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フォルクスワーゲン、プラグインハイブリッドの「ゴルフ GTE」発表会

代表取締役スヴェン・シュタイン氏が「ゴキゲンワーゲンキャンペーンはこれまでどおり」

2015年9月8日実施

代表取締役のスヴェン・シュタイン氏とマーケティング本部長の正本嘉宏氏

 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは9月8日、「ゴルフ」のプラグインハイブリッド版となる「ゴルフ GTE」を発表。同日、都内で発表会を開催した。7月末に前社長が退任した同社だが、当面、社長の職務を兼務する代表取締役のスヴェン・シュタイン氏が登壇し、ゴキゲンワーゲンキャンペーンの継続など、活動は基本的に大きな変更なく継続することが明らかにされた。

“ゴキゲン♪ワーゲン”はこれまでどおり

 発表会の冒頭、代表取締役のスヴェン・シュタイン氏が「過去数カ月にわたり、マネージメント主導で行ってきたさまざまな活動は基本的に大きな変更することなく継続する」と宣言した。

 前社長の庄司茂氏の肝いりで進められた「ゴキゲンワーゲンキャンペーン」もこれまでどおりとした上で、「お客さまとのキャッチポイントを全方位で見直す成果は、すでに目に見える形で現れてきている」として、一定の成果を上げていることを強調した。

 また、マーケティング本部長の正本嘉宏氏もそれをフォローするように今年後半の販売の好調ぶりをアピール、7月に発表したパサートの販売は累計受注台数が2000台に到達したことや、ゴルフ オールトラックが豪雪地区を中心に非常に高い人気を誇り、「ゴルフ ヴァリアントの販売の一翼を担う重要なモデル」に成長しているとした。

代表取締役のスヴェン・シュタイン氏
マーケティング本部長の正本嘉宏氏
今年の後半に投入したモデル
ゴルフ オールトラックはゴルフ ヴァリアントの中で重要なモデル

次世代パワートレーンの本命

 ゴルフ GTEの説明はマーケティング本部長の正本氏が行った。「ガソリンエンジンであるTSI、クリーンディーゼル、プラグインハイブリッド、それにEVといった次世代の多種多様なパワートレーンを1年以内に積極的に導入する」と述べ、その中でもプラグインハイブリッドはEVのゼロエミッション走行とハイブリッドの環境性能や走行距離を兼ね備え「次世代パワートレーンの本命として位置づけている」と説明した。

 現行のゴルフから導入したMQBモジュールについても、今回のプラグインハイブリッドを含め、ガソリンやEVなども設計変更することなく最適な形で導入できると、MQBのメリットを強調した。

 そして、日本はハイブリッド車が登録車の35%を占める特殊な市場でありながら、プラグインハイブリッド市場は「マーケットしてはまだ十分に形成されていない」との考えを示し、政府の次世代自動車戦略では2020年にプラグインハイブリッドを含めてEVが20%という目標があることなどから「今後、成長していくマーケットである」という認識を示した。

パワートレーンのラインアップ
MQBはさまざまなパワートレーンに対応する
日本は登録の35%がハイブリッド車という世界に類を見ない市場
プラグインハイブリッド車のマーケット。事実上、2012年から立ち上がったが、まだ市場は形成されていない

GTEスイッチを押した瞬間からスポーツカーに豹変

 一方で、正本氏は「既存のプラグインハイブリッドの魅力に加え、GTEスイッチを押した瞬間から、電気エネルギーがエンジンブーストに切り替わり、それまでのエコカーがエキサイティングなスポーツカーに豹変する」「ジキルとハイドのようなクルマ。走ることが楽しくなる全く新しいジャンルのプラグインハイブリッドカー」とゴルフ GTEが通常のエコカーでないこともアピールした。

 ゴルフ GTEのモードは主に3つ。駆動用のバッテリーをフルに使ったEV走行の「Eモード」、「ハイブリッドモード」、「GTEモード」。EV走行はJC08モードで53km走行可能で、正本氏は「多くのプラグインハイブリッドユーザーが不満に感じていた航続距離も解決する」とし、GTEモードについては「エンジンとモーターをフル稼働。0-100km/h加速で7.6秒、スポーツカーさながらのパフォーマンスを発揮する」と述べた。

 ゴルフ GTEの価格についても触れ、「499万円という戦略的な価格で導入。エコカー減税100%、最大38万円の補助金を受けることができる」と説明。ランニングコストについても深夜電力で充電すれば低く抑えることができるとして「エコロジーとスポーツの両立だけでなく、エコノミーの観点でも魅力ある選択肢」とした。

 そして「3つのモードを持つ、これからエレクトロモビリティ社会に、運転する楽しさと、クルマの所有する喜びを最大限感じさせてくれる、まさにゴキゲンなフォルクスワーゲン」とまとめた。

ゴルフ GTEは3つのモードを持っている
EVモードは満充電から53.1km走行可能
ハイブリッドモードはさらに細かく2つのモードがあり、効率走行とバッテリー充電を優先するモードがある
そして、スポーツカーに豹変するというGTEモード
オプションを含まない価格は戦略的な499万円

6速DSGトランスミッションと一体化したモーター

 ゴルフ GTEのパワートレーンはターボチャージャー付き1.4リッターエンジンに加え、80kW/109PSの出力を持つ電気モーター。デュアルクラッチトランスミッションである6速DSGと一体化して搭載する。

 パワーの伝達はエンジン、モーター、トランスミッションという流れになっており、EV走行はエンジンとモーターの間の駆動力を遮断して実現する。EV走行時でもデュアルクラッチトランスミッションを経由するため、エンジンのように段階的に変速して伝達される。

 発進は1速にギヤが入り、モーターと駆動用クラッチを直結してスタートする。なお、フォルクスワーゲン車のDSGは走行中、ギヤポジションをメーター内に常時表示するが、ゴルフ GTEではEV走行時でもギヤポジションを表示する。

 エネルギー容量8.7kWhのリチウムイオンバッテリーはリアシートの下に搭載。そのため、ガソリンタンクは通常モデルではスペアタイヤやラゲッジルーム下の収納スペースと置き換わっている。

ゴルフ GTEのレイアウト。モーターはトランスミッション一体。バッテリーは後部座席下、そのためガソリンタンクはトランク下に移動
充電コネクターはフロントのエンブレムを開くとある
モーターがトランスミッションと一体化している様子

ゴルフ GTEを展示

ゴルフ GTE。基本的なスタイルはゴルフ GTIに準ずるが、細かな点で違いがある
前後のVWバッヂやGTEのエンブレムはブルーで縁取られている
フロントのラインはGTIのレッドに対してGTEはブルー
バンパーにCの字状のライトが埋め込んである
ヘッドライトはLEDによるもの。中央にIの字のスモールランプが埋め込んである
テールランプもLEDで構成する
リアのVWバッヂ
給油口はガソリン用
ボディーカラーがカーボンスチールメタリックのゴルフ GTE
エンジンルーム。高電圧部分のオレンジ色が目立つ。エンジンは1.4リッターのTSIエンジンで、モーターはトランスミッション一体となる。そのため、通常の1.4リッターエンジン搭載車よりもエンジンが右側にオフセットしているという
フロントのVWバッヂを開くと充電コネクターがある。200Vの普通充電のみ対応。国内急速充電のCHAdeMOには対応しない
リアのラゲッジスペース下にあるガソリンタンク。通常モデルのガソリンタンクの場所に重量のあるバッテリーを配置したため、ガソリンタンクが移動した
ホイールはオプションのDCCパッケージ付きに装着される18インチ、タイヤサイズは225/40 R18はオプション
インテリアはゴルフ GTIに準じているが、ステアリングホイールなどのステッチがブルー。シート柄もGTIでは赤のラインはブルーになっている
シフトレバーの横にはGTEボタンがあり、プッシュするとスポーツカーに豹変する
メーターパネルはGTE専用品。モーターの動作を表すメーターが左で、TSIエンジンのタコメーターが左下に小さくある。充電状態等は中央のマルチディスプレイに表示する
リアシート
フロントシート
ダッシュボードセンターにはナビゲーションを含むインフォテイメントシステムのDiscover Proを標準装備。状態表示や各種設定ができる
車両ステータスも表示
ナビゲーションは現在の充電容量から計算された走行可能範囲を表示することも可能だ

(正田拓也)