を向上して、各種情報の検知機能を強化。信号機のない横断歩道を検知してイラストと効果音で通知する「横断歩道予告検知表示」を新たに搭載した。
また、スマートフォンのアプリケーションをサイバーナビ側からタッチコントロールできる「Linkwithモード」に対応。すでに発売中の「アプリユニット」同等の機能をサイバーナビが取り込んだことになる(但し、サイバーナビはナビ機能を最初から搭載しているため、ナビアプリは対応しないとのこと)。
今回のサイバーナビシリーズでは、音声の高音質化も実施。AKM製24bitアドバンスドマルチビットD/Aコンバータ、大容量音響用電解コンデンサなどを搭載し、音質にこだわった回路設計を行っている。
AR HUDユニット非搭載機では別売のAR HUDユニット「ND-HUD2」(10万5000円)、クルーズスカウターユニット非搭載機では別売のクルーズスカウターユニット「ND-CS3」(5万2500円)を購入することで、上位機種と同様の機能になる(AVIC-ZH0007はND-CS3非対応)。
ただし、新型サイバーナビではハード・ソフトともに一新されているため、2012年以前のサイバーナビではバージョンアップを行っても、新機能「スマートループ アイ」は使うことができない。これは、高画素となったクルーズスカウターユニットのカメラの情報を処理する能力の問題とのことだ。ハードウェアの変更により、HDMI入力や、SDXCメモリーカードへの対応も行われている。
地図は、圏央道「海老名IC~相模原愛川IC」「東金JCT~木更津東IC」などに対応した2013年度第1版を搭載。最大3年間追加料金なしで、最新の地図データに更新でき、通信モジュールでの3年間無料差分更新も行われる。
発表会場で実機を簡単に試用できたが、ハードウェア・ソフトウェアの変更により操作レスポンスも改善されていた。発売は6月からとなるが、5月9日よりパイオニア プラザ銀座で新型サイバーナビの先行展示が行われる。外観の変更点は少ないが、搭載機能などは大幅に変更されているため、銀座に立ち寄ることがあれば、それらの機能を実際に確かめてみてほしい。
スマートループ アイについては、この新型サイバーナビから利用可能となるため、発売当初は画像データが少ないことが予想される。その点については、ある程度の情報をパイオニア側で準備していくとのことだ。