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三菱電機、ルート検索を約4.8倍高速化したオーディオ一体型カーナビ「NR-MZ100」シリーズ発表会

ETC2.0サービス対応の「EP-A015SB」も同時発表。「CEATEC JAPAN 2015」で展示

2015年10月20日発売

NR-MZ100PREMI:24万円(税別)

NR-MZ100:17万円(税別)

EP-A015SB:オープンプライス

上位機種となるプレミアムモデル「NR-MZ100PREMI」
通常モデルとなる「NR-MZ100」

 三菱電機は10月1日、2DINサイズのオーディオ一体型カーナビ「DIATONE SOUND. NAVI」シリーズの新製品「NR-MZ100PREMI」「NR-MZ100」の2製品を発表した。歴代製品ではハイエンドオーディオ製品としての音質に力を入れているが、今回は音質だけでなく、映像とナビゲーション部分の性能を大幅に向上させている。発売は10月20日となり、価格はNR-MZ100PREMIが24万円(税別)、NR-MZ100が17万円(税別)。

製品名型番価格発売日
オーディオナビシステム「DIATONE SOUND. NAVI(ダイヤトーン サウンド ナビ)」NR-MZ100PREMI24万円(税別)10月20日
NR-M10017万円(税別)

音質、映像美、高速レスポンスのハイエンドカーナビ

三菱電機 専務執行役 自動車機器事業本部長の大橋豊氏

 発表同日には三菱電機本社で説明会が行われた。三菱電機 専務執行役 自動車機器事業本部長の大橋豊氏は説明会で、近年の市販カーナビ市場は二極化しており、一方では低価格化、もう一方は高付加価値のカーナビで需要が高まっているとした。

 今回発表された新製品は高付加価値を狙った製品。大橋氏は「カーナビ事業はカーメーカー向けが規模の主力だが、市販向けでは先進技術力の一端をカーメーカーや市場に示すため、ユーザーニーズのプローブとして活用する点に意義がある」と高付加価値戦略の意義を説明した。

 これまでに三菱電機では、2012年に「DIATONE SOUND. NAVI」としてハイエンドカーオーディオ&カーナビゲーションシステムを投入し、市場から高い評価を得てきた。そこで今回の新製品では、高音質という付加価値をさらに向上させつつ、映像の美しさやカーナビ性能についても進化させている。

 新製品のターゲットは「オーディオ好きユーザー」と「ナビ機能重視ユーザー」で、その双方に満足してもらえる製品を目指した。新製品の開発キーワードは「未体験の音質」「息をのむ映像美」「高速レスポンス」という3つ。車内を驚きのサウンド空間に変え、見栄えのする液晶画面、高速な処理とレスポンスによる快適さという形でユーザーに届けるとした。

 また、NR-MZ100シリーズではプロモーションを強化。全国で2000台の店舗デモカーを用意することに加え、全国で店頭試聴会を開催して「DIATONE SOUND. NAVI」の認知度アップを目指すという。

NR-MZ100シリーズの開発ポイント
NR-MZ100シリーズのターゲットユーザー。2つの層のどちらも満足できる製品を目指した
NR-MZ100シリーズの製品キーワード
「未体験の音質」
「息をのむ映像美」
「高速レスポンス」

音質面ではノイズを抑えるなどの改善を実施

三菱電機 三田製作所 カーマルチメディア製造第二部長 有田栄治氏

「DIATONE SOUND. NAVI」の要でもある音質について説明を行った三菱電機 三田製作所 カーマルチメディア製造第二部長 有田栄治氏は「未体験の音質」という言葉を使い、DIATONEブランドのサウンドポリシーでもある「聴覚上の高S/N感」をさらに進めたと解説。有田氏は夜空にたとえ、従来製品で「6等星まで見えるスモッグの少ない田舎の星空」だったものが、MR-MZ100シリーズは「10等星まで見える極地の透明感ある星空」と語っている。

 また、スピーカーからリスナーの耳までの距離の差を補正する「マルチウェイ・タイムアライメント」は従来製品から搭載しているが、32bit D/Aコンバーター「PCM5102A(車載グレード)」を世界初採用したほか、ハイレゾ音源再生時の高音質を実現するため、「低ジッターハイスピードアドバンスドDACマスタークロック」「DIATONEハイレゾテクノロジー」などの新技術も搭載している。

 内部基板は「ノイズを受けない、出さない、与えない」を目指して再設計し、本体内部の構成ではCD/DVDなどのメカ部分とオーディオ基板のあるシャシー部分の分離を進めたほか、デジタル回路とアナログ回路の電源の独立をさらに徹底。デジタルテレビチューナーをOFFできる機能を設け、テレビ視聴時以外のノイズ発生源を少なくしている。

開発のポイント。ハード・ソフトともにフルモデルチェンジした
サウンドポリシーは「高S/N感」
世界初採用という32bit D/Aコンバーター「PCM5102A(車載グレード)」
シャシー構造ではメカ部分とオーディオ回路部分を分離
電源もデジタル回路とアナログ回路の分離を進めた
カーナビ基板のノイズの影響から根本的に断つよう電源回路を改良
コンデンサーなど音に関わるパーツを厳選
「FLAC」「WAV」などのハイレゾ音源に対応する
デジタルテレビチューナーは使わないときにOFFに切り替えられるようにして、ノイズの影響を少なくした

クアッドコアCPU搭載のSoC「R-Car H1」搭載でカーナビ操作性を大幅強化

 カーナビ部分では、プロセッサーにクアッドコアの「R-Car H1」を採用。コア数が従来の1から4に増加したことなどで大幅に処理能力がアップし、スマートフォンライクなタッチ操作によるスワイプやピンチイン/ピンチアウトをスムーズに動作させることが可能になった。

 三菱電機による計測では、従来製品と比べて地図スクロールが約2.5倍、画面切替が約3.9倍、選曲スピードが約24.3倍に高速化している。ルート検索は約4.8倍速くなり、特にアピールしているJR札幌駅からJR鹿児島駅までの5ルート検索(一般道、有料道など5つの条件に合わせて5パターンの走行ルートを計算)は9.75秒まで短縮された。

 また、単純に処理を高速化しただけなく操作性にも手を加え、ショートカットメニューの搭載や、今までとは違った3Dによる交差点案内、文字表示のサイズの設定も初搭載。自車位置情報でも従来から使っているGPSに加え、新たに準天頂衛星「みちびき」に対応している。

プロセッサーにクアッドコアを使った「R-Car H1」を採用
従来製品との搭載プロセッサー比較。シングルコアから大幅に性能向上している
実際の製品での操作速度比較。大幅に高速化していることが分かる
ルート検索の速度も従来比4.8倍
スマートフォンライクな操作性を実現
表示文字サイズの変更機能を新たに搭載した
スマートフォンライクにスワイプで地図表示を移動できるようになった
ピンチイン/ピンチアウトも可能

 新しい試みとしては、クラウド連携機能「DriveConnect」を新搭載。ワイヤレスでユーザーのスマートフォンなどと接続し、スマートフォンで検索した内容をいったんWebサーバー上に蓄積して、その情報を使って目的地設定することも可能になった。

 接続にはBluetooth、またはWi-Fi(無線LAN)を利用する。クラウド連携機能のうち、「スマホDEメモ」のスマートフォンアプリはiPhoneなどが採用するiOS向けのみの提供となるが、ほかの機能はiPhone以外でもWi-Fiなどによってインターネット接続をすれば可能になる。「ぐるなび」の店舗情報の検索や、三菱電機の会員制交通情報システム「OpenInfoサービス」を利用して渋滞情報をやりとりできる。

 さらに液晶画面も改善。液晶パネルと強化ガラスの隙間をなくし、表面処理を行うことで反射を抑制。コントラストを大幅に向上させた。コントラスト比は従来製品から最大52倍のアップとなり、特に太陽光が車内に入り込む昼間の視認性が向上している。説明会場のデモ機では強力なライトに当てた状態での展示も行われ、視認性の改良が確認できた。

Wi-Fi連携で使える機能は、クラウドと連携する「DriveConnect」のほか、オンデマンドVICSであるプローブ情報や楽曲データベースなどに対応
「ネットDEサーチ」は「ぐるなび」でお店の検索ができ、そのまま目的地に設定できる
「スマホDEメモ」はiOSアプリと連携し、スマートフォンで検索した情報をカーナビで使うことができる
スマートフォンとBluetoothやWi-Fi(テザリング)で接続し、インターネット接続機能が使える
スマートフォン接続の設定画面
有料道路と一般道が並走する場面で、自車位置をショートカットボタンからすぐに変更できる
準天頂衛星「みちびき」にも対応。GPSが苦手とするビル街でも測位可能になる
液晶画面の反射具合を比較。左が新製品で右が従来製品。昼間の画面の見やすさに大きな違いが認められる
新製品に搭載する「ピュアブラック・ハイコントラストモニター」の構造
コントラスト比の差は最大52倍

NR-MZ100PREMIは純度99.99999%の「高純度7Nケーブル」を採用

 MR-MZ100シリーズは「NR-MZ100PREMI」「NR-MZ100」の2製品で展開する。2製品の違いは基本的にオーディオ部分となり、ナビゲーションの性能や液晶画面は同一。

 タイムアライメントや音場コントロール機能は「NR-MZ100PREMI」がより多機能となっており、高度な調整や設定が可能になっているほか、グラフィックイコライザー機能も「NR-MZ100PREMI」がフロント・リア独立31バンドとなるのに対して、「NR-MZ100」は前後左右共通の10バンドとなる。

 また、「NR-MZ100PREMI」では、電源とスピーカーケーブルに純度が99.99999%の「高純度7Nケーブル」を採用。Blu-rayディスクプレーヤーとの接続にも対応する。外見でも「NR-MZ100PREMI」はブラウン系のフロントパネルを採用し、プレミアム感を演出している。

 共通のスペックとして、7インチとなる液晶画面の画素数は800×480。入力ソースはiPhone/iPodやUSBメモリーといったUSB経由デジタル音源、CD/DVD、SDメモリーカード、BluetoothとRCAによるアナログ入力に対応。ラジオはFM/AMで、FMの受信可能周波数は95.0MHzまでカバー。TVはフルセグ/ワンセグ自動切り替えの地上デジタル放送を受信できる。

 スピーカー出力は、アンプ出力が45W×4/4Ωで、外部アンプ用に2系統のRCA、サブウーファー用に1系統のRCAを設定する。

MR-MZ100シリーズは、24万円(税別)の「NR-MZ100PREMI」、17万円(税別)の「NR-MZ100」という2製品で展開。発売日は10月20日
NR-MZ100PREMIでは、電源やスピーカーケーブルに純度が99.99999%の「高純度7Nケーブル」を採用
NR-MZ100PREMIを同社のスピーカーと組み合わせて視聴する製品デモ

ETC2.0車載器「EP-A015SB」も登場

 このMR-MZ100シリーズと同時発表されたETC車載器が「EP-A015SB」。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は3万円前後を見込んでいる。この新製品が対応する「ETC2.0」とは、「DSRC」と同じく新たに使われているサービスの呼び名で、既存のETCよりも多くの情報をやりとり可能となる。

 カーナビと接続することにより、従来はVICSで受信していた渋滞情報などがETC2.0のシステムで配信され、ETC2.0車載器を通して受信することが可能になる。また、経路情報を道路側でも把握できる機能が用意され、2016年からETC2.0車載器搭載のクルマを対象とした有料道路の料金割引も検討されている。

「EP-A015SB」は今回発表されたNR-MZ100シリーズのほか、従来製品を含めた三菱電機の一部カーナビと接続可能となっている。

ETC2.0車載器「EP-A015SB」。情報を有効活用するためには対応カーナビと接続して使用する必要がある
車載器とアンテナが別となる分離型

CEATEC JAPAN 2015に出展

 新たに発表されたNR-MZ100シリーズは、10月7日~10日に千葉県千葉市の幕張メッセで行われる「CEATEC JAPAN 2015」に出展予定。CEATEC JAPAN 2015は事前登録で入場無料。当日登録は大人1000円、学生500円となる。

(正田拓也)