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BMW、“第3のパワートレーン”を搭載した「X5」のPHVモデル「X5 xDrive40e」発表会
2016年に「330e」「225xe」「740e」を発表、全セグメントにPHVモデルを導入すると予告
(2015/9/8 22:06)
- 2015年9月8日開催
- 927万円~993万円
ビー・エム・ダブリューは9月8日、同日に注文受付を開始したPHV(プラグイン・ハイブリッド)車「X5 xDrive40e」の発表会を、BMW iブランドショールーム「BMW i Megacity Studio」(東京都港区西新橋)で開催した。
X5はこれまでガソリンモデル、クリーンディーゼルモデルを展開していたが、新たに直列4気筒DOHC 2.0リッターターボエンジンにモーターを一体化した8速ATを組み合わせるPHV「X5 xDrive40e」をラインアップに追加。「X5 xDrive40e」「X5 xDrive40e xLine」「X5 xDrive40e M Sport」の3グレードを展開し、価格はそれぞれ927万円、993万円、993万円となっている。
エンジンは最高出力180kW(245PS)/5000-6500rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1250-4800rpmを、モーターは最高出力83kW(113PS)/3170rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/0rpmをそれぞれ発生し、システム全体で230kW(313PS)/450Nm(45.9kgm)の出力を誇る。
ラゲッジルームの下に9.0kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、付属の普通充電ケーブルを介して自宅のコンセントから充電(200V/15A。満充電まで約3.5~4時間)を行うことが可能。120km/hまでの速度域であればモーターのみでの走行もでき、満充電時においては約31km走ることができる。JC08モード燃費は公開されていないものの、EUテスト・サイクルでの燃費は3.3L/100km(約30km/L)とアナウンスされている。
そのほかガソリン/クリーンディーゼルモデルとのエクステリア上での違いは、左フェンダー付近に配置される充電リッド、専用バッヂ、アダプティブLEDヘッドライトの標準装備などにとどめられるが、足まわりではダイナミック・ダンピング・コントロール(電子制御式ダンパー)やセルフ・レベリング・コントロール(リア)を採用するなど専用セッティングとなっている。
インテリアでの差異はあまりないが、X5 xDrive40eでは走行モードを切り替えられる「eDrive ボタン」をセンターコンソールに備えた。走行モードはデフォルトとなる「AUTO eDrive」(70km/hまでEV走行が可能)、フルEV走行モードの「MAX eDrive」(120km/hまでEV走行が可能)、バッテリーの電力を使わずにエンジンの駆動力で走行する「SAVE Battery」(最大で充電レベル50%まで充電可能)の3モードを設定する。さらにシフトレバーで「Sクイック・シフト」モードの選択も可能で、同モードを選ぶとエンジン/モーターともに最大出力での走行が行える。
i8のテクノロジーが活かされるX5 xDrive40e
同日行われた発表会では、ビー・エム・ダブリュー 広報部長 黒須幹氏とともに本国でX5 xDrive40eの開発責任者を務めるゲルハルト・ティール氏によるプレゼンテーションが行われた。
はじめに登壇した黒須氏は、発表会の会場となったBMW i Megacity StudioがBMW iブランドのさらなる啓蒙を目的にオープンしたショールームであり、今回発表されたX5 xDrive40eが搭載する電動化技術とBMW iが深い関係にあることから会場として選ばれたことを紹介するとともに、「BMW iは持続可能なモビリティを推進するBMWのサブブランド。持続可能なモビリティに向けてあらゆる技術開発やビジネスモデルなどを取り入れ、それをほかのBMWグループの中核ブランドにも広げることが、BMW iの役割の1つ」と説明。
そして黒須氏は、クルマはいつでも自由に移動できるというメリットがある半面、英国 ロンドンでは車両流入規制、中国 北京市ではナンバープレート交付を約4割削減するなど各国でCO2削減に向けた取り組みが始まっていることに触れ、「欧州では2020年に新車のCO2排出量を95g/kmにする目標が定められており、この規制に適合しないとメーカーに重い罰則が科せられる。この厳しい規制に適合するには自動車の動力の電動化は不可欠」と、近年進められているパワートレーンの電動化についての背景を紹介。
また、BMWではPHVとして「i8」をすでに展開しており、今回のX5 xDrive40eにはi8で採用されるバッテリー・セル、冷却システム、パワー・エレクトロニクスなどの技術が継承されていることを紹介するとともに、X5 xDrive40eについては「2tを超える重量にも関わらず、CO2排出量は弊社の内燃機関モデルの中でもっとも低い数値(77~78g/km)。X5はすでに高効率ガソリンエンジン、クリーンディーゼルエンジンを搭載しており、PHVモデルの投入によって日本で初めて3つのパワートレーンを搭載するSUVになる」「価格は927万円からだが、他のX5モデルと比べてLEDヘッドライトや電子制御式ダンパーなどが追加されているので、仕様見合いで見るとクリーンディーゼルモデルとほぼ同じ価格となる」とアピールを行った。
次にX5 xDrive40eの開発責任者を務めるゲルハルト・ティール氏がプレゼンテーションを実施。X5 xDrive40eでは既存のツインパワー・ターボ・エンジンや8速AT、アイドリングストップ機能などに電動駆動、電気モーター、高電圧バッテリー、電動エアコンコンプレッサーといった「eDriveテクノロジー」を組み合わせており、「ドライビングダイナミクスは改善され、エンジンの反応もより自然になっているし、アクセルペダルを踏んだ時にスムーズな反応を示す。CO2排出量ゼロでの走行も可能」と、その走行性能を評価するとともに、「i8の開発段階からeDriveテクノロジーをほかのモデルにも展開していきたいと考えていた。そこでeDriveコンポーネントを開発段階からモジュール型とし、迅速に最適な形でほかのモデルにも展開することを可能にした。X5 xDrive40eではi8のテクノロジーが活かされており、例えばバッテリーセルの形状はi8とまったく同一。また、冷却システムについてもi8のものが使われている」と、X5 xDrive40eではi8のさまざまな技術が活かされていることを紹介。
一方、長距離走行も想定されるX5では居住性や積載性も重視されるが、X5 xDrive40eではBMW iで培われた省スペース設計により最大4つのゴルフバッグなどを載せられるラゲッジスペースを実現。ラゲッジルーム下にリチウムイオンバッテリーなどを搭載するためガソリン車などと比べフロア高は2~3cm高くなっているものの、容量は500-1720Lを確保しており、「家族全員でロングドライブに行ける」と評価。加えて燃料タンクはガソリン車、ディーゼル車の85Lに対して83Lと、遜色ないタンク容量も確保していることが報告されている。
なお、ティール氏はプレゼンテーションの最後に今後もモデルラインアップの強化を図っていくとし、今回のX5 xDrive40eを皮切りに2016年に「330e」「225xe」「740e」を導入すると発表。「BMWのストーリーはまだ始まったばかり」と、全セグメントにPHVモデルを導入してさらに販売攻勢をかけていくことを誓った。
X5 xDrive40e主要諸元
グレード | X5 xDrive40e | X5 xDrive40e xLine | X5 xDrive40e M Sport |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | ||
定員[名] | 5 | ||
全長×全幅×全高[mm] | 4910×1940×1760 | 4910×1985×1760 | |
ホイールベース[mm] | 2935 | ||
前後トレッド[mm] | 1645/1650 | 1640/1645 | 1660/1700 |
最低地上高[mm] | 210 | ||
エンジン | 直列4気筒DOHC 2.0リッターターボ「N20B20A-P251」 | ||
エンジン最高出力 | 180kW(245PS)/5000rpm | ||
エンジン最大トルク | 350Nm(35.7kgm)/1250-4800rpm | ||
モーター最高出力 | 83kW(113PS)/3170rpm | ||
モーター最大トルク | 250Nm(25.5kgm)/0rpm | ||
使用燃料 | 無鉛プレミアム(83L) | ||
駆動用バッテリー種類 | リチウムイオン電池 | ||
駆動用バッテリー個数 | 1(96セル) | ||
駆動用バッテリー電圧 | 355V | ||
駆動用バッテリー容量 | 26Ah | ||
駆動用バッテリー総電圧 | 393V | ||
駆動用バッテリー総電力量 | 9.2kWh | ||
重量[kg] | 2370 |