三菱自動車、3列7人乗りSUV新型「アウトランダー」発表会
安全、環境、上質の3点にこだわって進化。クラストップの低燃費を実現

新型アウトランダーと、三菱自動車工業 取締役社長 益子修氏

2012年10月25日開催



 三菱自動車工業は10月25日、7人乗りSUV新型「アウトランダー」を発売。同日、本社において発表会を開催した。

 新型アウトランダーの価格やグレード構成については、発表記事を、各部の写真については「写真で見る」を参照してほしい。

 発表会では、三菱自動車工業 取締役社長 益子修氏が、2005年に発売した先代のアウトランダーに触れ、三菱自動車再生計画発表後の最初のクルマであり、走りや使い勝手のよさなどから全世界で66万台を販売。新型アウトランダーは、「走りとユーティリティに一掃の磨きをかけるとともに、環境性能をより採り入れることで進化させたクルマ」だと言う。

 交通事故死者数は4700人を下まわり、負傷者数とも減少傾向にあるものの、負傷者数はいまだ85万人を超える。これらが少しでも少なくなるよう、新型アウトランダーでは先進安全技術「e-Assist(イーアシスト)」を三菱車として初採用。このe-Assistにより「ぶつからない、はみださない、前のクルマについていく」機能を持ち、「クルマは一層頼れるパートナーになった」とした。

アイドリングストップ機能を装備する新型MIVECエンジン。2.0リッターと、2.4リッターをラインアップ

 環境面については、約100kgの軽量化を図り、アイドリングストップ機能と新型MIVECエンジン搭載で7人乗りのSUVでクラストップの低燃費性能(JC08モード燃費は、2.0リッターモデルが15.2km/L、2.4リッターモデルが14.4km/L)を持つ。

 新型アウトランダーは、ミリ波レーダーを用いるe-Assistの搭載、そして環境性能に優れることからTVCMにはザトウクジラを起用。「クジラは音波を出し、反射波でまわりを把握する。なかでもザトウクジラは、音波を出している時間が長く鳴いているように聞こえる」と言い、このTVCMによって安全安心を表現したいと語った。

 新型アウトランダーはグローバルモデルであるため、7月からロシアで販売を開始。ロシアではすでに1万2000台の販売を記録しており、9月には欧州各国にも投入し、10月の日本投入となった。今年度中の日本での販売目標は、月1000台でトータル5000台。全世界の販売目標は7万台となる。

 この新型アウトランダーがベースとなるプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」は、2013年1月の発売が予告されている。アウトランダーシリーズ全体では、先代のアウトランダーに対して「アウトランダーPHEVの販売台数を上積みしたい」と言い、先代以上の販売台数を目指していく。


執行役員 プロダクトエグゼクティブ 岡本金典氏

安全、環境、上質の3つの進化
 新型アウトランダーの詳細については、執行役員 プロダクトエグゼクティブであり開発責任者でもある岡本金典氏が説明。新型アウトランダーの先代からの進化点として、先進の安全性能、環境性能と低燃費、ワンランク上の上質を挙げた。

 先進安全技術であるe-Assistは、衝突被害軽減ブレーキ(FCM)、車線逸脱警報システム(LDW)、レーダークルーズコントロールシステム(ACC)から構成され、レーダークルーズコントロールでは停止状態まで自動追従。「ぶつからない、はみださない、ついていく」のこの機能で、事故に至らないようなヒヤッとする事象を軽減していき、ドライバーの負担の軽減を図る。

安全、環境、上質が大きな3つの進化点ぶつからない、はみださないを実現するe-Assist
衝突被害軽減ブレーキ(FCM)
車線逸脱警報システム(LDW)レーダークルーズコントロールシステム(ACC)

 また、衝突安全強化ボディー「RISE(ライズ)」の導入、7つのエアバッグを全グレード装備で、万が一の際の安全も確保。安全に走るための装備として、電子制御4WDでは「4WD ECO(通常は2WD、滑ったら4WD)」「4WD AUTO(適切な4WDコントロール)」「4WD LOCK(後輪への駆動力配分を強めた4WD)」という3つのドライブモードを導入。左右の駆動輪への適切なトルク配分を行う「S-AWC(Super All Wheel Control)」もオプションで用意する。

衝突安全強化ボディー「RISE(ライズ)」電子制御4WDS-AWC(Super All Wheel Control)

 環境性能としては、先代モデルに比べJC08モード燃費を約15~22%改善。2リッターの2WDで13.2km/Lから15.2km/Lへ、2.4リッターの4WDで11.8km/Lから14.4km/Lへと向上している。これは7人乗りSUVクラストップ(2.0リッター、2.4リッター)の低燃費であるとし、全車エコカー減税の対象となり、自動車重量税、自動車取得税が50%減税される。

 この燃費値はカタログ値となるが、ドライバーのエコ走行をサポートする機能を付加。エンジン制御、エアコン制御、4WD制御と協調してエコモードへと変更する「ECOモードスイッチ」、瞬間の燃料消費量を視覚化する「ECOドライブアシスト」、アイドリングストップ累積時間とエコ運転度合いを葉っぱで表示する「AS&Gモニター+ECOスコア」を用意した。

 そのほか、約100kgの軽量化、先代モデルから7%空気抵抗係数を軽減しCd値0.33とした新設計ボディーなども、燃費値向上に貢献する。

燃費を向上し、全車エコカー減税対応新型のMIVECエンジンエコサポート機能
エコドライブサポートシステム
約100kgの軽量化を実現Cd値も低減

 上質については、デザインについては1クラス上のボリューム感を目指し、インテリアではダッシュボードをシームレスなソフトパッドで構成。単に上質とするだけでなく、3列目シート幅を120mm拡大したほか、2名乗車時のラッゲジルーム長を335mm長くした。

 新型アウトランダーは、2.0リッターの「20G」、2.4リッターの「24G」「24G Safety Package」「24G Navi Package」の4グレード構成。24G Safety Package以上が先進安全機能e-Assistを装備する。岡本氏は、「24G(269万2000円)と24G Safety Package(278万7000円)の価格差は9万5000円。これも努力した点だ」と言い、e-Assist搭載のアウトランダーを購入しやすいようにしている。

上質にすることも開発目標インテリアの品質も上げた使い勝手も改善
6色のボディーカラーを用意24G Safety Package以上に、先進安全機能e-Assistを搭載アウトランダーPHEVは、2013年1月に登場する

 新型アウトランダーについては、先代から乗り換える人はもちろん、「初めて三菱車に乗る人も、よい買い物をしたと思っていただける商品になっていると自負している」と説明を結んだ。

(編集部:谷川 潔)
2012年 10月 25日