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アウディ、ブランド初のPHEV「A3 スポーツバック e-tron」発表会

「現時点でのベストなソリューションがPHEV」とプロジェクトリーダー 山口氏

2015年10月7日開催

アウディ初のPHEV車「A3 スポーツバック e-tron」

 アウディ ジャパンは10月7日、年内の発売をアナウンスしているブランド初のPHEV(プラグインハイブリッド)「A3 スポーツバック e-tron」の発表会を、“e-tron店”と呼ばれるみなとみらいのディーラーで開催した。

会見の冒頭で、アウディジャパンの広報部長 丸田靖生氏からディーゼルエンジンの問題について語られた

 会見の冒頭で広報部長を務める丸田靖生氏は、昨今のフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン問題に触れ、「先週アウディ ジャパン社長のコメントを発表しましたが、弊社は問題となっているディーゼルエンジン車の正規輸入は行っていません。ですので、国内のアウディオーナーには当てはまらないのですが、海外では該当すると発表されていて、ご心配をお掛けして申し訳なく思っています。今後はフォルクスワーゲンを中心に原因究明を行い、報道発表をします。信頼を損なうことがないように精一杯サービスを行っていきます」と、ディーゼルエンジン問題についての見解を語った。

 また、質疑応答では販売への影響も聞かれ、これについては「9月の販売状況は前年比1.3%増で、来店するお客様も前年並みをキープしています。ですので、販売に主だった影響が出ているとは思いません」と、販売の状況について説明している。

アウディ ジャパン、ディーゼル車の排出ガス問題について「お客様と社会からの信頼を得ることがもっとも重要」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20151002_723963.html

アウディ、2015年内にPHEVモデル「A3 スポーツバック e-トロン」を導入
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20151007_724513.html

アウディ初のPHEVとなるA3 スポーツバック e-tron。ボディーサイズは4330×1785×1465mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2635mm。駆動方式は2WD(FF)。車両重量は1570kgで、5名乗車が可能。価格は564万円で、最大61万円のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費が適用される
充電ポートはフロントグリルのフォーリングスを左にずらすことによって表れる
ルーフレールやディフューザー、リフレクター、17インチホイールなど多くの専用パーツを装備
専用に新開発された15スポークの17インチアロイホイール。タイヤもe-tron用に開発されたコンチネンタル製の低燃費タイヤを組み合わせる。サイズは225/45 R17
室内は基本的にベースとなるA3 スポーツバックと同等
トランスミッションは6速DCT「Sトロニック」。走行モードはインパネのスイッチで操作する。EVモードに加えて3種類のハイブリッドモードを選択できる
メーターは左側と中央がハイブリッド専用。モーターとエンジンの駆動状態やバッテリーの回生状況が確認できる
バッテリーは後席床下に搭載されるが、室内空間は犠牲になっていない
2.5mの充電ケーブルを標準装備
e-tronのロゴは内外装に与えられている
「アウディチャージングドッグ」と呼ばれる充電ケーブル格納キット。オプション設定される
直列4気筒DOHC 1.4リッター直噴ターボエンジンは最高出力110kW(150PS)/5000-6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpmを発生。モーターと合わせたシステム出力は150kW(204PS)/350Nmとなっている。使用燃料は無鉛プレミアムで、燃料タンク容量は40LとA3よりも若干容量が少なくなっている

現時点でのベストなソリューションがPHEV

発表会で公開されたA3 スポーツバックe-tronの資料。PHEVは現時点で理想的なパワートレーンとした
A3 スポーツバック e-tronの解説を行ったアウディ ジャパン プロダクトマーケティングのプロジェクトリーダー 山口弘明氏

 さて、アウディブランドがリリースする初のPHEVとなったA3 スポーツバック e-tron。同モデルについて、アウディ ジャパン プロダクトマーケティングのプロジェクトリーダー 山口弘明氏は、「アウディは1989年にハイブリッド技術を搭載したコンセプトカーをお披露目しました。そして1997年にはPHEVのコンセプトカーを初公開していて、25年以上の研究開発の歴史を持っています。現在の自動車社会が直面する課題として、二酸化炭素の排出や化石燃料の枯渇などが挙げられ、代替エネルギーの開発が進んできました。消費者も自動車へのニーズが変わってきていて、先進的なエネルギーやパワートレーンを使うクルマを求めています。多様化しているパワートレーンの開発は各メーカーともに行っていて、アウディもt-ronテクノロジーとして電気の『e-tron』、水素の『h-tron』、天然ガスの『g-tron』と3つの柱を持っています」と、アウディのハイブリッド技術の解説とともに次世代燃料への取り組みについて語る。

 続いてA3 スポーツバック e-tronの特徴については、「ガソリン車から電気自動車へ移行する上でオーナーの心理的障壁があります。それは充電時間や充電方法、航続可能距離などで、現時点でのベストなソリューションがPHEVだと考えています。A3 スポーツバック e-tronは、日常生活であれば52.8kmのEV走行が可能なため電気自動車として使え、遠出の際はハイブリッド車として高効率なドライブができ、電気とハイブリッドのいいとこ取りのクルマとなっています。A3をベースとしたのは、コンパクトなプレミアムハッチバックで多くのお客様に使ってもらえると考えたからです」と、PHEVの優位性やA3からリリースした理由を述べた。

A3 スポーツバック e-tronの3つのハイライト

 A3 スポーツバック e-tronは3つのハイライトがあり、1つ目が「プレミアムコンパクトセグメント唯一のPHEV」であること。2つ目が「際立つスポーティな走り」、そして3つ目が「高効率パワートレーンがもたらす高い経済性」になるという。

 エクステリアは、専用のバンパーやラジエターグリル、17インチホイール、ルーフレール、サイドスカート、リフレクター、リアディフューザーと、多くのパーツが専用装備になる。パワートレーンは、直列4気筒DOHC 1.4リッター直噴ターボエンジンに最高出力80kW(109PS)、最大トルク330Nm(33.7kgm)のモーターを組み合わせている。バッテリー容量は8.7kWhで、モーターのみで52.8kmの走行が可能になっている。バッテリーとガソリンを合わせたトータルの航続距離は940km。バッテリーの充電時間は、200Vならば約3時間、100Vならば約9時間だという。

 アウディ初のPHEVとなったA3 スポーツバック e-tronは、全国のe-tron店と呼ばれる55店舗(全国のディーラー店舗数は115)で販売を開始する。e-tron店や通常のディーラーには200Vの充電スポットを複数台用意し、ユーザーの利便性も向上させていく予定。また、家庭用に充電設備を工事する場合は、最大15万円をアウディ ジャパンがサポートするキャンペーンを行うそうだ。期間や内容は別途案内するとしている。

A3 スポーツバック e-tronの内外装でのポイント
0-100km/h加速は7.6秒、EVモードでの最高速は130km/h
EVモードで52.8kmの走行が可能としており、電気とガソリンを合わせた航続距離は940kmとアナウンス
EVボタンにより、モーターのみで走行できる「EVモード」、一般的なハイブリッド走行を行う「ハイブリッドオート」、充電量を維持しながら走行する「ハイブリッドホールド」、積極的にバッテリーを充電して走行する「ハイブリッドチャージ」という4種類のハイブリッド走行モードを選択できる
車両情報
主な標準装備
スマートフォンアプリなどについて
価格は564万円で、最大61万円のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費が適用された場合は503万円になる
A3 スポーツバック e-tron専用チャージャー「アウディ チャージングドック」について
A3 スポーツバック e-tronは、全国のe-tron店(55店舗)での販売となる
家庭用に充電設備を工事する場合は、最大15万円をアウディ ジャパンがサポートするキャンペーンを展開する予定

(真鍋裕行)