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マツダ、「アテンザ ASV-5」と路面電車による先進安全支援システムの公道実証実験を公開
路面電車-自動車間通信型ASVデモは世界初
(2013/10/2 00:00)
マツダは9月29日、広島市内で実施している世界初の「路面電車-自動車間通信型先進安全運転支援システム」公道実証実験を報道機関向けに公開した。
この公道実証実験は、産学官共同で研究・実用化が進められているITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)を活用する安全運転支援システムのデモンストレーション。システムの開発と実証実験をマツダも参加している「広島地区ITS公道実証実験連絡協議会」が主催しており、マツダが開発したASV(Advanced Safety Vehicle:先進安全自動車)の「アテンザ ASV-5」が使われている。
広島市では路面電車が市民の日常的な移動手段として定着しており、1日に平均15万人が利用している。今回の公道実証実験では、道路を共有する路面電車と自動車が車車間通信と自立型車載センサーを組み合わせたシステムを活用し、双方の安全性を高める方法について検証することを目的としている。
取材日となった9月29日までに具体的な実験内容やコース設定、こまごまとした段取りなどが現地で煮詰められ、公道での本格的な実証実験はこの日になって初めて行われた。
使用されているアテンザ ASV-5は、市販モデルに搭載している「スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)」「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」「リア・ビークル・モニタリングシステム(RVM)」などで使用するセンサー類とカメラにASV向けのチューニングを施し、右左折時の進行方向もチェックできるよう検知範囲をワイド化。さらに車両の四隅バンパー内にマイクロ波レーダーを内蔵し、運転席側ドアミラー脇に歩行者の検知用カメラを追加している。
さらに内装では、運転席の前方にヘッドアップディスプレイ(HUD)を設定。基本的にアテンザ ASV-5では文字やアイコンなどでの運転支援情報をすべてこのHUDで表示し、それ以外に警告音と運転席のシートバックを振動させることで、ドライバーに車両に危険が迫っていることを伝達する。ただし、取材日は参加者が内容をイメージしやすいよう、ナビ画面と追加モニターにHUDの表示内容などを映して紹介していた。また、同じ実証実験の対象となる路面電車にも基本的に同様のセンサー類が搭載されているとのこと。
今回の路面電車-自動車間通信型ASVのデモンストレーションでは参加した取材陣を2組に分け、筆者は先に路面電車に乗車して3種類の作動状況を取材することになった。また、アテンザ ASV-5に乗り換えての取材では、路面電車で体験した運転支援情報の再チェックのほか、路面電車が会場となった一帯から少し先で進行方向を入れ替える時間を利用して、この車両に設置された「右折時の歩行者検知」も確認している。