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「自動車はまだまだ成長産業」

自工会2月定例会見より

豊田会長
2013年3月21日開催

 自工会(日本自動車工業会)は3月21日、会長定例記者会見を開催した。

意識が変わってきている

 ボーナス満額回答が話題となった今年の春闘について、豊田章男会長は「今回はボーナスばかりが話題になったが、(自動車業界は)昇給をずっと実施してきたし、これ自体が組合員の生活の安心安定につながっていると思う」と、これまでの努力をアピール。

 また安倍政権について「金融政策、財政政策、成長戦略をかかげて、スピード感を持って行動してると思う。現在の市場の状況を見てもその政策というのは評価されていると見ている。この20年間、デフレに苦しみ、6重苦に苦しむ中で、3カ月ではあるが株価が上がり、為替も安定へ向けて動きを示している。気持ちの上でもずいぶん意識が変わってきているというのが正直なところ」と評価。

 “アベノミクス”に「ムード先行」の批判があることについては「少なくとも日本経済に明るい兆しが見えているのは間違いないし、この流れを持続的成長としていくために、成長戦略の取り組みで民間の底力や活力を引き出していくことが重要だと思っている」とし、「世界では販売が4%増えているのが自動車産業。先進国だけ見ていると成熟産業となるが、まだまだ成長産業。今後、新興国を中心に市場拡大が見込まれるなかの成長産業である自動車産業を、成長戦略のどまんなかに位置づけていただきたい」とし、国内市場活性化、外国企業とイーブンで競争できる環境整備、電気自動車をはじめとする次世代パワートレーンのためのインフラ整備等の環境整備などを訴えた。

軽自動車は優遇ではない

 その安倍政権が表明したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉については「TPPの目的は、成長のあるところをより成長させていくこと。自由貿易のもとで世界の競争に打ち勝てるよう、自動車業界も必死でがんばっていきたい。成長する海外の市場を取り込み、次の世代に元気な日本を引き継げるよう、国民全体で努力しなければいけない時期なのかなと思っている。政府には、真に利益のある協定の早期実現に向け、積極的な取り組みをお願いしたい」と期待を表した。

 TPP関連では、日本独自の規格である軽自動車が非関税障壁として槍玉に挙げられることがあるが、「“優遇”と言われるが、いろいろな規制の中で一所懸命日本の道に合わせて作っているクルマ。需要の37%くらいが軽、ということは日本の道にあった国民車ということ。輸出もしていない。660cc、幅、長さも規制がある。決して優遇ではない」「道がクルマを作っている。グローバル化が進んだところで、各国で車が違うのは、道路事情があるから。その国の道路事情や使い勝手に合ったサイズ感とクルマが必要」と擁護した。

(編集部:田中真一郎)