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グッドスマイルレーシング、2014年シーズンも初音ミク号でSUPER GT300に参戦

マシンはBMW Z4。車体機構デザインにマクロスの河森氏、レーシングミクイラストに艦これ 空母ヲ級のおぐち氏

いち早く2014年のチーム体制を発表したグッドスマイルレーシング
2013年12月23日発表

 12月23日、グッドスマイルレーシングは都内で記者会見を行い、SUPER GTの2014年シーズンにおける初音ミク号の参戦体制を明らかにした。

 エントラント名は「GSR & TeamUKYO」で、2013年まで続いたStudie(スタディ)に代わってグッドスマイルレーシングが新しいエントラントになる。よって、エントラント代表はグッドスマイルレーシング代表取締役である安藝貴範氏が務める。会見には2013年までチームのエントラント代表を務めたスタディ代表取締役の鈴木康昭氏も同席した。

記者会見とは別に、同日に行われた忘年会の会場でもスタディの鈴木氏は訪れたファンの前で経緯を説明。ファンからも大きな声援と拍手で来シーズンへと送り出された

 2008年の初参戦より一緒に活動を続けてきたスタディが初音ミクレーシングプロジェクトから離脱するのは、2014年はBMW Z4を参戦マシンとしてスタディが新しいチームを作ることになったことが大きな理由だという。鈴木氏によれば「安藝氏からは2台体制でやろうという提案もあり、迷ったり寂しい思いはあったが最終的には別のチームということで決断をさせてもらった」と、経緯の説明があった。新チームを起ち上げることで、ひとつのけじめが必要だという気持ちが大きかったという。

これまでのスーパーバイザーという立場から、エントラント代表となるグッドスマイルレーシングの安藝貴範氏

 一方、安藝氏は「スタディとは2008年に初音ミクプロジェクトという形で、本当にSUPER GTにお邪魔させていただく形で参戦してから一緒にやってきた。来期は7年目のシーズンを迎えることもあり、7という数字がいい区切りになることを願って発展的解散ということになった。袂を分かってと言っても長くやってきた仲でもある。新エントラントとして、あらためて頑張っていく」とコメントした。

 後述する参戦車輌も同一。車輌の調達はスタディ経由で行われ、メンテナンスもともにRSファインが行うということで「最大限協力するというのは、チームを離れても変わらない」(鈴木氏)とのこと。ワークスとプライベーターのような関係になるのかという記者からの質問に対しても「これまで同様にRSファインのメンテナンスになるので、2台ともいい状態にして走るということ。ピットもおそらくはほとんどのサーキットで隣同士。(GT300に)2台(以上)のマシンが参戦することを生かし、データやパーツの共有など、これからもまだまだ相談することはある」としている。

 「GSR & TeamUKYO」のチームメンバーも基本的に2013年の体制を維持するものの、エントラントの変更にともなってそれぞれの役割が変わっている。2013年にスポーティングディレクターを務めていた片山右京氏はチーム監督に就任。2013年に監督を務めていた大橋逸夫氏はゼネラルマネージャに就く。ドライバーは2012年以来続いている谷口信輝選手と片岡龍也選手のコンビで続投する。

 車輌は引き続き「BMW Motorsport Z4 GT3」で、2014年仕様の新車が投入される見通し。この日は使用車輌の発表のみで、車体のカラーリングやレーシングミクのデザインは2014年2月9日に幕張メッセで開催される「ワンダーフェスティバル 2014[冬]」で公開される予定となっている。同日、グッドスマイルカンパニーのブース内で決起集会を行うとのこと。初音ミク号のゼッケンは引き続き4号車であることが明言されている。

2013年のスポーティングディレクターから、2014年は監督に就任する片山右京氏。結果を出していくシーズンにしていくと抱負を述べた
ゼネラルマネージャーに就く大橋逸夫氏。2013年の監督という立場から、どちらかと言えば裏方にまわってチームを支えていくとのこと。もちろん、サーキットへも足を運ぶ
2011年以来、4年目のシーズンを迎える谷口信輝選手。「スタディが抜けるのは寂しいですが、来期もこのチームに乗ることに決めました。十分に(チームは)チャンピオンをとれるパッケージだと思っているので、今年取り逃したポイントを来年は取り逃さず、タイトルを手にします」と力強くコメントした
片岡龍也選手は、「チーム体制やチームの名前は変わるんですが、パートナーは同じです。ドライバーは速く走ることが仕事なわけですから一生懸命に走るだけ。2014年は谷口選手からチャンピオンを取るぞと声をかけてもらってから3年目になります。これまでの2年では残念ながら成し得ていませんが、力を出し切れば十分にチャンピオンを取れます」と決意を語った

マクロスシリーズの河森正治氏が手がける車体機構デザインとは?

 デザインこそ未公開だが、2014年の初音ミク号を彩るスタッフが安藝貴範氏によって発表された。毎年デザインが変わるレーシングミクの2014 ver.は、イラストレーターのおぐち氏が担当する。おぐち氏は人気のブラウザゲーム「艦隊これくしょん」で、敵艦娘のなかでも人気ナンバーワンの呼び声が高い「深海棲艦 空母ヲ級」をデザインした新進気鋭の若手イラストレーター。

チーム体制は発表されたが「BMW Motorsport Z4 GT3」の新デザインとレーシングミク、チームのレースクイーンなどは2014年2月9日に開催されるワンフェスでのお披露目となる

 また、アートディレクターには「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」でデザインワークス、「キルラキル」でアートディレクターを務めたコヤマシゲト氏を起用。チームとして初めてアートディレクターというポジションを決めてデザイン全体を統括する。チームのアートディレクションに加え、おぐち氏のレーシングミクとともに車体のデザインを行うとのことだ。

 そして2014年の初音ミク号には、もう1人ビッグネームの参加が明らかにされた。「車体機構デザイン」としてマクロスシリーズの原作およびメカデザインでお馴染みの河森正治氏が参加する。車体機構がどんなものかは、安藝代表曰く「河森正治ということで、何が行われるかはご想像いただきたい」とのこと。鈴木氏が率いることになるStudieチーム(仮)と使用する車輌はBMW Z4で同一だが、この河森正治デザインの部分がエクステリアにおける違いとなるものと推測される。会見のなかでもそれを匂わせる発言があった。

 この数段落が何を紹介しているか分からないというクルマ派の読者の方向けにざっくりとまとめると、主役である初音ミクのデザインには新進気鋭の若手を大抜擢するが、まとめを実力派が行って全体を引き締め、加えて名前だけでも客が呼べる大物を擁するという贅沢かつ商売の王道ともいうべき顔ぶれとなる。

 安藝氏によれば、「すでにレーシングミクのキャラクターデザインと衣装のデザイン作業は終わりかけている状況」とのこと。おぐち氏はデジタイザではなく筆を中心に使用してデザインしており、そうした筆のタッチを生かしたものになるとのこと。空母ヲ級のイメージはおおむねモノトーンだが、レースクイーンであるレーシングミクはちゃんとカラーでデザインされているという。最初のラフデザインを見たときには「勝つる!」と思ったそうなので、2014年2月9日の発表を楽しみに待ちたい。

レーシングミク 2014 ver.のデザインは、若手イラストレーターのおぐち氏を抜擢。艦これの「深海棲艦 空母ヲ級」の作者と言えば、分かる人にはよく分かる。安藝氏曰く「レースも好きだがミクさんも大好き。その筋の方にはガツンとささるのではないかと」
チーム初のアートディレクターには、コヤマシゲト氏を起用する。2013年10月~12月に放映されたTVアニメの「キルラキル」でもアートディレクターを務めた
記者向け発表では「お~」という低い声が漏れ、忘年会会場では大きな響めきが巻き起こった河森正治氏の参加。「車体機構デザイン」というこれまでにはないポジションと、「ご想像いただきたい」という安藝氏のコメントに、ワンフェスへの期待が高まる

 同日夜には、チームコンセプトである「ファンと共に走るレーシングチーム」のとおりに、2013年の個人スポンサーを招いた恒例の忘年会が開催された。前述の内容が会場に訪れた個人スポンサーとニコニコ生中継をみるユーザーにあらためて発表され(記者会見時点では箝口令があり、忘年会のタイミングで正式発表)、会場は沸き、モニタにはニコニコ生中継からの弾幕が飛び交っていた。チームを支える個人スポンサー制度についても、2014年は元旦からスポンサー募集を開始することも併せて発表されている。

忘年会会場入り口に展示されていたイラスト。レーシングミク 2013 ver.を担当したイラストレーターのsaitom氏によるもの
シャンパンファイトで使われるシャンパンを手に、2013年の忘年会として会場に訪れた個人スポンサーの皆さんと一緒に乾杯
終盤には、すっかり出来上がっている人達がステージにのぼって、ニコニコ生中継を実施。この中継で、チーム体制やレーシングミクの概要などが公開された
中継でも紹介された「2013年をざっくり振り返る」
会場に展示された2013年参戦車輌の1/32スケールモデル「GSR hatunemiku BMW 2013 最終戦 ver.」
同じく会場に展示された1/6スケールの「レーシングミク 2013 ver.」

(矢作 晃)