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2015年のスーパーフォーミュラ、初の栄冠を獲得した石浦宏明選手のチャンピオン記者会見

「レース中に気持ちで負けなくなったことがもっとも大きな成果」と石浦選手

2015年11月8日開催

初のドライバーズチャンピオンに輝いた石浦宏明選手と、チームタイトルを獲得したトムス 舘信秀監督

 年間7戦のシリーズで競われた2015年のスーパーフォーミュラ。最終戦が11月7日~8日に鈴鹿サーキットで開催され、レース2で4位に入ったP.MU.CERUMO・INGINGの石浦宏明選手が初のドライバーズチャンピオンに輝いた。

 ドライバーズチャンピオンを獲得した心境について、石浦選手は「チャンピオンを取れてとりあえずホッとしています。鈴鹿に入る前からプレッシャーはありましたが、寝られないほどではなく、ほどよい緊張でした。チームの雰囲気が明るく、予選前もふざけ合っているくらいで、笑ってヘルメットを被れたので助けられました。この鈴鹿ラウンドでは、プレッシャーによって自分の実力が出せないと後悔すると思っていましたが、すべて出し切れたと思っています。それもあってホッとしたと感じたのでしょう」と、シリーズチャンピオンへのプレッシャーを感じつつも、チームの明るさに助けられたと語った。

 2レース制で競われた鈴鹿ラウンドについての流れを聞かれると、「フリー走行で調子がわるく、下位に沈んでしまったときに不安を感じました。ですが、予選のQ1でマシンをねじ伏せないことで好タイムが記録でき、結果として2位を獲得できました。この状況で想像以上の走りができたのでネガティブな感覚はなくなりました。レース中は、前のマシンが飛び出していなくなったり、後ろからのプレッシャーがなくなったりと、恵まれたレース展開になったことも救われた要因だと思います」とコメント。

 また、今年のレース展開については「初優勝が一番の思い出となっています。2位は何度も取ったことがあったのですが、なかなか勝てないと言われてきたので、初優勝は本当に嬉しかったです。初優勝の後はリラックスして走れるようになり、自分のパフォーマンスを存分に発揮できるようになりました。レース中に気持ちで負けなくなったことがもっとも大きな成果だと思っています」と振り返るとともに、「初優勝したあとは、チーム内でも“ポイントリーダーだよ”とふざけていましたが、2勝目以降はチームの雰囲気も変わってきてプレッシャーを感じていたと思います。ですが、我々のチームはSUPER GTでも同じメンバーでやっているので、流れというのかリズムが作りやすいのだと思います。ポイントリーダーとして逃げるシーズンでしたが、あっという間に過ぎていった印象です」と、初優勝の心境やポイントリーダーとして追われる展開となった今シーズンについて振り返った。

「レース中に気持ちで負けなくなったことがもっとも大きな成果」と今シーズンを振り返る石浦宏明選手

 最後に、タイヤサプライヤーがブリヂストンから横浜ゴムに変わることについては、「レース2のチェッカーを受けてからピットに戻るまでに、ブリヂストンタイヤでの最後のチャンピオンなのだと思い、嬉しく感じていました。フォーミュラではブリヂストンタイヤ以外を履いたことがないですし、育ててきてもらったと感じています。ブリヂストンのスタッフはSUPER GTを含めて同じですし、鈴鹿のスタッフにも苦労していた時代にサポートしてもらいました。それらの感謝をマシンの中で思っていました。来年からワンメイクとなる横浜ゴムについてはすでにテストをしていて、初めて乗ったときに凄くレベルが高く驚きました。今年履いていたブリヂストンと変わらないレベルと言えます。レース展開を面白くする意味では、タイヤグリップに変化がある方がいいと思っています」と、ブリヂストンタイヤへの感謝と横浜ゴムの感想を語っていた。

「石浦選手にはおめでとうと言いたいです」とコメントしたトムスの舘信秀監督

 一方、ドライバーズチャンピオンは石浦選手が獲得したが、チームチャンピオンは3年連続してPETRONAS TEAM TOM'Sが奪取した。トムスの舘信秀監督は記者会見で、「ドライバーズチャンピオンとして隣に並んでいるのが、中嶋一貴選手であればよかったのですが、チームタイトルを3年連続して獲得できたことについてはよかったと思っています。ドライバーズチャンピオンを争っていた中嶋選手は、土曜日の出だしから調子がわるくて心配する場面もありました。しかし、レース2では2位表彰台を獲得していたので、その部分では大いに評価しています。シーズン中に1戦欠場してのランキング2位なので、結果としてはよかったのではないでしょうか。シリーズとしては新チャンピオンが出現することは喜ばしいので、石浦選手にはおめでとうと言いたいです」と、チームタイトルを獲得した感想とともに、石浦選手へ賛辞を送っていた。

(真鍋裕行)