特別企画

【特別企画】高橋敏也の新サイバーナビ体験記(後編)

不肖・高橋、新しいサイバーナビと暮らしていきたい

 1年前、AR HUDを初めて搭載したサイバーナビを導入してうれしかったのは“3年分の最新データアップデート権”が付属していたことだ。これをカロッツェリアでは「マップチャージ(最新データバージョンアップ)」と呼ぶのだが、製品が発売されてから最大3年(2013年モデルは2016年4月まで)は無料で「道路データ」「地点情報データ」を最新のものにアップデートでき、大規模なアップデートである「全データ」更新も3年分は無料で可能となっている。

 サイバーナビではパソコン(SDカード経由)のデータアップデートと、通信モジュール経由(NTTドコモの通信モジュール。今回試用したAVIC-ZH0009HUDでは標準付属し、3年間[開通日から月末+35カ月]の通信料が無料)のアップデートが用意されている。もっとも全データアップデートはさすがにデータ量が多いので、SDカードをパソコンにセットし、データをそこにダウンロードしてから処理を行う。ちなみにその全データアップデートは半年ごとに行われ、私も約1年前にサイバーナビを購入したので、すでに全データのアップデートを経験している。

 都市部においてはこのマップチャージ、大変ありがたい機能だ。新たに開通する道路などは、交通の便をよくしてくれる場合が多い。そうした道路がルート探索にどんどん反映され、より賢いルート設定をしてくれるようになる。例えば先日、友人を伴って小田原にあるバイク屋さんへ行った帰り。私のハチロクで杉並区を出発し、目的地へと向かった。帰路に関しては友人の自宅がある八王子を経由することになったのだが、サイバーナビでルート探索を行ったところ、不思議なことを言うのである。「圏央道を行きましょう」ってあなた、圏央道は繋がっていませんが、八王子まで。

 いや、ちゃんと繋がっていたのだ。中央自動車道と圏央道の交差する八王子JCT(ジャンクション)から、東名高速道路の海老名JCTを通って茅ヶ崎へと抜けるルートの一部が、今年の3月に開通していたのである(後で調べたら、ちゃんと記事が掲載されてました。しかもCar Watchに[http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130331_593893.html])。正直、知らなかった。サイバーナビにルートを示されるまで、まったく知らなかったのである。サイバーナビは高速道路の開通日にあわせて道路データをアップデートしていたのだ。こういったことの積み重ねで、サイバーナビマニア、もとい、サイバーナビファンが増えているのだろう。

 ちなみにサイバーナビの場合、「ロードクリエイター」という機能もあり、まだ地図に反映されていない道路(市道レベルの場合、さすがに開通日にすぐに反映されているわけではないようだ)を走った場合、走行軌跡データを元に新しい道路として地図へ追加してくれる。とにかくサイバーナビは「リアル」な情報にこだわったカーナビなのだと思う。そしてそのリアルさの根底にあるのが「スマートループ」なのだ。

突然ですが、前編で入れ忘れた重要な写真。信号のない横断歩道を新サイバーナビが認識し、ドライバーに注意をうながしている。認識率も高く、新サイバーナビに加わった機能の中でも、お気に入りの新規能

通勤路でも事前に目で見て確認できるスマートループ アイ

スマートループ アイ機能を使って撮影された個所は、このように拡大表示できる。その場にいなくても、進行方向の状態を確認できるのは画期的といえる。ただし、運転中はこの画面に頻繁に切り替えるのは面倒で、ルートの事前検討に使うのが便利だ

 前編で紹介したとおり、2013年モデルの新サイバーナビには「スマートループ アイ」という、超弩級の新機能が搭載されている。解像度の向上した新クルーズスカウターユニットで撮影した画像を通信モジュール経由で専用サーバーにアップロードし、それを新サイバーナビのユーザー同士で共有するという機能だ。詳細は前編を参照してほしいが、この機能の持つ可能性はほぼ無限大と言ってもよいだろう。だが、そんなスゴイ機能も、これまで培われた「スマートループ」があってこそのもの。

画面右側のオレンジ色の破線がスマートループ渋滞情報から取得したデータになる。青い破線が順調を示し、オレンジ色の破線は混雑を示す。VICSのない道路の渋滞情報を取得できるのはうれしいところ

 スマートループはサイバーナビを双方向の情報端末にする。専用のサーバーを経由しながら、ユーザーは走行データを共有し、活用できるのだ。言うなればサイバーナビにおいて、世間で昨今話題となっているクラウドコンピューティングがすでに実現しているということでもある(固い話でごめんなさいね、私、こっちが専門なんで)。スマートループでは、地図データのアップデートである通信経由のマップチャージが行え、さらにダウンロードコンテンツが利用できる。なお、現在では多くのカーナビが通信機能に対応し、さまざまなサービスやコンテンツが提供されている。しかし、私が旧サイバーナビに乗り換えた時、感心したのは通信というものを意識することなく活用できた点だ。通信モジュールが付属していて、3年間無料で通信できるのだから、当たり前とは思うがって話でもあるのだが。

 数あるスマートループの機能のうち、カーナビのもっとも基本的な機能として注目されるのは、ルート探索に関わる部分だろう。例えばスマートループ渋滞情報は、「VICS渋滞情報を含む全道路の渋滞情報」をリアルタイムで把握する。重要なことなのでもう1度書くがスマートループ渋滞情報は、約7万kmのVICS渋滞情報を含む、約70万kmもの全道路に対応しているのだ! あなた、70万kmですよ、70万km! 地球から月まで距離が約38万kmというから、その規模がいかにスゴイかが分かる。サイバーナビはその全道路渋滞情報をスマートループ経由で入手し、その上でルート探索を行うのだ。まあ、実際に渋滞情報を取り込むのは、ルート探索に関わる部分だけだとは思うけどね。

 月までの距離はどうでもいいとして、スマートループ渋滞情報が、私にとっては通勤ルートの確認にえらく役だってくれる。新青梅街道と新目白通りを経由して秋葉原へ向かう私の通勤路は、東京の幹線道路だけあって、渋滞が頻繁に発生している。だが、時間帯によってはスムーズだし、逆に突発的に大渋滞が発生することもある。そんな渋滞情報をリアルタイムに把握できるのが、スマートループ渋滞情報なのだ。もちろん渋滞発生地点にたどり着くまでにはある程度時間が経過するため、別の地点で渋滞発生ということもある。その渋滞情報もリアルタイムで入手するため、渋滞を考慮してリルートが自動的に行われる。さらにそこへ、新サイバーナビではスマートループ アイが加わる。通勤ルートの重要スポットを、スポットウォッチャーで「目で見て」確認できるようになる。

 このスマートループ アイに、旧サイバーナビユーザーはどれほど期待していることか! スマートループ渋滞情報がいかに広い範囲をカバーしているとしても、それはあくまで「渋滞地点」を知ることができるだけ。ところがスマートループ アイなら、交通網の重要ポイントを「見て」判断できるからだ。私も通勤路のある地点で、スマートループ アイを是非とも活用したいと思っている。ちなみに新サイバーナビのサイトでは、現在のスマートループ アイ スポット一覧が公開されている。さっそくそこを確認してみたところ……涙目になった。

 どうして新目白通りと明治通りの交差点(高戸橋)がスポットになっていないのか?! 上りルートだと交差点を渡った先に路面電車(都電荒川線)のルートがあるため、必殺の渋滞スポットになっているのだ! なぜ、そこが入っていない?! 唯一、私の通勤路でスマートループ アイ スポットになっていたのはサッカーミュージアム入口(交差点)である。まあ、ここも立派な渋滞スポットなので、目視確認できるのはありがたいのだけど。当初は5000個所で始まるスマートループ アイ スポットだが、いずれ8万個所などになり、多くの人の通勤路がカバーされることを願ってやまない。

 だってあなた、実際に見られるようになるんですよ、スマートループ アイ スポットになれば! ちなみに個人的に通勤路の都合でブツブツ文句を言ったが、スマートループ アイ スポットは規制情報などにも対応している。工事などで規制がかかった地点が、スマートループ アイ スポットになるという訳だ。サンプルが少ないので今はまだなんとも言えないが、この機能は新サイバーナビのユーザーが増えてきたら、相当強力なものになる予感がする。

 しかしまあ、2013年モデルの新サイバーナビがある程度普及するまでは、サーバーにアップロードされるスポット写真は少ないだろう。しかし、そこはそれサイバーナビである。着々と新サイバーナビは普及するだろうし、普及すればしただけスマートループ アイの情報がきめ細かになり、その便利さが口コミで広がる(はず)。結果、さらにユーザーが増えて便利になる。まさにこれこそ“サイバーナビループ”。もっとも私のサイバーナビは旧タイプなので、このスマートループ アイに対応しておらず、数日試用してみたこの便利な機能を使えないのがとても悲しいのであった。

思いつきだけで行き先を探せるフリーワード音声検索

 「ラーメン食べたい」。ふとそう思うのは、人類としてごく自然なことである(いや、ラーメンじゃなくてうどんでも、カレーでもいいのだが)。そんなことを思いついた時、新サイバーナビの「フリーワード音声検索」が活躍する。「世田谷のラーメン」と音声入力するだけで、世田谷エリアのラーメン屋さんをパッと検索してくれる。もちろんフリーワード検索なのだから、ワードは「ラーメン屋さん」だけでもいい。また「お土産を買いたい」といってワードでもいいのだ。

 その仕組みは、まず、入力された音声ワードが通信機能でサーバーへと送られる。送られる先はクラウドサーバーとなっていて、音声認識サーバー、検索サーバー、分析処理サーバーなどで構成されている。そこで音声ワードは認識され、分析処理され、検索処理される。そしてその検索結果は、やはりスマートループ経由でサイバーナビに伝えられるという流れだ。この音声認識は学習機能を持っており、認識精度はどんどん向上して行く。もちろんユーザーは面倒なことを考える必要はない。ポンと「フリーワード音声検索」ボタンにタッチし、大ざっぱに探したいものを言えばいい。そしてこの大ざっぱさがいいし、実際に使ってみて認識度の高さにも感心した。

「東京の水族館に行きたい」と発話。東京の水族館と思われるものが、ずらりと表示された。おさかな普及センター資料館が水族館かどうかは議論の余地があると思うが、クラウド情報だけに適宜変化していくものと思われる。これもクラウド情報検索のメリットといえる

 旧サイバーナビにも音声認識機能は搭載されている。だが、私個人としてはほとんど使ったことがない。私の場合、ハンドルにリモートスイッチを取り付けていて、そこに「発話ボタン」があり、簡単に音声入力ができるようになっている。だが、あまり使ったことがない。旧サイバーナビの音声認識は決まったワード、登録したワードのみに対応するもので、特定の操作をするには便利だと思う。いや、そうは思うのだけど、私にはフリーワード検索の「大ざっぱさ」のほうが使いやすかったのである。

 フリーワード検索のコツとしては、まず音声を正しく認識させるため、マイクの設置位置が重要になってくる。これは検索だけでなく、音声操作にとっても重要なことなので、現在音声認識機能のあるカーナビをお持ちの方は1度見直してみるといいだろう。次にフリーワード検索の語句は「どこどこの、なになに」といったように、検索対象エリアと目的を含ませるようにするといいようだ。「世田谷のラーメン」なら「世田谷エリア」の「ラーメン屋さん」と認識し、検索を行ってくれるということだ。

 試しに私個人の趣味で「秋葉原のメイド喫茶」と発話したところ、ものの見事に秋葉原エリアのメイド喫茶がズラリとリストアップされた。また写真のように「東京の水族館に行きたい」と入力しても、バッチリ認識されている。ただ1つ残念なのは、どのメイド喫茶にショートヘアーで性格が暗そうな(私の好みだから!)メイドさんがいるかまでは分からなかった(“ショートヘアーで性格暗そうなメイドさん”と入力したことは、ここだけの秘密しておいてほしい)。

スマートフォンとの連動機能は、もはや必要不可欠!

スマートフォンとの連動機能を確認中。スマートフォンとサイバーナビで同じ画面が表示されている。個人的にはATOKが使えるLinkwith キーボード powered by ATOKがうれしかった

 テレビが見られてラジオが聞けて、DVD再生ができて、iPodとかつながって、ほかにもあれこれできるのに、これ以上何が必要なの!? そうですか、スマートフォンと連携させたいんですか、サイバーナビを。ここまで機能がぎっしり詰まっていても、さらに新しい機能を詰め込んだのが新サイバーナビ。そうなんです、スマートフォンとの連携機能もしっかり追加してくれました。

 新サイバーナビはLinkwithモードに対応した。と聞いても何のことやらと思って調べてみたら、これが結構便利な機能なのである。まず「Linkwithモード対応」のアプリということが前提となるのだが、新サイバーナビとスマートフォンを接続して、新サイバーナビの画面上でアプリを操作し、楽しむことできるようになった。新サイバーナビの画面は7V型ワイドVGA、対するスマートフォンの画面は4型前後、大きく見やすい新サイバーナビの画面で閲覧、操作できるのは実に快適だ。

 「いやいや、Linkwithモード対応のアプリってこれからでしょう」と言うなかれ。アプリのストアに行って、「Linkwith」で検索してみてくださいな、5つは引っかかるから(Google Playストアにて2013年6月下旬に検索した結果)。ちなみにiPhone 5にも対応しているので、そちらでも検索してみてほしい。私が気に入ったのはパイオニアが提供している「Linkwithキーボード Powered by ATOK」だ。このアプリを使うと新サイバーナビ上の入力を、スマートフォンから行うことができる。しかも日本語変換は、あのATOKで行えるのだ。なお、パイオニアの人に聞いたところ「対応アプリはこれからドンドン増えて行きますから!」という頼もしい返事をもらった。ならばこちらは定期的にストアをチェックするのみ!

 もっともLinkwithモードに対応していないスマートフォンアプリでも、新サイバーナビのスマートフォンコントロールモードを使えば、新サイバーナビの画面でアプリを表示し、音声を楽しむことができる。これを使えば例えばLinkwithモード非対応のメディアプレイヤーでムービーや写真を表示させ、それを新サイバーナビ経由で楽しむことができる。

サイバーナビとスマートループから見える未来

 東日本大震災では、道路を含めた交通ネットワークが寸断され、救助活動や物資輸送に深刻な影響が出た。目的地に救援に行こうと思っても、そのルートが通れるのか、通れないのか、実際に行ってみないと分からない。行ってみたらそのルートは通行不能になっていて、別のルートを探さなくてはならない。緊急事態の中、通行可能なルートを求めて、大変な苦労をしたという話を実際に何度も耳にした。

 そして今回、新サイバーナビのことを書くにあたって下調べをするうちに、1つの情報を得た。東日本大震災の被災地域における、スマートループの支援を目的とした活用に関してだ(http://pioneer.jp/press/2011/0329-1.html)。要するに被災した地域においてスマートループ渋滞情報を活用し、「通れた道路」をカーナビ上で確認できるようにしていたのである。そしてその情報を確認できるカーナビ(もちろんサイバーナビを含む)を、パイオニアは被災地の自治体などに提供したのだという。考えてみれば確かにそうだ。渋滞情報というのは道路の通行状況を示す情報であり、それを「通れた」「通れない」として処理することも可能なはず。パイオニアはいち早くそれを実践したということだ。

2011年3月15日、東日本大震災の発生から4日後にパイオニアと本田技研工業はスマートループ渋滞情報とインターナビ・プレミアムクラブから生成された通行実績情報データを公開。GoogleにそのデータをKMZ(Googleマップで使われるKMLファイルの圧縮形式)で提供し、いち早く誰もが利用できるものとした。その後、トヨタ自動車のG-BOOK、日産自動車のカーウイングスデータも提供・統合され、鉄道などの公共交通機関が寸断された中、震災救援・震災復興の基本的な情報となった。画面は、2011年3月15日に初公開されたときのもので、パイオニアのスマートループ渋滞情報と、ホンダのインターナビ・プレミアムクラブ情報が反映されたもの

 新サイバーナビではさらに、スマートループ アイが追加される。例えば「通れない」ポイントがスマートループ アイスポットに指定されていれば、そこはクルーズスカウターで撮影され、画像がクラウドサーバーにアップロードされる。それらの画像データを確認、解析することで道路復旧や支援方法の立案に役立てることができる。道路工事などの情報を元に、その地点をスポットとして指定できるのだから、この「通れない」ポイントを指定することも可能だと思う。

 クラウドコンピューティングが注目される中、それに伴って「ビッグデータ」という言葉がしばしば使われるようになった。単純な話、巨大なデータということなのだが、もっと詳しく言うと「構造化されていない膨大なデータの塊」と表現できる。そのビッグデータを分析、解析することで、そこから役に立つ情報を得ようという考えが広まりつつあるのだ。例えばスマートループやスマートループ アイを通して集まってくる情報は、立派なビッグデータである。

 もちろんスマートループで集められた情報は、渋滞情報に反映させるなどで活用されている。だが、そこで蓄積されたビッグデータは無限の可能性を秘めているのだ。例えば有名な観光地を結ぶドライブルートに関してビッグデータを分析すれば、経由地を含めてどんなルートが好まれているかを知ることができる。このルートは渋滞が少ないから好まれている、このルートは景勝地を楽しめるので好まれている、そういった分析が可能になる。一方では「皆が選んでいるルートは渋滞が発生しやすい」と考えることもでき、別のルートを示すようにすることもできる。

 スマートループ アイで、任意のスポットの画像が蓄積されたとしよう。スポットウォッチャーで直近の状況を画像で確認できるのというのは大きなメリットだ。だが、画像が蓄積されて行けば「このスポットは17時前後に混雑しやすい」といった、時系列的な分析も可能になってくる。ルート探索を17時ごろに行った時は、そのスポットを避ける。それ以外の時間帯なら、そのスポットを経由するルートを示すといったことも可能になる。

 先ほど紹介した被災地におけるスマートループ渋滞情報の利用は、ビッグデータの活用例の1つとも言える。そしてまた、情報をネットワークから得るだけでなく、情報を発信するスマートループ機能を持つサイバーナビだからこそ実現したことでもある。データをクラウドサーバーに送信し、蓄積されたビッグデータを分析して活用する。そういった意味でサイバーナビは、より高い次元のクラウドナビへ進化を着実に続けていると言えるだろう。

 前編でも書いたが、私はコンピュータが専門で、クルマは好きで乗っているだけなのだ。たまたまプリウスからハチロクに乗り換えた際、HUD(ヘッドアップディスプレイ)の存在に引かれてサイバーナビを導入した。そしてそのサイバーナビは、ピッタリと私のライフスタイルと好みにハマったのである。そうした流れで今回、新サイバーナビのことを単なるクルマ好き、カーナビ好きのおっさん視点から書かせてもらったのだが、正直かなり後悔している。いや「新サイバーナビのことを知らなければ、旧サイバーナビと幸せに暮らせたのに!」というだけなのだが。

 新サイバーナビを実際に使ってみて、まずスカウターの画像が高解像になった点が魅力だ。信号のない横断歩道を画像解析で認識してくれるのもいいし、旧モデルと比較して画像解析の精度が向上したように思う。次にフリーワード検索、この大ざっぱに、それでいて高い精度で音声認識をして検索してくれる機能が気に入った。そして決定打はスマートループ アイの存在だ。忘れてならないのはハードウェアのアップグレードで処理スピードが向上、サクサク感が私も買った旧モデルに比べアップしたことだ。これだけ旧モデルと比較してメリットがあるとしたら……。

 コンピュータ屋としては、AR HUDに憧れてサイバーナビを購入したが、スマートループ アイのクラウドコンピューティングを活用した情報共有には無条件で心引かれる。というか先ほど登場したサッカーミュージアム入口、すなわち私の通勤ルートにあるスマートループ アイ スポットの写真、私が率先してアップロードしようじゃないかと! その上でパイオニアに「高戸橋をスポットにしてください!」と上申するのである! 結論、もう新サイバーナビに乗り換えるしかないじゃないか! というか前編を書き終わった段階で、すでにショップには注文入れしまったのだ! もちろんHUD、クルーズスカウターユニット付属のフルセット! こういうのは勢いですよ、勢い。という訳で旧サイバーナビから新サイバーナビへの載せ替えは近日、本サイトの筆者連載「86(ハチロク)繁盛記」でリポートいたします。乞う御期待!

高橋敏也

デザイナー、コピーライターを経て、パソコン関連のライターとして独立。SF小説なども上梓している。ライター歴は20年を超えるが、最近10年は真面目なレビュー記事というより、パソコンを面白おかしく改造する記事などを書いている。若い頃はオートバイをこよなく愛していたが、体力の衰えと共にクルマへの興味を持つ。このため自動車免許を取得したのは1998年。現在、クルマはトヨタのハチロク、オートバイはカワサキのNinja 1000とZ1300を所有、都内を縦横無尽に走っている。インプレスジャパン、DOS/V POWER REPORT誌に「高橋敏也の改造バカ一台」を連載中。ほかにImpress Watchでインターネット動画「パーツパラダイス」を配信中。

Photo:安田 剛