日産、ヒューレット パッカード エンタープライズ、シーメンス、自動車業界初の次世代設計基盤を共同で構築

　日産自動車、ヒューレット パッカード エンタープライズ、シーメンスAGは12月21日、グローバルでの各開発拠点から高速レスポンスで車両開発に関わる最新データを常時利用することができるという、自動車業界初の次世代設計基盤を共同で構築したと発表した。

　同設計基盤は「エンジニアリングVDI（Virtual Desktop Infrastructure：デスクトップ仮想化）」を採用することで、グローバルでの車両開発の柔軟性と管理の効率化を目指したもの。エンジニアリングVDIは高度なグラフィックス処理に対応した技術で、サーバー上に用意された3次元CADの仮想ワークステーションにアクセスすることで、デスクトップに画面を出力して操作できるシステムになる。

　エンジニアリングVDIによる次世代開発基盤は、最先端のグラフィックス処理技術を搭載したサーバー、ソフトウェア製品、ネットワーク高速化技術を活用しており、まずは日産テクニカルセンターノースアメリカ（NTCNA）、日産テクニカルセンターヨーロッパ（NTCE）の2カ所の開発拠点で利用を開始。次世代開発基盤により、日産はグローバル拠点におけるCAD業務をどの拠点でも同等に行なえるとともに、インフラの集約・管理性を高めることで、将来のシステム導入期間やバージョンアップ費用、運用管理工数を大幅に削減できる見込みという。また、次世代開発基盤によりグローバルでの車両開発にフレキシブルにシステム対応が可能になるとしており、順次適用地域を拡大する予定。

　次世代開発基盤の構築にあたり、ヒューレット パッカード エンタープライズは最新のブレード型ワークステーション「HPE ProLiant WS460c Graphics Server Blade」と統合ストレージ「HPE 3PAR StoreServ 7400」、ソフトウェア「HPE Systems Insight Manager」、デスクトップ仮想化技術「Citrix XenDesktop」により、複数ユーザーでリソースを共有するエンジニアリングVDI環境を提案。

　また、シーメンスAGは日産でエンジニアリングや車両開発全般にわたって利用されているCADソリューション、地域を超えて適切な人員があらゆる製品に関連する情報に対し容易かつ迅速にアクセスできることを実現する包括的な製品情報管理システム「シーメンスTeamcenter」などを提供している。