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【FIA WEC 6 Hours of FUJI】トヨタ、地元の富士スピードウェイで1-2フィニッシュで同レース3連覇を達成

トヨタ初のWECチャンピオンの実現に向けて大きく前進

2014年10月12日開催

優勝した8号車 トヨタ TS040 Hybird(セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビットソン組)。シリーズポイントでも現在トップ

 FIA WEC 6 Hours of FUJI(FIA 世界耐久選手権 第5戦 富士6時間耐久レース)は、静岡県駿東郡小山町にある富士スピードウェイで、10月10日~12日の3日間にわたり開催された。

 12日には決勝レースが行われ、11時のローリングスタートから、6時間、周回にして236周でのレースとなった。2013年の同レースは、豪雨により全周セーフティカー先導でのレースとなったが、2014年のレースは曇りながらもドライコンディションの中で行われ、3万2000人(決勝日のみ、3日間述べ5万1000人)の観衆はレースを大いに楽しむことができた。

2位になった7号車トヨタ TS040 Hybird(中嶋一貴/アレクサンダー・ブルツ/ステファン・サラザン組)
3位は20号車 ポルシェ 919 Hybrid(マーク・ウェバー/ブレンダン・ハートレー/ティモ・ベルンハルト組)
アウディ最高位は、5位の1号車アウディ R18 e-tron quattro(ロイク・デュバル/トム・クリステンセン/ルーカス・ディグラッシ組)

 メインクラスになるLMP1-Hは、ポールポジションからスタートした8号車 トヨタ TS040 Hybird(セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビットソン組)がトップを独走し、そのまま優勝。2位にも同じくトヨタの7号車トヨタ TS040 Hybird(中嶋一貴/アレクサンダー・ブルツ/ステファン・サラザン組)となった。3位は20号車 ポルシェ 919 Hybrid(マーク・ウェバー/ブレンダン・ハートレー/ティモ・ベルンハルト組)。その他のクラスではLMP1-Lが13号車 レベリオン R-One・トヨタ、LMP2が26号車 リジェ JS P2・ニッサン、LMGTE Proが51号車 フェラーリ F458 イタリア、LMGTE Amが95号車 アストンマーチンバンテージ V8となった。

 この優勝、およびランキング2位、3位のアウディ2台が下位に沈んだことにより、トヨタ8号車はドライバーズ選手権でのリードをさらに広げることになり、トヨタ初のWECチャンピオンの実現に向けて大きく前進することとなった。

ポイントリーダーの8号車トヨタ TS040 Hybirdが優勝、2位もトヨタ、3位ポルシェ

 昨年の富士6時間耐久レースは、豪雨の影響で全周回セーフティカー先導で終わってしまった。今年も台風19号の影響で雨が心配されたがその影響はなく、曇りのままで全ラップドライ路面のレースとなった。

 ポールポジションの8号車トヨタ TS040 Hybirdが無難なスタートを切ったかのように見えたが、2コーナーで20号車 ポルシェ 919 Hybridに、ダンロップコーナーで2号車アウディ R18 e-tron quattro(アンドレ・ロッテラー/ブノア・トレルイエ/マルセル・ファスラー組)がトップを奪うなど1周目はスプリントレースかのような激しいレースが展開された。しかし、8号車トヨタが最終コーナーまでにトップを奪い返すと、その後は安定したレースを展開。ピットストップのタイミングで7号車トヨタ TS040 Hybird、20号車ポルシェ 919 Hybridにトップを奪われる事があったものの、基本的にはほぼトップを独走し、見事なポールツーウインを実現した。8号車トヨタ TS040 Hybirdの優勝は、第1戦シルバーストン6時間、第2戦スパ・フランコルシャン6時間に次ぐ3勝目で、ポイントリードをさらに広げてドライバー選手権のトップを維持している。

 2位は中嶋一貴がドライブする7号車トヨタ TS040 Hybirdで、優勝した8号車以外では唯一の同一周回車となった。3位は、序盤10周目にパンクによりいち早くピットインすることになり、他車とはピットタイミング変わった20号車ポルシェ 919 Hybridだが、結局ピットの回数は他のチームと同じに揃えることができたため、見事3位に入賞することになった。ポルシェチームが表彰台を獲得するのは第1戦シルバーストン6時間に次いで2回目となる。

 アウディの2台は、5位と6位に沈むことになった。今年のル・マン24時間レースの覇者であるアウディだが、ここ富士ではトヨタに対してだけでなく、ポルシェに対してもスピードが足りていない印象で、トヨタ、ポルシェについていくことができなかった。これにより、ポイントリーダーの8号車トヨタとは差が広がる結果になっており、次戦以降の巻き返しが期待されるところだ。

全周回ドライで行われたレース、クルマの持つ実力が発揮されたレースとなった

 今回のレースは、ドライ路面で行われ、レースそのものは大きなドラマもなく淡々と進行していく状況となった。このため、レースは実際のクルマの速さを反映した結果となり、トヨタ 7号車とポルシェの位置が入れ替わったぐらいで、それ以外はほぼ予選通りの結果となった。今回のレースでは、大きな事故などもなく、セーフティカーの出動もなく、唯一トップ走行103周目にピットロードの入り口にデブリがありそれを回収するためにフルコースイエローがでた程度で、ほぼ全開で走るレースになった。

 しかし、レース終盤となる199周目には、ピットロードを入ったコントロールタワー前あたりで、LMP1-Lクラス2位を走行していたロータス CLM P1/01・AERが車体の下からのオイル漏れで炎上し、サーキットは騒然となった。火は間もなく消し止められたが、コース上ではないため消化車がなく、手持ちの消化器で消す必要があった。そのためか、ロータスの車体はほぼ全焼と言ってよいレベルの損害を受ける結果となった。

 なお、他のクラスではLMP1-Lが13号車 レベリオン R-One・トヨタ(ドミニク・クライハマー/アンドレア・ベリッチ/ファビオ・ライマー組)、LMP2が26号車 リジェ JS P2・ニッサン(ロマン・ルシノフ/オリビエ・プラ/ジュリンアン・キャナル)、LMGTE Proが51号車 フェラーリ F458 イタリア(ジャンマリア・ブルーニ/トニ・バイランダー)、LMGTE Amが95号車 アストンマーチンバンテージ V8(クリスチャン・ボールセン/デビット・ハネマイヤー・ハンソン/ニッキー・ティーム)となった。

LMP2クラスのトップ争い

●レース結果(暫定)

総合順位クラス順位クラスカーナンバー車種ドライバー
1位1位LMP1-H8トヨタ TS040 Hybirdセバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビットソン
2位2位LMP1-H7トヨタ TS040 Hybird中嶋一貴/アレクサンダー・ブルツ/ステファン・サラザン
3位3位LMP1-H20ポルシェ 919 Hybridマーク・ウェバー/ブレンダン・ハートレー/ティモ・ベルンハルト
4位5位LMP1-H14ポルシェ 919 Hybridロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ
5位4位LMP1-H1アウディ R18 e-tron quattroロイク・デュバル/トム・クリステンセン/ルーカス・ディグラッシ
6位6位LMP1-H2アウディ R18 e-tron quattroアンドレ・ロッテラー/ブノア・トレルイエ/マルセル・ファスラー
7位1位LMP1-L13レベリオン R-One・トヨタドミニク・クライハマー/アンドレア・ベリッチ/ファビオ・ライマー
8位1位LMP226リジェ JS P2・ニッサンロマン・ルシノフ/オリビエ・プラ/ジュリンアン・キャナル
14位1位LMGTE Pro51フェラーリ F458 イタリアジャンマリア・ブルーニ/トニ・バイランダー
17位1位LMGTE Am95アストンマーチン バンテージ V8クリスチャン・ボールセン/デビット・ハネマイヤー・ハンソン/ニッキー・ティーム

(笠原一輝/Photo:奥川浩彦)