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日本市場への本格進出を図るアルカンターラ
アンドレア・ボラーニョ会長兼CEOがイタリア大使館で会見
(2013/3/19 22:11)
イタリア アルカンターラの会長兼CEOであるアンドレア・ボラーニョ氏が来日。イタリア大使館において、アルカンターラのブランド戦略を発表した。
アルカンターラは、スエードのような風合いを持つ人工皮革素材「アルカンターラ」の開発・販売を行っている企業。アルカンターラ素材は、1970年代に東レに勤務していた岡本三宣氏が発明し、アルカンターラは、この素材の開発・販売を行う会社として1972年にイタリア ミラノに設立された。株主資本比率は、東レが70%、三井物産が30%となっている。
それから40年、アルカンターラは順調に成長し、アルカンターラ素材は高級素材として知られている。自動車においては、高い耐久性、しなやかな柔軟性、通気性に優れることから、多くの欧州車で採用されている。また、本社をイタリアにおくことから、イタリア製のスポーツカーへの採用例も多い。
今回その会長兼CEOであるアンドレア・ボラーニョ氏が来日したのは、アルカンターラ素材の日本での拡販を図るため。ボラーニョ氏は、「40年の歴史を経て、高級品ブランド『アルカンターラ』を欧州や中国で構築してきた。アルカンターラは、テーラーメイドソリューションを持っており、ほかの素材と差別化できている。また、アルカンターラ素材は、エンボス、レーザー、パーフォレーションなど素材表面にこだわったさまざまな製品を開発してきた」と言う。
現在アルカンターラ素材の用途は、自動車が65%、家電が16%、ファッションが10%、インテリアが9%となっているが、今後の伸びに期待しているのが家電分野だと語る。
アルカンターラと同じテクノロジーが用いられた製品として東レの人工皮革素材「エクセーヌ」がある。このエクセーヌは、自動車分野や北米においては「ウルトラスエード」というブランド名で販売されており、アルカンターラが日本に本格進出する上で競合することになる。
この点について、東レ マイクロファイバー事業部門 部門長 沓澤徹氏は、「アルカンターラとエクセーヌに使われている(マイクロファイバーの)基幹技術は同じものだが、いずれも40年の歴史があり現在は異なる製品となっている。欧州ではしっかりした風合いを、日本では柔らかな風合いを好む傾向があり、製品として分化した。北米などへ出荷しているウルトラスエードに関しては、エクセーヌと同じものとなり、ブランドだけが異なる」と語り、欧州で生産されるアルカンターラ素材との棲み分けはできそうだ。
この違いを、アンドレア・ボラーニョCEOは「アイデンティティの違い」と表現し、アルカンターラ素材の日本での販売に自信をのぞかせた。会場にはアルカンターラ素材を使ったタブレット端末のケースも何点か展示されており、このような製品からアルカンターラ素材の日本での普及が始まるのかもしれない。