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スーパーフォーミュラ最終戦予選日に、オフィシャルタイヤサプライヤー発表会

2016年から横浜ゴムがワンメイク供給。新たなレースの魅力を期待とJRP白井社長

2015年11月7日 開催

発表会場に展示されたスーパーフォーミュラマシン「SF14」。横浜ゴムのアドバンタイヤが装着され、デモカーのためアドバンカラーで身を包む。ゼッケンは25。横浜ゴムの思いが詰まっている

 「2015年スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ」の予選日となる11月7日、同レースを開催中の鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)において「オフィシャルタイヤサプライヤー発表会」が行われた。

 この発表会は、2016年からスーパーフォーミュラの使用タイヤがブリヂストン「POTENZA(ポテンザ)」から横浜ゴム「ADVAN(アドバン)」に変更されることに伴って開かれたもの。この変更については東京 お台場で開催中の「東京モーターショー」横浜ゴムプレスカンファレンスで初めて発表されたが、スーパーフォーミュラの場において改めて発表会を開いた形になる。

東京モーターショーと同時展示となるため、このカラーリングのマシンは2台あることになる
フロントタイヤ
リアタイヤ
各所に「YOKOHAMA」「ADVAN」のロゴが刻まれる。来年の各チームのマシンカラーリングが楽しみだ

 発表会場には、アドバンカラーをまとったスーパーフォーミュラマシンを展示。東京モーターショーでも展示中なので、このようなマシンは、スーパーフォーミュラにエンジンを供給しているトヨタエンジン仕様とホンダエンジン仕様の2台あるのかもしれない。

JRP社長 白井裕氏

 スーパーフォーミュラを運営するJRP(日本レースプロモーション) 白井裕社長は、ダラーラのSF14シャシーや、550馬力以上と言われる直列4気筒 2.0リッター直噴ターボエンジンを採用してきたスーパーフォーミュラの歩みについて簡単に紹介。「ヨーロッパのF1、アメリカのインディ、アジアのスーパーフォーミュラ」と、同レースの知名度は海外において上昇しているという。

 世界的なシリーズへ成長させたい同シリーズを文字どおり足下から支えるのがタイヤとなり、そのタイヤについては「安全面、耐久性、コンペティティブなレースを支える性能」が大切としながらも、「しっかりとした供給体制を持つことが非常に重要」と語る。ワンメイクのためイコールコンディションのタイヤを供給できる能力を重視している姿勢を感じられた。

 新たにタイヤサプライヤーとなる横浜ゴムは、同社のレース部門となるヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役副社長兼企画本部長 阿部義朗氏、同 開発本部長 秋山一郎氏のほか、横浜ゴム 代表取締役社長 野地彦旬氏も出席。かつてモータースポーツ用タイヤを開発していた野地社長が挨拶を行った。

横浜ゴム 代表取締役社長 野地彦旬氏
横浜ゴム モータースポーツ事業の首脳陣。右から、野地社長、ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役副社長兼企画本部長 阿部義朗氏、同 開発本部長 秋山一郎氏

 野地社長は「みなさんこんにちは。というより、この度帰ってまいりました」と挨拶。1996年以来となるトップフォーミュラへの挑戦、日本のモータースポーツ最高峰への復帰の気持ちを挨拶に込めるとともに、これまでスーパーフォーミュラを支えたタイヤサプライヤーであるブリヂストンへの謝辞を述べた。

 約20年振りとなるトップフォーミュラへの挑戦だが、最後のフォーミュラ・ニッポン用タイヤ設計者は野地社長自身で、秋山開発本部長が最後のテストをしていたという。20年も経つと、当時携わっていた社員が半分ほどとなり、技術の継承を懸念。JRPからタイヤ供給に関する打診があった際、当時ヨコハマモータースポーツインターナショナルの野呂社長(現 横浜ゴム タイヤ消費財開発本部長)や秋山開発本部長が強い参加の意を表明したという。

 野地社長もスーパーフォーミュラ用タイヤは、「技術開発のネタの宝庫である」と語る。前後G、横G、荷重、エアボリュームなどに対するクルマの反応が箱のレースとは違うという。横浜ゴムがマカオグランプリF3、FIA F2選手権、ドイツF3選手権などで培ってきた開発技術力やアイデア力を投入し、「モータースポーツ全般を盛り上げていくことも役目だと思っている」と同社の役割を示した。

 また、野地社長が強調していたのが、スーパーフォーミュラに供給することだけに注力するのではなく、Bライでのモータースポーツからトップフォーミュラまで幅広くモータースポーツ用タイヤを供給するということ。「モータースポーツをきっかけに、(多くの人に)クルマに興味をもっていただいき、もっといいシャシー、もっといいエンジン、もっといいタイヤ」と、クルマ好きのエコシステムが構築されていくことへの展望を述べた。

中嶋悟氏

 チーム代表としては、NAKAJIMA RACING監督でありJRP 会長である中嶋悟氏が挨拶。中嶋氏はスーパーフォーミュラを「鈴鹿ではF1の次に速い、区間平均では超えることもある」と紹介。次に東京モーターショーの感想を語り「東京モーターショーでは自動運転が話題で、なかにはハンドルがふにゃふにゃと消えていった車両があった」「ただ、あの(自動運転のコンセプトカーの)中に、タイヤのない車両はなかった。クルマとタイヤは切っても切れない関係にある」と、タイヤの大切さの話につなげた。そのタイヤを技術的に高いレベルで作ることが将来のクルマにも大切で、「お客さまにいかに喜んでいただけるかを一緒になって考えていきたい」と結んだ。

JRP 白井社長(左)と、横浜ゴム 野地社長(右)

 JRP白井社長に、横浜ゴム側に要望している部分を確認したところ、「安全・安心は当たり前として、レース戦略の幅の広がるようなタイヤを供給していただきたいとリクエストしている」と語る。すでに春から何度かテストをしているが、横浜ゴムにはスーパーフォーミュラと同じエンジンを搭載し、フォーミュラカーのような空力要素の強いマシンであるSUPER GT車両のタイヤ開発経験があり、技術力・供給力は十分あるという。その上で、タイヤサプライヤーが変わるのを契機に、スーパーフォーミュラに新たな魅力を付け加えていきたいとの意欲を語ってくれた。

(編集部:谷川 潔)