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日産、自動運転技術「パイロットドライブ 1.0」搭載車を2016年に日本市場投入

高速道路から一般道まで自動運転が可能な新型実験車両も公開

2015年10月23日公開

日産自動車 先進技術開発センターにおいて公開された新型自動運転実験車両

 日産自動車は10月23日、同社先進技術開発センターにおいて新型の自動運転実験車両を公開した。これまでも同社はEV(電気自動車)「リーフ」ベースの自動運転実験車による自動運転実験を行ってきたが、従来は高速道路の実験を主としていたのに対し、新型実験車両は同じ「リーフ」ベースながら、“高速道路から一般道まで”の実験を行うとしている。

 日産は持続可能なモビリティ社会の実現に向け。CO2排出量をゼロにする「ゼロ・エミッション」と、日産車が関わる交通事故の死亡・重傷者数をゼロにする「ゼロ・フェイタリティ」の2つの企業ビジョンを掲げている。その企業ビジョンを具現化するのがEVであり、交通事故低減を可能とする自動運転車になる。

 この自動運転コンセプトを「ニッサン インテリジェント ドライブ」と命名。自動運転技術搭載車を段階的に投入していく。

 自動運転技術の第1弾としては、高速道路上での安全な自動運転を可能にする技術「パイロットドライブ1.0」搭載車を2016年に日本市場に導入予定。これは世界に先駆けてのことになる。

 また、2018年には高速道路上での車線変更を自動的に行う、複数レーンでの自動運転技術の実用化を目指す。2020年には、交差点を含む一般道での自動運転技術の導入を計画している。

 今回発表した新型実験車には環境認識デバイスとして、小型・高性能な量産試作段階の「3Dフラッシュライダー」を4基搭載したほか、カメラ技術としてアラウンドビューモニター用の4カメラに加え、車両の360度を確認可能な8カメラシステムを搭載(計12個)。77GHzの遠方監視用ミリ波レーダー、79GHzの周囲監視用のミリ波レーダーを備える。

4つのアラウンドビューモニター用カメラに加え、8つの360度確認用カメラを追加。合計12個のカメラを搭載している
車体の4個所に新開発の3Dフラッシュライダー。センチメートル単位の分解能があるという
各種センサーの搭載個所

 3Dフラッシュライダーは、照射角140度程度、波長1000nm(ナノメートル)付近の赤外光を使用。従来のものに比べ照射範囲を広くするためのミラー駆動部がなく、コストダウンや信頼性の向上に繋がっている。

 一方、車両の360度を確認可能な8カメラシステムについては、画像処理にかかる負荷が高いことから分散処理を導入。カメラそれぞれに処理プロセッサが搭載され画像処理を実行。最後にセントラルECUで処理されるという。多数の処理を実用的な速度の中で実行していかなければならないため、プロセッサのECUも高性能なものへと進化。T(テラ)FLOPSレベルの処理能力があるという。

360度センシングを行うという

 人とのHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)も重視しており、「パイロットコマンダー」をセンターコンソールに設置。マニュアルドライブモード(通常走行モード)からパイロットドライブモード(自動運転モード)への切り替え、自動車線変更の指示が行えるようになっている。

 ヘッドアップディスプレイも装備し、次にどのような自動運転が行われるか表示。自動運転車普及当初はどのような運転が行われるか分からないとドライバーの不安をあおる可能性があるため、自動運転制御の“見える化”をしている。

 主な自動運転制御は「車間距離制御」「車線内走行」「自動車線変更」「低速車両の自動追い越し」「自動合流」「自動分岐」「インターチェンジ走行」「交差点左折」「信号停止」が挙げられている。

(編集部:谷川 潔)