ニュース
フォルクスワーゲン、新型「パサート」「パサート ヴァリアント」発表会
ちょっとセクシーになって帰ってきた!、庄司社長「高校2年の夏休み明け」なクルマ
(2015/7/17 01:08)
- 2015年7月16日開催
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは7月16日、都内で新型「パサート」「パサート ヴァリアント」の発表会を行った。発表会では、パサートシリーズをコアモデルの1つとする意向を示し、従来モデルの2グレード展開から倍増の4グレードで販売を開始。今後、1.4リッターガソリンエンジンモデルに加えて、ディーゼル、プラグインハイブリッドとパワートレーンを増やし、一方で4輪駆動モデルの投入も明言した。
ゴキゲンでない販売台数は新型車がなかったため
発表会では冒頭、フォルクスワーゲン グループ ジャパン代表取締役社長の庄司茂氏より、最近のフォルクスワーゲンの状況が語られた。庄司社長は「4月からはじめたゴキゲンワーゲンをスローガンとした新ブランドキャンペーン“ゴキゲンワーゲン”は好意的に受け止められ、開始後、ホームページの閲覧数は倍増し、ショールームへの来場も上向いている」と、キャペーンは“ゴキゲン”な成果をあげているが、一方で「“ゴキゲン”ではないこともある」とした。
それは、6年ぶり前年割れになった「上半期の販売」。その理由として「他のブランドが相次ぐ新車投入で賑いを見せる中で、昨年8月の新型ポロ以降、販売活性化につながる新車がなく、上半期は派生モデルの導入が中心であったため」と説明した。
その一方で「現在も多くのお客様の支持を受け、上半期で2万9666台と約3万台を販売している」と、まとまった数の販売台数を維持していることを強調。「ゴルフ」の安定的な販売台数など、コンパクトカーを中心としたモデルが販売を支えているとした。
パサートを本気でコアモデルに
さらに庄司氏は「今年のフォルクスワーゲンはこれから。下半期は新型パサートがミドルクラスセグメントに進出。そして、日本のセダンの主戦場に、品質の快適性の新しいスタンダードの確立と、先進の安全技術の民主化をもたらす」と、導入の意義を説明した。
また、庄司氏はパサートの意外な一面も紹介し、日本では「ゴルフ」よりも早い1973年から長期間販売しているロングセラーモデルとなり、グローバルで累計2200万台販売し、2014年はゴルフをわずかに上回る104万台を販売したことなどをアピール、販売台数における貢献に期待を寄せた。
庄司氏は「日本では知る人ぞ知る通好みのクルマと言われている。しかし、今回の新型は違う」「通好みのパサートは卒業」と今までのイメージから脱することを宣言、「ミドルクラスのセダンマーケットに本気で挑戦する」「ゴルフやポロに続くコアモデルのひとつにしたいと本気で考えている」「本気でこのクルマであれば競合に勝てる」などと、本気さを強調した。
エンジンや駆動方式でバリエーションが豊富になる点については「将来的にはお客様が選ぶのに困るクルマになるくらい、多彩なラインナップとなる予定」と予告した。
また、フォルクスワーゲンでは「今までセダンは傍流」と扱っていたことを反省して、新型はセダンの販売に注力。今回の本気度を示す施策は、正規ディーラーの販売担当者から21名を選抜してドイツで販売研修し、アウトバーンでの走行や長距離ドライブを含め、本社担当者から直々のレクチャーを受けたことなどを紹介し、庄司氏は「フォルクスワーゲンジャパンとしてこんなに力を入れた研修ははじめて」と語った。
セダンヒエラルキーとは一線を画すセダン
続いて、マーケティング本部長の正本氏から新型パサートについて説明が行われた。先進の安全装備では、「クラスを圧倒する10アイテムの先進安全装備を全車標準化」が特に強調され、渋滞時の追従支援システム「Traffic Assist」は60km/h未満の速度領域でのアシストを搭載、「注目の自動運転の領域に一歩踏み込んだ装備」と説明した。また駐車場からバックで出る際に他車の接近で警告や自動ブレーキをかける「リアトラフィックアラート」は初装備。助手席のエアバックは日本初の水素式のインフレーターを採用し、安全性だけでなく環境性能を手に入れたことなどが紹介された。
快適性では、次世代モジュラーアーキテクチャー「MQB」を採用、全長を変えることなく、ホイールベースを80mm延長したことで居住性を改善。バックゲートのイージーオープン機能。足のゼスチャーで開けられるので実用的で便利なこと。インテリアの水平基調のルーバーですっきりとしたモダンなデザインや、運転席、助手席、後席と3ゾーンのフルオートエアコンなどを装備した。
また、スマートフォン対応を推し進め、全車に一部Androidスマートフォンの画面連携ができるMirrorLinkの採用や、カーナビ機能のないオーディオの「Composition Media」には、アップルのCarPlay、Android Autoにもいち早く対応した。
価格については、「クラスを圧倒する10アイテムの先進安全装備を全車標準化しながらも、税込329万円という思い切ったエントリー価格を設定」と戦略価格であるとした。2014年の消費増税分が考慮すると、先代パサートが登場時に324万円であったことから、実質的には値下げになるとした。
2016年初めにディーゼル、プラグインハイブリッド、4WDを投入
環境性能にもつながるパワートレーンは、従来モデルとは異なり、バラエティに富んだパワートレーンを展開する。当初は1.4リッターターボのTSIエンジンのみ。従来と同じ排気量ながら新型となり、パワー、トルク、燃費とも向上した。特にJC08モード燃費は輸入車同クラスでは初となる20.0km/Lを超え、20.4km/Lを達成。
さらに2016年はじめには、フォルクスワーゲン初となるクリーンディーゼルの「TDI」、プラグインハイブリッドの「GTE」をセダン、ヴァリアントに設定。また、駆動方式として、フルタイム4WDの「4MOTION」をクロスオーバーモデルの「オールトラック」に導入する。
正本氏は「このクラスで一車種にこれだけの幅広いパワートレインを持つモデルは、フォルクスワーゲン以外にはありません」とし、ユーザーが選べることを強調した。
より憧れのクルマとするデザインを目指した
今回、ドイツ本国よりフォルクスワーゲンAGでエクステリアデザインを担当するダニエル シャルフシュヴェアト氏が来日し、デザインについて説明した。まず、ダニエル氏は新型パサートで目指したものはて「パサートは、その完成度、機能性、技術レベルの高さで知られています。しかし、今回はもうひとつ加えようとしたことは、より憧れの対象にすることでした。必要な完璧なプロポーションです」と説明した。
このデザインが可能になった理由としてはMQBをあげ、前輪を前のほうに持っていき長いホイールベースと、長く水平が強調されたボンネットが実現し、「短くなったが、より長くワンランク上に見える、低くなったにもかかわらずヘッドルームが増えた。軽くなったにもかかわらずより頑丈で力強くなった」と語った。
なお、ダニエル氏はリアからのデザインが気に入っているという。「幅広いショルダーと力強いホイールアーチが見えるから、大好きな部分です。」と語った。
新型パサートは高校2年の夏休み明けのクルマ
発表会の最後は、庄司氏がパサートを一言で言うと何になるか説明して締め括った。それは「高校2年の夏休み明け」。
大変分かりづらい一言だが、庄司氏が語った理由は「高校2年を思い出して、真面目だった学級委員が……あまり目立ちませんでした。いいやつだったんです。しかし、もしかしたらもうひとつ要素がかけていた。それが、ちょっといい男になって、ちょっとセクシーになって帰ってきた高校2年の夏休み明け。そんなクルマが新型パサート。ゴキゲンな表現だとそうなります」と説明した。