ニュース

NTTドコモとパイオニア、対話形式で渋滞情報などを取得できる「ドコモ ドライブネットインフォ」を共同開発

12月中旬より無料サービス開始。メールの利用や天気、ニュースの確認も可能

ドコモ ドライブネットインフォを起動中のスマートフォン
2013年11月14日発表

 NTTドコモとパイオニアは11月14日、カーライフ支援サービス「ドコモ ドライブネットインフォ」を共同開発したと発表した。ドコモ ドライブネットインフォは、スマートフォンのアプリとして提供され、アプリを起動すると、話しかけるだけで渋滞情報を取得できるほか、メールの利用、天気、ニュースの情報取得、音楽プレイリストの実行などが可能になる。

 対象機種は、Android OSを搭載する2013-2014冬春モデルスマートフォン。サービスの提供開始は12月中旬を予定しており、詳細なサービス対応機種もその際に発表される。なお、iPhoneについては、今後の検討課題としている。

 このカーライフ支援サービス「ドコモ ドライブネットインフォ」の開始に伴い、これまでのカーナビサービス「ドコモ ドライブネット」は「ドコモ ドライブネットナビ」へと名称変更。無料の支援サービスであるドコモ ドライブネットインフォと、月額315円のナビサービスであるドコモ ドライブネットナビの2本立てとなる。ドコモ ドライブネットナビについては、12月1日からiPhone向けサービスも開始される。

 また、スマートフォンを車内で安全に使えるよう「スマートフォンホルダ01」(4830円)を新開発。スマートフォンホルダ01はNFCに対応しており、NFC搭載スマートフォンであれば、ホルダにセットしたと同時にドコモ ドライブネットインフォが起動する。DC12/24V車に対応し、「発話」ボタン、「戻る」ボタンを持つリモコンも付属する。そのほか、スマートフォンのナビゲーション精度を改善するための「カーナビ用センサーユニット01」(8295円)も用意。カーナビ用センサーユニット01は、50チャンネルマルチチャンネル受信のGPSセンサーと、1軸ジャイロと3軸の加速度センサーを装備し、Bluetoothでスマートフォンと接続することで、より高精度な測位を可能としている。

渋滞情報提供中
スマートフォンホルダ01
リモコンも付属する
カーナビ用センサーユニット01との利用イメージ
カーナビ用センサーユニット01。Bluetoothでスマートフォンと接続する

 両社は同日、共同で発表会を開催。ドコモ ドライブネットインフォの概要・詳細説明が行われた。

スマートフォンを利用したテレマティクス基盤の構築

NTTドコモ 代表取締役 副社長 岩﨑文夫氏

 最初に登壇したNTTドコモ 代表取締役 副社長 岩﨑文夫氏は、2013年度末にスマートフォンが携帯電話の約半数になることを紹介。そのような時代の流れのなかで、スマートライフ(モバイル技術を応用した新しいライフスタイル)の実現を目指しているとする。そのテーマは行動支援で、金融決済やコマースなどの局面でスマートフォンが使われている世界を提示した。

 ドコモ ドライブネットインフォは、M2M(機器間通信)の分野に位置し、ケータイとツールを組み合わせたサービスになるという。ドコモ ドライブネットインフォを起動することで、ドコモのITSクラウドへ接続。NTTドコモの音声解析エンジンである自動車向けしゃべってコンシェル、パイオニアの自動車向けクラウド基盤などを利用し、渋滞情報提供、電話やSMSの送受信などを実現する。

 最初はコンシューマー向けのサービスとして提供されるが、整備事業のCRM、カー用品販売のCRM、自動車保険の高度化などの利用も視野に入れており、そのための活用研究を行う「次世代オートアフタービジネス研究会」(2013年9月19日発足)も、オートバックスセブンなどと立ち上げた。このビジネス向け利用では、たとえばタイヤ交換後の走行距離から次のメンテナンスのリコメンド、万が一の事故の際の正確な位置情報の提供などが考えられるとしている。

NTTドコモが目指すスマートライフ
パイオニア 代表取締役 兼 社長執行役員 小谷進氏

 パイオニアからは、同社代表取締役 兼 社長執行役員 小谷進氏が登壇。パイオニアは、車載カーナビなどが主力商品となっているが、スマートフォンの利用者拡大は“つながるクルマ”を前提とした新たな事業機会の拡大と捉えている。そのため、つながるクルマを実現するためのさまざまなデバイスを開発中であり、つながるクルマのバックボーンとなる「モバイルテレマティクスセンター」を11月に稼働開始した。

 モバイルテレマティクスセンターでは、パイオニアの車載機器から蓄積したプローブデータ、ドコモ ドライブネットインフォなどスマートフォンから蓄積した走行データを解析。端末からのリクエストに応じて、渋滞状況などの配信を行う。

パイオニアはモバイルテレマティクスセンターを共通基盤としてさまざまな分野に提供したいという

 パイアニアはすでに「スマートループ」というプローブデータサービスを構築しているが、モバイルテレマティクスセンターでは、他社とのアライアンス事業に関するデータが含まれるスマートループからのテータは使われない。パイオニアの車載機器からのデータと、車載機器以上の稼働台数が見込まれるスマートフォンからのデータで構成されるのが特徴といえるだろう。小谷社長は、このモバイルテレマティクスセンターを幅広い業界で活用される基盤にしたいとの構想を披露した。

無料で利用できるドコモ ドライブネットインフォ

NTTドコモ M2Mビジネス部長 高原幸一氏

 ドコモ ドライブネットインフォサービスの詳細については、NTTドコモ M2Mビジネス部長 高原幸一氏が説明。ドコモ ドライブネットインフォサービスの特徴は音声による対話で情報が入手できることにあり、渋滞情報取得やSMSのデモ映像を上映した。

ドコモ ドライブネットインフォ概要
渋滞情報の提供
渋滞情報取得デモ
そのほかのサービス
ホルダについて
インフォとナビの2本立て

 ドコモ ドライブネットインフォは無料のサービスでありながら、渋滞情報やニュースの取得も可能。そのほか、周辺検索機能として、GS価格情報、グルメ情報、駐車場情報などの取得が可能になる。ベースとなる地図はインクリメントPの地図を使っており、渋滞情報を地図上に表示することもできる。さらに目的をポイントしてのルーティングも可能で、ルートを引いた場合到着予定時刻表示も行われる。

多機能な地図画面。ルートを引くことができ、地図はインクリメントP製。渋滞情報が破線で表示されている

 一方、月額315円のドコモ ドライブネットナビは、渋滞情報にVICSとスマートループを利用。ナビゲーションの音声案内やハイウェイモード地図など、ドライブに便利な地図モードが用意されているのが大きな違いとなるのだろうか。

 デモを担当していた説明員によると、「たとえば、普段通い慣れた道など、とくにナビゲーションを必要としない場面ではドコモ ドライブネットインフォを積極的に使っていただきたい」とのこと。スマートフォンホルダ01を使えば、スマートフォンに触れることなく、各種の情報が音声で取得できる無料サービスは魅力的なものがある。詳細な対応機種の発表を楽しみに待ちたい。

 なお、NTTドコモは「東京モーターショー2013」に出展。そこでは、ドコモ ドライブネット関連の展示のほか、パイオニア製のルームミラー型テレマティクス端末の参考出品を行う。

(編集部:谷川 潔)