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5月28日~29日開催、全日本ロードレース選手権 第3戦もてぎの見どころ

2日間で6レース開催。「TOP6サバイバル」に注目

2016年5月28日~29日 開催

前売観戦券(2日通し券):大人3600円、学割1800円(入場時に学生証の提示が必要)、中学生以下無料(観戦券を持つ大人の同伴が必要)

前売駐車券(2日通し券):4輪1500円、2輪無料

2015年の「スーパーバイクレースinもてぎ」のスタートシーン

 5月28日~29日の2日間、ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)で2輪レース「2016 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第3戦 スーパーバイクレースinもてぎ」が開催される。1000ccのスーパーバイクで争われる国内最高峰の「JSB1000」をはじめ、600ccの「J-GP2」、250ccの「J-GP3」、さらには市販600ccバイクがベースとなっている「ST600」など、計6カテゴリーのレースが期間内に一斉に行なわれる予定だ。観戦料金は2日間通しの前売観戦券が3600円から。中学生以下は無料(高校生以上の学生は1800円)。

 ツインリンクもてぎはMotoGP世界選手権の舞台ともなっており、そこにスポット参戦するライダーにとっては本番レースの状況で経験を積めるまたとないチャンス。第4戦として予定されていた大分・オートポリスが熊本地震の影響で中止になったことも合わせて考えると、7月に鈴鹿サーキットで開催される一大イベント「鈴鹿8時間耐久レース」に向けてマシンパフォーマンスを高めていく重要なタイミングともなる。

 2016年は全8戦が開催される全日本ロードレース選手権だが、今回のもてぎのとりわけJSB1000クラスについては、いくつか注目すべきポイントがある。今回はそれらのポイントも含め、観戦に当たっての見どころを紹介しよう。

さらに新しくなった激戦必至の「TOP6サバイバル」

 ツインリンクもてぎで開かれるJSB1000クラスのレースは、29日の本選だけでなく、前日の28日に行なわれるノックアウト方式の予選も見逃せない。昨年は「TOP10サバイバル」と呼ぶ独自の予選方式を採用したツインリンクもてぎでのレースだが、2016年はさらにアップデートが加わり、「TOP6サバイバル」としてQ1からQ3までの3セッションで争われることになった。

 サバイバルと命名されているとおり、この予選方式では周回数ごとに最下位タイムのライダーが脱落し、最後まで残ってトップタイムを記録したライダーが本選のグリッドでポールポジションを獲得できるというルールとなっている。具体的には、Q1で全エントリーライダーが一斉に30分間走行し、ラップタイムの速かったトップ3ライダーが最終Q3へ進出、11位以下はそのままの順位でグリッドが確定する。

予選を走る中須賀克行選手(写真は2015年のもの)

 Q1で4~10位だったライダーはQ2に進出して再度争う。Q2では計4周する間、各周のラップタイムで最も遅かったライダーが1名ずつ脱落(グリッド順位が確定)する仕組みで、最後まで残った上位3名がQ3に進出する。そしてQ3では6名のライダーが5周を戦い、ここでもQ2と同じく周ごとに最下位タイムのライダーが脱落していくことになる。

 このようなノックアウト方式の予選は、いかにミスなく、それでいて速く走れるかという、ライダーにとっては本選並みに厳しい戦いが強いられるものとなる。通常の予選であれば1周だけベストタイムを叩き出す「1発の速さ」が重要だが、TOP6サバイバルではいくらタイムが速くても、たった1度のミスで途中脱落してしまう。上位やポールポジションを狙うには、単なる速さだけでなく、終始安定して高いアベレージで走り通すタフさが必要だ。ライダーも気が抜けないが、観戦している側も最後まで何が起こるか分からない緊張感のある予選となるだろう。

中須賀選手と予選で最後まで争った柳川明選手(写真は2015年のもの)

 翌29日はJ-GP3の決勝を皮切りに、ピットウォークとJ-GP2の決勝を挟んで14時25分からJSB1000クラスの決勝レースがスタートする。23周で争われる本選がもちろんメインではあるが、ノックアウト方式の予選も含めればある意味2つのスプリントレースを楽しめるとも言える。可能ならぜひとも2日続けて観戦したいところだ。

王者・中須賀選手にほかのライダーがいかに食い下がれるか

 JSB1000クラスにエントリーしているライダーは34チームの37人。なかでも1番の注目は4連覇中の中須賀克行選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)だろう。2016年は全戦優勝を目標に掲げ、JSB1000の第1戦目となる「鈴鹿 2&4 RACE」では幸先よく優勝を果たしている。昨年のもてぎでも優勝しているほか、5月12日に行なわれた同サーキットの合同テストでも参加ライダーのなかで唯一1分49秒台に入れるなど隙がない。

全日本4連覇中の中須賀選手(写真は2015年のもの)

 中須賀選手と同じYZF-R1を駆る野左根航汰選手(YAMALUBE RACING TEAM)は昨年3位表彰台を獲得し、前戦の鈴鹿 2&4 RACEでも4位と好成績を収めていることから期待度は高い。また、津田拓也選手(ヨシムラスズキシェルアドバンス)と柳川明選手(Team GREEN)の2人は、前戦でそれぞれ2位、3位と強さを見せている。特に柳川選手は昨年のもてぎTOP10トライアルで中須賀選手と最後まで争っており、今年も予選から熱い戦いを見せてくれそうだ。

ユースチームの野左根選手は同じYZF-R1の中須賀選手に迫れるか(写真は2015年のもの)
前戦2位で気迫十分の津田選手(写真は2015年のもの)
熟練の経験も兼ね備え、トップを伺う位置につける柳川選手(写真は2015年のもの)

 さらに、5月12日の合同テストで2番手タイムだった渡辺一樹選手(Team GREEN)をはじめ、高橋巧選手(MuSASHi RT ハルク・プロ)、加賀山就臣選手(Team KAGAYAMA)、渡辺一馬選手(FCC TSR Teluru)など、昨年の鈴鹿8耐でも活躍したトップライダーらが名を連ねる。中須賀選手一強時代の様相を呈しているとはいえ、その牙城がいつ崩されてもおかしくない状況。2016年シリーズの行方を占う前半戦としても目の離せない戦いとなりそうだ。

合同テストで中須賀選手に続くタイムを叩き出した渡辺一樹選手(写真は2015年のもの)
昨年のもてぎで2位の高橋選手(写真は2015年のもの)
鈴鹿8耐での活躍もめざましい加賀山選手(写真は2015年のもの)
地元栃木県出身でもある渡辺一馬選手(写真は2015年のもの)

トークショーや女性向けツアーが開催。バイクでの入場・駐車は無料になる特典も

 レース期間中にはさまざまなイベントも開催される。5月28日~29日の両日は参戦ライダーによるトークショーが予定されているほか、レース中のコースサイドを専用バスで走行するツアー、女性向けのガイド・ピットツアー、ホンダコレクションホール所蔵のビンテージ車両によるデモ走行などが行なわれる。併設のショップでは2016年版の新作MotoGPグッズが登場するとのことで、10月のMotoGPレース本番を前にひと足早く手に入れるチャンスともなっている。

 ところで、レース中にライダーの走る姿をしっかり見ようと思うと、座席など特定のポイントから観戦することになってしまい、どうしてもレース全体の情報が得られにくいもの。場内の実況や大型ビジョンもあるとはいえ、今どのライダーが何番手で、ラップタイムやセクタータイムがどうなっているのか、という細かい状況を把握するのは難しい。

 しかし、今回もてぎで開催する全日本ロードレースでは初めて、iOS向けの「レースライブ」アプリ(https://itunes.apple.com/jp/app/id868019588)と、Webサイト(http://www.racelive.jp/)によるライブタイミングが提供される。これらを活用することでレース観戦をさらに楽しむことができるだろう。観戦前にぜひダウンロードもしくはWebサイトのブックマークをしておきたい。

レース当日は「レースライブ」アプリなどを通じてリアルタイムに情報収集が可能だ

 なお、通常はレース観戦料金のほかにツインリンクもてぎへの入場料金(1人1000~3000円)と、クルマ、バイクで来場した場合は駐車料金(1台500~1500円)も必要になるが、今回の全日本ロードレース開催期間に限り、バイクで来場した場合は5月28日~29日両日とも入場料金、駐車料金が無料になる(レース観戦するには観戦料金が別途必要)。

 本選が行なわれる5月29日は、クルマで来場しても特別に入場料金(2000円)のみで駐車料金は不要だ。梅雨入り直前で寒くなく、暑すぎもしないツーリングに最適な季節ということもあるので、ツーリングの寄り道がてらツインリンクもてぎに遊びに行ってみてはいかがだろうか。

(日沼諭史)