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【CEATEC JAPAN 2013】パイオニアはAR HUD対応新型楽ナビ、クラリオンはGoogle対応ナビを出展

新型「アクセラ」のコクピットでHUDと「Mazda Connect」の体験可能

2013年10月1日~5日(CEATEC JAPAN 2013)

 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)において10月1日から10月5日まで開催される「CEATEC JAPAN 2013」。同イベントはデジタル家電を中心とした展示会だが、自動車メーカーやカーAVメーカーも出展している。ここではカーナビゲーション関連の展示に絞って紹介していきたい。

クラリオン

クラリオンブース

 クラリオンは開幕日となる10月1日にニューモデル「NX713」の発表を行った。壇上に立った取締役社長の泉龍彦氏は今後、自動車業界は安全がキーになると前置きした上で「一般向けのエンタテイメントを含めたIT技術とクルマ向けのIT技術は、クラウドを使うことでより効率的に融合できる。すでに我々はそのゲートウエイとなるクラウドサービス“Smart Access”を提供しており、来年の頭までに国内向けには86、北米向けには35、欧州では31のアプリを提供予定となっている」と紹介。目玉となるのはGoogleとの連携によって実現したクラウド型の音声認識システム「Intelligent VOICE(インテリジェントボイス)」で、これは「より使いやすく安全性が高い画期的なサービス」であると発表した。

 インテリジェントボイスの特長は「自由発話型」であること。一般的なカーナビの音声認識では「検索」とか「ルート探索」といったナビに搭載された機能を呼び出すためのボタン代わりに過ぎないが、インテリジェントボイスの場合「安くてピザが美味しいイタリアンレストラン」のように複数のキーワードが入っていても対応可能。これは「雑音除去」「音声認識」「検索」「対話型への発展」といった主要機能をすべてクラウドで行っているからこそ実現可能となっている。また、一般的なカーナビに搭載される音声認識では本体内に持っているデータにしか対応できないが、クラウド型の場合はサーバー側で情報が日々アップデートされるため、結果的に認識率も高くなるという仕組みだ。それに加えて、ナビ本体側で処理を行わないため負荷が大きくならないことも、ハードの制約が大きいカーナビでは有利といえる。

クラリオン取締役社長 泉龍彦氏

 さらに、現状では自然発話への対応にとどまっているが、将来的には「意図理解サーバ」の追加により「フェーズ2」として自然対話型に移行し、その後は「フェーズ3」としてエアコンなど車載デバイスの制御にも対応していく予定という。これらの機能もクラウド依存なので、ナビ本体を買い換える必要がないこともユーザーにとってありがたい部分だ。

 従来モデルには「CARDGET(カージェット)」と呼ばれるアプリの追加機能が用意されていたが、NX713では「Smart Access 4Car」に変更された。前者はFlashベースのアプリを本体にダウンロードする形を取っていたが、Smart Access 4CarはHTML5の採用によりクラウドサーバー上に格納したデータのみを送受信する方式となった。そのため、カージェットのアプリは利用できなくなったが、クラリオンナビの目玉機能(?)といえる「ダウンロードボイス」は引き続き対応している。また、通信環境も先代モデルでは携帯電話や通信モジュールが必要だったが、スマホ&Bluetooth接続で利用可能となった。

一般的な2DINサイズとなるNX-713
メニュー画面にスマートアクセスボタンを用意
スマートアクセスのメニュー画面
地図画面にあるマイクボタンを押すと音声入力モードに
「お腹がすいた」と発話した場合の検索結果。リストはオススメ順でソートはできない
「INFO」ボタンを押すことで口コミも見ることができる
検索は目的地周辺と現在地周辺の2パターンが可能
「行列のできるラーメン屋さん」なんて、同乗者に聞いたら「知るか!」といわれてしまいそうなワードでも検索可能
検索結果を見ると「Googleプレイス情報」から「行列」「ラーメン」といったキーワードを抽出しているようだ
「ニュース」も見ることができる
フリックにも対応。地図画面だけでなくメニューもフリックで操作できる
スマホ連携の代表的存在「NaviCon」にも対応する
「フェーズ2」となる自然対話型のデモも行われている。現状では車載機側の発話は合成音だが、特定のワードが多くなるのでダウンロードボイスによる対話も可能性がありそうだ
春モデルのNX513。機能を削った普及機的な位置づけではなく、カージェット対応など別ラインのモデルとなる
スマホの画面をミラーリングできる「Android-AUX」モードを搭載する
追加予定のカージェット用アプリの展示
カーメイトがリリースを予定しているOBD2コネクタを使ったデータロガー、ドライブメイトコネクト。データの送受信は無線LANを利用
元々はスマホとの接続を想定した機器だが、カージェットの機能でナビ画面上からの呼び出しが可能になる
広告挿入による無料の音楽ラジオサービス「ListenRadio」。スマホでもサービスを展開しているが、カージェット版では画面レイアウトなどが最適化されて操作性がアップしている
基本無料の音楽配信サービス「FaRao」。再生中の楽曲に「Good」「Bad」を付けることで好みを分析、それにあったコンテンツを配信してくれるのが特長
こちらも新発売となるNX702W。6.8インチモニター採用のワイド2DINタイプだがスマートアクセス非対応、地図データベースが異なるなどNX713とは別ラインのモデル
サイドカメラなどを利用した自動運転のデモなど将来を見すえた展示も
全国のFMラジオを試聴可能な有料サービス「ドコデモFM」
コンパニオンのコスチュームは未来的なイメージ

カロッツェリア(パイオニア)

未来的なイメージのカロッツェリアブース

 CEATECの開幕前日に新製品の発表を行ったカロッツェリア(パイオニア)。メインステージではAR情報を映し出すHUD(ヘッドアップディスプレイ)を中心としたIVI(In Vehicle Infortainment)コンセプトを展示。近未来の車室内空間を体験できる。

 その一方、ブースの主役となっているのは楽ナビだ。一挙に11製品がリリースされたニューモデルの目玉となるのは、オプション設定されたAR HUDユニット「ND-HUD10」。上位機種となるサイバーナビ用はすでに発売済みだが、こちらは楽ナビ用となる新製品。形状および表示内容を見直すことで低価格化が図られているのが特長だ。ブースではサイバーナビ用といっしょにデモンストレーションされており、実際に表示を確かめることが可能となっている。

 また、先代モデルから搭載している「エアージェスチャー」も進化。事前に登録したスケールに直接変更できる設定などが加えられ、実用性がアップしている。

 スマホと接続してナビゲーションや音楽再生が楽しめるアプリユニットにも新型が登場。新たにBluetoothのA2DP、AVRCPに対応したことで、スマホ内にある音楽データのストリーミング再生が可能となった。さらにiPhone接続時にSiriによる検索が行える「Siriアイズフリー機能」、専用接続ケーブルによる「MirrorLink」などに対応するなど、スマホとの親和性が一段とアップ。そのほかにもメニューなどのインターフェイスが見直されており、操作性の向上が図られている。こちらも会場で触って試すことが可能だ。

楽ナビ用HUD「ND-HUD10」。サイバーナビ用より小型化され、装着もサンバイザーに挟み込むだけになった
表示内容は楽ナビ専用
楽ナビとアプリユニットの展示
新らしい楽ナビには、カロッツェリア初のワイド2DIN対応モデル「AVIC-MRZ099W」もラインアップ
先代モデル同様にエアージェスチャー機能を搭載
登録したスケールに変更する設定が追加された
ジェスチャーは2種類設定できる
ルート探索時に高速ランプ表示をタッチすることで出入りするランプが選択可能に。細かい部分だが使い勝手がアップする歓迎できる進化だ
アプリユニット「SPH-DA99」。Linkwithモードを使って各種アプリをアプリユニット側から操作可能
OBD2コネクタを利用する「Defi Smart Adapter」を介して車両情報を取得し、Android用アプリで情報を表示する「Defi Merer AB」
こちらはGセンサーの情報で背景が変化する「Defi Star Tour」
無料ラジオ「ListenRadio」
アプリとAVソースのワンタッチ切り替えやMIXボリュームの操作性アップなど、使い勝手を向上
Linkwithモード対応のアプリは続々と増加中
メインステージに置かれるIVIコンセプト。ドライバーの眼球位置や視線方向を認識してHUDの表示位置の変更を行うセンシング技術なども搭載される
ステアリングから手を離さずに操作を可能にする触覚フィードバック付デバイスを搭載
アラートの方向によって左右の音量を変える聴覚情報アシストも採用
HUDの表示。これはサイバーナビにも搭載されている信号検知やSNS情報の表示例
車車間通信を利用した駐車車両やブラインド方向からの車両接近アラート
駐車場の満空を視覚的に表現
コンパニオンの衣装はノースリーブでセクシーなイメージ

マツダ

 初出展となるマツダは新型アクセラから搭載される「Mazda Connect(マツダ コネクト)」をフィーチャー。実車大モックでシステムを体験できる。

マツダブースは黒を基調としたシックなイメージ
インパネ上に設置された7インチディスプレイの「Mazda Connect」
メーター前方にはHUDの「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」を用意
初公開となるナビ画面。地図はゼンリンのデータをベースにしたもの
Ahaラジオとグローバル契約を結び全世界で展開。ラジオ視聴は無料
衝突軽減防止システム「i-ACTIVSENSE」の技術紹介も実施

JEITA

 JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)は独自のブースを用意。カーナビやDSRC(Dedicated Short Range Communication:スポット通信)を使った電子情報技術を紹介する。

JEITAブース
大きなブースを構えるパナソニックだが、カーナビはここでのみ展示
スマホ連携が可能な「DriveP@ss」をアピール
ケンウッドは一角で彩速ナビを展示
DSRC車載機を使ったITSスポットサービスの紹介も実施
大型スクリーンを4枚備えるシミュレーター。DSRCを使ったITS情報を体験しつつ、運転操作について診断できる
このシステムは4枚の画面それぞれに専用PCを使い、計4台のPCで描画しているとか。各スクリーンはフルHDなので4kディスプレイ相当だ

デンソー

 コンシューマー向けのイメージはあまりないが、実はNaviConなどでカーナビとは縁が深いメーカーでもある。なかでも今回の注目は、車載連携情報サービス「ARPEGGiO(アルペジオ)」。12月からYahoo! JapanのAndroid向け対話型音声エージェントアプリ「音声アシスト」と連携することが発表され、音声での操作が可能になる。

デンソーブース
ITSスポットサービス連動DSRC車載機「DIU-A050」。Bluetoothでスマホと連携することで、ナビの画面なしでもDSRCの情報が確認できるという、ちょっとニッチなアイテム
最近のナビではお馴染みのNaviCon
車載連携情報サービス「ARPEGGiO(アルペジオ)」
メニューに「音声アシスト」のアイコンが追加される
「近くのラーメン屋」と発話して検索した結果。この例では検索だが、「地図」「天気」「雑談」といったワードに対応する
画面上のピンにタッチすると情報を表示
詳細情報を見ることも可能。これらのデータはローカルではなくサーバーからダウンロードしてきたもの

三菱電機

 音のよさが自慢の「DIATONEサウンドナビ」を展開する同社は、通常のナビと聞き比べができるコーナーを用意している。

普及型のナビと音質の違いを聞き比べることができる
音質重視のユーザーに人気のNR-MZ80
コンパニオンの衣装は鮮やかなブルーを基調としたもの
参考出品されていたリアプロジェクションタイプのメーター
液晶パネルより色の再現性が高く曲面デザインにもフィットするのが特長

NTTドコモ

 カロッツェリアとの共同開発によるドコモドライブネットでは、「しゃべってコンシェル」のエンジンを利用した対話型エージェントをデモ。今後のナビ機能としてクラウド型の対話型エージェントが主流になることを感じさせる。

ドコモブース内のドライブネットコーナー
対話型エージェントの例
商品化予定のステアリングリモコン
開発中の「ドライブネットリモコンアプリ」。常駐型で検索結果に地点情報が含まれている際に、それを利用して目的地設定が可能になる。同乗者が利用するイメージになる

その他

ミツミ電機が参考出品するHUD。メーカー採用を前提としたソリューションだ
フルカラーレーザーで解像度は1028×320ピクセル
置くだけ充電でおなじみのQi(チー)。車載用はプリウス用しかないのがネックだったが、カーメイトからスタンドタイプの汎用製品が登場予定

(安田 剛)