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モバイルルーター機能を持つ新型アウディ「A3」のMMIを試してみた

カーナビの地図はGoogle Earthとストリートビューを利用可能

アウディコネクト対応のMMIナビゲーションシステムのモニターは下からせり出してくるリトラクタブルタイプ

 Wi-Fi装備で話題になったアウディの新型「A3 スポーツバック」の試乗車に触れることができたので、「アウディコネクト」対応のMMIナビゲーションシステムにおける車内でのWi-fi接続(無線LAN接続)を含め、アウディコネクトの画面写真を中心にお伝えする。

通信でGoogleの地図が利用可能

新型アウディ A3

 アウディコネクトとは、アウディ車に搭載するMMIナビゲーションシステムの拡張機能。とは言え従来機種に装着できるものではなく、新たに登場するアウディコネクト対応のMMIナビゲーションシステムでのみ利用できる。国内では9月に発表された新型A3が最初の搭載可能車種となる。

 アウディコネクトでは、携帯電話の通信回線を用い、ナビゲーションの地図にGoogle Earthの航空写真地図、目的地確認にGoogleストリートビューの街路写真が見れるほか、目的地検索にもGoogleの情報を活用することや、ウィキペディアに記載のある場所やPanoramioの写真の場所も目的地検索対象として利用できる。

 また、天気予報、ガソリン価格を含むガソリンスタンド情報、ニュース、フライト情報、リアルタイムな満空情報がある駐車場情報をオンラインで利用できる。固定の地図データも内部に持っているため、携帯電話が圏外の場所でも地図表示や道案内、内部地図データによる目的地検索が利用できる。

 MMIナビゲーションシステムの装備は、新型A3の場合はいずれのグレードもメーカーオプションとなっており、オプション価格は+30万円。この価格には3年分の通信費をはじめ、7インチへの液晶画面の大型化をはじめ、ミュージックサーバー機能、DRSC機能など、標準装備のMMIベーシックに対するアップグレードを含んでいる。

 国内仕様における携帯電話回線はソフトバンクのもので、3G方式でデータ通信のみ対応する。最初の3年間分の通信料はナビゲーションシステムの本体代金の30万円に含まれるため、当面は通信費を別途負担することなく利用が可能。3年間経過後は別途専用の通信契約を結ぶことで利用継続ができる。

MMIナビゲーションシステムのメニュー画面
画面はタッチパネルではなく、操作はすべてMMI(マルチメディアインターフェイス)のダイヤルとボタンで行う
ダイヤル上部はタッチパッドになっており、スワイプのほかに漢字対応の文字認識パッドとしても使える
システム内部に持っている地図表示。オフラインでも使える
地図はナビゲーションの設定から変更できる
地図表示の「通常地図」は、内部の地図データ
Google Earthに変更が可能だ
変更はMMIのダイヤルで操作する
Google Earthに変更して地図表示に戻すと航空写真による地図になる
ダイヤル上をなぞって地図スクロールが可能
地図を拡大していくとストリートビュー表示になる。ここからダイヤル上をパッド操作すると表示方向が変化する
反対側を表示することができた
目的地は検索場所を選んだあと、検索方法を選ぶ
オンライン検索では、手書きで書いてしまうのが簡単だ。右ハンドル車だと左手で書くことになるが、運転中は使えない機能なので、思い切って体をひねって右手で書いてしまうか、助手席の人に頼む手もあるだろう
検索結果の表示。地図上で選ぶこともできる
地図上で表示。ダイヤル上のパッド操作で地図スクロールが可能
Google Earth表示に切り替えることもできる
ストリートビューも確認できる。うろ覚えの目的地を確定される場合にもたいへん便利だ
地図画面上に表示するアイコンを選択することができ、Panoramio、ウィキベディアも選択可能だ
地図上に[W](ウィキベディア)アイコンが表示される
[W]のアイコンに合わせると、合わせた先の情報を表示させることができる
Panoramioの写真アイコンも表示可能
写真を表示。都会ではあまりないかもしれないが、観光地で気に入った景色の場所に向かうという応用ができそうだ
場所が決まればルート検索が可能。推奨ルートやエコルートなど複数提案してくれる
ルート設定後の案内画面でもGoogle Earthの航空写真画面を選ぶことができる
内部情報の地図も選択可能だ
アウディコネクトでは各種情報が表示可能だ
現在地の天気情報
スクロールすると予報が表示される
ガソリンスタンド情報、価格も表示できる
スタンドを選ぶと詳細なガソリン価格や所在地情報が確認できる
ニュースは現在のところ読売新聞のみ
ニュースが表示された
フライト情報ではまず空港を選べる。現在地から近いところから選択できる
画面は出発情報だが、到着情報も表示できる。お迎えに空港に向かう場合にも便利
選択したフライトの詳細情報も表示
駐車場検索では、近隣の駐車場が一覧で表示され、満空車の情報のあるものは色が表示される
駐車場の詳細情報。台数や駐車場タイプが分かる
アウディコネクトの説明を見ることができる
音声通話は手持ちの携帯電話へBluetoothで接続が可能だ
DSRCもA3のMMIナビゲーションシステムに含まれる
DSRC対応のETC車載器もグローブボックス内に設定される

モバイルルータ機能で、PCやタブレットを接続可能

 アウディコネクト対応のMMIナビゲーションシステムには、3G通信モジュールと無線LANルータ機能を内蔵してWi-Fiスポットを提供する。車内にあるPCをはじめタブレットやゲーム機など無線LANに対応する機器を最大8台までまとめてインターネット回線に接続できる。

 MMIナビゲーションシステム単体でも天気予報やニュースなどオンライン情報を得ることはできるが、Webブラウザ機能はない。無線LAN接続のためのSSIDとセキュリティキーは設定画面から任意のものを設定可能。セキュリティもWPA2に対応している。

 接続した端末はソフトバンクの3G回線を通り、インターネットに接続する。インターネットに接続したリモートホスト情報は「********.tss.access-internet.ne.jp」で、ソフトバンクのモバイルルータと同じ回線となっているようだ。

 通信回線のSIMカードは助手席のグローブボックスを開ければすぐに抜き差しが可能で、SIMカードのサイズは標準的なサイズのものとなる。通信のアンテナはルーフ後方にあるアンテナユニットの中に含まれ、クルマのもっとも高い位置にあるため良好な通信が見込まれる。

 なお、MMIナビゲーションシステムの通信はデータ通信専用で、音声通話機能は持っていない。ハンズフリー通話機能を利用するためにはユーザーが持ち込む携帯電話やスマートフォンをBluetooth接続して行う。

アウディコネクトの設定から無線LANの設定が可能
Wi-Fiスポットとしての動作のオン/オフができる
アクセスポイントとしてのSSIDやキュリティキーは自由に設定が可能。セキュリティタイプはWPA2対応だ
こちらはWAN側の設定
接続する3Gネットワーク。支給されたSIMを装着すれば自動でソフトバンクに接続
データ通信の量が表示できる
3Gでの接続状況が表示でき、識別番号であるIMEIも画面で確認できる
通信モジュールをオフにすることもできる
SIMは標準サイズで、グローブボックス内から簡単に抜き差しが可能だ
グローブボックス内のユニットは、DVD/CDドライブ、SDカード、SIMカードスロットがある
アンテナはルーフ後方。ラジオなどのアンテナと一緒にこの中に入っている

通信機能はSIMフリーかどうかは明言せず

 日本仕様については、アウディコネクトの購入(オプション装着)時に機材とSIMは一体のものとして扱うとのこと。SIMフリーかどうかは特に明言していないが、国外に持ち出して旅行することが現実的でない自動車であることと、長期に渡る通信料が含まれたSIMが付属することもあって他社SIMを挿入することは想定しづらい。

 アウディの担当者によれば、欧州仕様のアウディコネクトでは、通信回線の契約は別となっていると言う。そのためユーザーが別途契約してSIMを用意し、挿入して利用する。国境を超えるドライブが想定される欧州では、国ごとに通信回線を調達したほうが費用の面でも効率的だからだ。

 今回は試乗車ということもあり、他社SIMを挿入した場合の動作といった検証結果をお伝えできないが、MMIナビゲーションシステムの設定画面にはAPN(アクセス・ポイント・ネーム)等の設定項目が見当たらないため、NTTドコモのMVNO回線といったSIMや回線の情報からAPNが自動設定できないような回線サービスは利用できないと思われる。

(正田拓也/Photo:安田 剛)