アウディ、もっとも売れてる「A4」シリーズをモデルチェンジ アイドリングストップ機構を搭載し、2WDで約17%、4WDで約20%燃費向上 |
アウディ ジャパンは4月3日、新型アウディ「A4」シリーズを発売した。セダンタイプの他、ステーションワゴンタイプの「A4 Avant(アバント)」があり、それぞれ2WD(FF)とクワトロと呼ばれる4WD、そして3.0リッターV型6気筒エンジンを搭載したスポーツグレード「S4」をラインアップ。価格は以下のとおり。
モデル | エンジン | 駆動方式 | ハンドル | 変速機 | 価格 |
A4 2.0TFSI | 直列4気筒DOHC 2.0リッター インタークーラー付きターボ | 2WD(FF) | 右 | CVT | 4,400,000円 |
A4 2.0TFSI クワトロ | 直列4気筒DOHC 2.0リッター インタークーラー付きターボ | 4WD | 右 | 7速デュアルクラッチAT | 5,230,000円 |
S4 | V型6気筒DOHC 3.0リッター スーパーチャージャー | 4WD | 右/左 | 7速デュアルクラッチAT | 7,990,000円 |
A4アバント 2.0TFSI | 直列4気筒DOHC 2.0リッター インタークーラー付きターボ | 2WD(FF) | 右 | CVT | 4,580,000円 |
A4アバント 2.0TFSI クワトロ | 直列4気筒DOHC 2.0リッター インタークーラー付きターボ | 4WD | 右 | 7速デュアルクラッチAT | 5,410,000円 |
S4アバント | V型6気筒DOHC 3.0リッター スーパーチャージャー | 4WD | 右/左 | 7速デュアルクラッチAT | 8,170,000円 |
発売に合わせ、表参道にあるアウディ・フォーラム東京で発表会を開催。同社代表取締役社長の大喜多寛氏のほか、アウディAGからA4のプロダクトマネージャーであるイェンス ディードリッヒ コトニック氏も登壇。新型A4の魅力を語った。
アウディ ジャパン 代表取締役社長 大喜多寛氏 | アウディAG プロダクトマネージャー イェンス ディードリッヒ コトニック氏 |
アウディA4の前身は1972年に登場したアウディ80になる。コトニック氏によれば、アウディ80、そしてA4は、常にアウディの中で最も売れている車種だと言い、数カ月前には累計1000万台目のA4がラインオフしたと言う。
大喜多氏によれば、現在の世界全体でのアウディの販売比率で見ると、全体の25%をA4が占めると言う。これは国内においても同様で、「A4はアウディを支える屋台骨だ」とした。なお、日本でA4(80)を導入したのは1995年からで、おそらく今年の後半には、国内販売台数でも累計10万台に達するだろうとのこと。また、輸入車の大きなマーケットであるBセグメントにおいて「A5と合わせ、アウディの台数は非常に順調に成長してきていると考えている」と述べた。
歴代A4(80)シリーズ | A4の累計販売台数(世界) | アウディブランド内での販売比率(世界) |
A4の累計販売台数(国内) | アウディブランド内での販売比率(国内) | Bセグメント販売台数(国内) |
コトニック氏は「アウディでは新型車を紹介するにあたってフェイスリフトという言葉は使いたくない」と言う。生産開始後たった4年では、アウディのスタイリングは仮に変更を加えるとしてもわずかしか必要ないからというのがその理由で「これは今でも変わらずダイナミックであると同時にエレガントであるA4にもあてはまる」とした。
とは言え、新しいA4のスタイリングは刷新された。コトニック氏によれば、フロントエンドは一段とフラットで幅広くなり、シャープなエッジは立体感を増したボンネットを強調する。シングルフレームグリルは6角形の新しいデザインに変更。真新しいデザインのヘッドライトは、ライトユニットはくさび形にデザインされ、下部には曲線を採用。ウインカーライトはライトユニット上部を縁取るような形で配置される。また、S4にはスタティックおよびダイナミックターンライト機能を組み込んだアダプティブライトをオプションで用意していると言う。
新デザインのフロントバンパーには大型のエアインテークを配置。これは中央に向かって細くなり、どっしりとしたトリムに向かって広がっている。そしてシングルフレームグリルの下にあるフラットエアインテークもデザインを一新した。
後部では、フロントのポジショニングライトに対応し、テールランプも水平ラインを描き、LEDを採用している。また、リアバンパーにはディフューザーインサートを組み込み、テールパイプはエンジンにより、左側2本か左右1本ずつのレイアウトとなる。
S4エクステリア | ||
刷新されたフロントバンパー | 流麗なボンネットはプレスラインがアクセントになる | S4のドアミラー |
ヘッドライトも内部構造に手が加えられている | S4は18インチホイールを標準装備。ブレーキも強化される | |
テールランプもヘッドライトに準じたデザイン | S4はデュアルテールの左右出しマフラーを装備 |
A4 アバント クワトロのエクステリア | ||
撮影車はオプションのS-line用18インチホイールを装備 | アバントにはルーフレールがつく | アバントのテールランプ |
インテリアもさらにエレガントさを増したと語るコトニック氏。「人間工学に基づいた様々な配慮が施されているMMIナビゲーション+インフォテイメントシステムのボタンは4つになった。そしてボリュームコントロールはスキップ機能をつけている。その他の改良点として、人間工学に基づいたシフトレバー、シートヒーター、シートエアコンディショナー、アウディドライブセレクトシステム、そして本革巻きマルチファンクションステアリングホイールなどをあげたい」と言う。また、オプションで様々なデコラティブパネルが用意されるが、特に魅力的なのがビューフォートオークだとした。
S4のインパネ | S4のメーター | |
デコラティブパネル | S4のセンターパネル | S4のシフトレバーとMMIナビの操作部 |
運転席ドアスイッチ周り | S4のロゴがあしらわれたフロントシート | S4のリアシート |
A4アバントのインパネ | マルチファンクションスイッチ付き本革巻きステアリング | A4アバントのメーター |
A4アバントの運転席・助手席 | A4アバントの後席 | A4アバントのシフト周り |
A4のボディーサイズは、4700×1830×1440(アバントは1465)mm(全長×全高×全幅)で、超軽量構造コンセプトに基づき、高強度鋼や超高強度鋼といったハイエンド素材を多様。車両重量では1540kgにとどめているとのこと。一方荷室の容量は大きく、セダンタイプでトランク容量は480L(アバントは490L)となる。分割可倒式の後席は、ヘッドレストを外すことなく、手の2つの動きで倒すことができるとコトニック氏。シートを倒すことで、トランク容量は962L(アバントは1430L)まで広がる。これはFFモデルでも4WDモデルでもほぼ同じだと言う。
セダンタイプのトランク | アバントのラゲッジルーム | アバントのラゲッジルーム下にはスペアタイヤが入る |
アバントのシートアレンジ |
新型A4は、燃費性能がさらに向上したのもトピックだとコトニック氏。新たに採用されたスタート&ストップシステムでは、100kmの走行で最大0.2L削減、また電動パワーステアリングシステムの採用で最大0.3L/100kmの燃料の削減ができたと言う。そうした結果、FFモデルに搭載される最高出力132kW(180PS)、最大トルク320Nm(32.6kg)のエンジンでは、先代と比べ約17%燃費が向上し、JC08モード燃費で13.8km/L。4WDモデルに搭載される155kW(211PS)、350Nm(35.7kg)のエンジンでは、先代比約20%燃費が向上、JC08モード燃費で13.6km/Lを達成。この2つのエンジンではエコカー減税、エコカー補助金にも対応する。大喜多氏によれば、「FFモデルで25万円、クワトロで30万円以上のメリットがお客様にはある」と言う。
FFモデルのエンジンで17%燃費向上 | 4WDモデルのエンジンで20%燃費向上 | 245kW(333PS)、440Nmを発生するS4のV6エンジンも、燃費を19%向上 |
スタート&ストップシステムで燃料消費を最大0.2L/100km削減 | 電動パワーステアリングシステムで燃料消費を最大0.3L/100km削減 |
S4を除く2.0リッターモデルでエコカー減税に対応。減税と補助金で25万~34万円お得になる |
ドライブセレクトシステム |
A4に採用される最新鋭の機能の1つが、ドライブセレクトだ。スイッチ1つで、アクセル特性、変速のタイミング、パワーステアリングのアシスト力などが変えられる。コンフォート、オート、ダイナミックに加え、エフィシェンシーを追加。エフィシェンシーモードでは、素早いシフトアップや遅めのシフトダウンでエネルギー効率を高めると言う。
「A4のドライビングの楽しみは、パワートレインの性能だけが頼りではありません。またシャシーも大きな役割を果たしました。印象深い直進安定性能や快適性、そして躍動感あふれる俊敏性を提供しています」とコトニック氏。S-lineパッケージにオプション設定されるスポーツサスペンションは、車高を30mm下げるだけでなく、アウディドライブセレクトと組み合わせることができる。CDC(連続可変ダンピングコントロール)ショックアブソーバーは、ドライブセレクトのモードや路面状況などに考慮して1/1000秒単位で電磁作動式バルブを制御。スポーティなだけでなく快適な乗り心地を実現する。
そのほかにも、ステアリングギヤ比を100%近く変化させることができるダイナミックステアリングや、30~200km/hで先行車の追従走行が可能なアダプティブクルーズコントロール、S4に採用されるスポーツディファレンシャルもドライブセレクトと統合できる。
「新しいA4は、効率性やダイナミックパフォーマンスにおいてひしめく競合の中でも新しいスタンダードを打ち立てた。エレクトロニクスやアシスタントシステムでも一歩先を行くレベルを達成している。なぜなら新型A4には、フラッグシップモデルであるA8の技術を多く引き継いでいるからだ」とコトニック氏。
アウディアクティブレーンアシスト機能は、バックミラーに搭載された小型カメラが、前方の車線を認識。車線を逸脱すると、ステアリング操作の自動修正を行い、車体をレーンに戻す機能を果たす。
アダプティブクルーズコントロール | アクティブレーンアシストでは、車線を逸脱しそうになると、ステアリング操作で修正する |
また、全車に搭載されるのが、ドライバーインフォメーションシステムの休憩推奨機能だ。システムはステアリングの動きやペダルの操作を常に監視し、ドライバーの特徴を作成。ステアリング操作がほとんどないなど、普段とは違う動きを検知した場合、音や表示で警告し、休憩を促すことができると言う。
なお、A4の国内販売予定台数は年間5000台とのこと。
(瀬戸 学)
2012年 4月 4日