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ヤナセ、「100周年記念デザインコンテスト」で製作されたスペシャルカーを披露
千葉大学大学院 大木佑太さん作「GLACLASS+100km」の実車が完成
(2015/9/2 11:37)
- 2015年8月27日開催
今年の5月25日に創立100周年を迎えたヤナセ。100周年の節目として、ヤナセとMobilブランドのオイルを展開しているEMGマーケティングが共同で実施したデザインコンテストが「ヤナセ100周年記念、こんなメルセデスに乗りたい!」だ。
次世代の自動車業界を担う学生の育成や、未来の自動車産業にもっと関心を抱いてほしいという願いから、デザインの応募対象は学生に限定。最優秀作品の賞典となったのは、受賞したデザインを使って実際のクルマにモディファイを施し、世界で1台の「スペシャルカー」を完成させてプレゼントするというすてきな内容だった。豪華な特典の影響もあり、3月にデザインコンテストの内容が発表されるや否や、下は中学生から上は大学院生まで多くの力作が送られてきたという。
そんな多くの応募作品のなかから最優秀「ヤナセ100周年賞」に選ばれたのが、千葉大学大学院 工学研究科製品デザイン研究室に在籍する大木佑太さんの「GLACLASS+100km」だった。ここまでの展開については、下記の関連記事も参照していただきたい。
大木さんがデザインした「GLACLASS+100km」は、課題車両として設定されたメルセデス・ベンツ GLAクラスの行動半径を100km拡大させたいというコンセプトを持たせていて、都市型クロスオーバーのGLAをよりSUV風に仕立てている。
前述のように、受賞の特典として実際に世界に1台だけのスペシャルカーとして実車製作が行われた「GLACLASS+100km」。SUPER GTでも活躍するホシノインパルの協力で車両製作をしている模様はすでにCar Watchでもリポートしている(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150727_711256.html)が、ついに完成に至り、コンテストの表彰式とスペシャルカーのお披露目を行う「スペシャルカー完成披露イベント」が開催された。
「現実的にも優れたデザインだったこと」が選考理由の1つ
「スペシャルカー完成披露イベント」には、ヤナセ100周年賞を受賞した大木さんに加え、「審査員特別賞」を受賞した武蔵野美術大学 造形学部 工芸工業デザイン学科 インダストリアルデザイン専攻 S-design 佐々木翔平さん、審査に携わった関係者などが多数参加。報道関係者も集まり「GLACLASS+100km」のアンベールを見守った。
記者会見で挨拶をしたヤナセオートシステムズ 代表取締役社長の木田春夫氏は、デザインコンテストを共同開催したEMGマーケティングとの関係について「65年前の1950年に、梁瀬商事の社長だった梁瀬次郎が『スタンダードバキュームオイルカンパニー』と代理店契約を結んだときからのパートナーシップになります。そして、この会場である本社の横には、かつてペガサスマークを掲げたガソリンスタンドが併設されていました。現在ではヤナセグループの各店で高性能エンジンオイルのモービル1オイルを取りあつかうなど、長きに渡り日本のモータリゼーションをサポートしてきました」と語り、65年に渡るパートナーシップの説明を行った。
多くの傑作が集まったというデザインコンテストについては「ヤナセとEMGマーケティングともに『若年層のクルマ離れ』は危惧しているキーワードで、そのこともあって学生を対象にしたデザインコンテストを実施しました。コンテストを発表した時点ではどのような作品が届くのか心配でしたが、実際に作品を見ると想像を遙かに超える完成度のデザインが集まり、クルマへの興味や情熱を持った若者がたくさんいることに安心しました。どれも素晴らしいアイデアのスケッチで、スペシャルカーとして実車ができあがることを楽しみにしていました」とコメントしている。
EMGマーケティング 執行役員 潤滑油本部長の本田貴浩氏は「ヤナセの100周年を記念してなにかイベントができないかと、昨年からお互いに協議してきて生まれたのがデザインコンテストでした。これからの自動車産業を担っていく若年層へのサポートいう意味も含めて学生限定にし、当初は自動車系の専門学校生などが中心になると思っていましたが、中学生から大学院生まで幅広い応募が集まりました。しかもスケッチというレベルではなく、完成度の高いデザインをみなさんが考えていて驚いたというのが正直な感想です」と述べている。
このように、登壇した2人はともに想像を超えた完成度の高いデザインが集まったことに驚きを感じるとともに、学生限定で実施したデザインコンテストの方向性について手応えを感じていたようだった。
また、選考委員を務め、実車の製作にも携わったホシノインパル 取締役営業部長の金子哲也氏は「どの作品も自由なデザインと完成度の高さに感銘を受けましたが、実車を製作するということを考えて大木さんのデザインを選びました。『GLACLASS+100km』は、夢がありながらも実際に売れるクルマとして成り立っていました」と、現実的にも優れたデザインだったことが選考理由の1つであると語っている。
登壇者からコンテストの概要や選考などについて解説されたあと、ついにデザインから実車となった大木さんの「GLACLASS+100km」がアンベールされ、会場に集まった参加者に披露された。
製作したクルマはすでにナンバーを取得して、いつでも大木さんに渡せる状態になっている。だが、まだしばらくはヤナセが主催するカスタマー向けのショーやモービル1関連のイベントなどで展示され、デザインコンテストの最優秀作品として披露される予定となっており、オーナーとなる大木さんの手元に届くのはしばらく先になるようだ。