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写真で見るSTI「WRX STI tS TYPE RA」

 「WRX STI tS TYPE RA」は、スバル(富士重工業)のモータースポーツ統括会社であるSTI(スバルテクニカインターナショナル)の手による限定コンプリートカー。以前、富士スピードウェイで行われたSUPER GT第2戦の際に展示された「WRX STI RAコンセプト」を紹介しているが、その市販バージョンがついに姿を現したワケだ。

 WRX STI tS TYPE RAのベースとなったのは、4ドアセダンボディーの「インプレッサ WRX STI spec C」。もともと、このモデル自体がボールベアリングツインスクロールターボをはじめ機械式LSD、ブレンボ製ブレーキキャリパー&ローターなど、WRX STIの中でも走りを重視した特別なクルマ。そこにスポーツカーならではの「切れ」を加えるべく、STIの手によるさらなる仕様変更および専用アイテムの追加が行われている。

 シャシーまわりで一番大きなポイントは、ステアリングに11:1のクイックなギアレシオが与えられたこと。これはWRカーと同じ数値と言う。だが、ベース車の13:1から単純に数字だけ変更しても、足まわりが付いてこなければバランスが崩れて乗りにくいクルマになってしまう。そこで、それに対応すべくフロント倒立ストラットとリアダンパー、それに前後のコイルスプリングをSTI製にチェンジ。加えてフロントフレキシブルタワーバー、前後フレキシブルドロースティフナー、リアフレキシブルサポート、ピロボールブッシュ・リヤサスリンクなどを装着。これらのアイテムはただ単に足まわりを硬めるのではなく、「フレキシブル」の名が示すように「逃げ」の要素も加味している。それにより同社が提唱する「強靱でしなやかな走り」と「切れ」を両立しているのだ。

 その一方で、エンジンまわりはベース車と同じ2.0リッターの水平対向4気筒エンジン「EJ20」を搭載。スペックも同じく最高出力227kW(308PS)、最大トルク430Nm(43.8kgm)となっている。トランスミッションは6速MTで駆動方式は4WDとなる。

 バリエーションはベースモデルのほか、「ニュルブルクリンク24時間レース」をイメージした「NBR CHALLENGE PACKAGE」、同仕様に専用レカロシートを装着した「NBR CHALLENGE PACKAGE [RECARO]」の3タイプ。

 NBR CHALLENGE PACKAGEはBBS製の18インチアルミホイールのほか、STI製ドライカーボンリアスポイラー、専用デカールを標準装備。さらにNBR CHALLENGE PACKAGE [RECARO]には、レカロ製フロントバケットシートおよびアルカンターラ/本革コンビ仕様のリアシート、SRSサイドエアバッグ+SRSカーテンエアバッグが追加される。価格は順に441万円、483万円、508万2000円。

 ボディーカラーは専用色となる「タンジェリンオレンジ・パール」のほか、「サテンホワイト・パール」「WRブルー・マイカ」の計3色を設定。

 限定台数は300台(うちNBR CHALLENGE PACKAGEが200台)で、受注期間は2013年12月23日まで。タンジェリンオレンジ・パールの受注期間は2013年8月25日までとなっている。ただし、7月18日時点でNBR CHALLENGE PACKAGEが完売、ベースモデルも40台弱を残すのみとなっている。開発責任者であるSTI商品開発部 森宏志担当部長が「集大成」と語る同車を手に入れるなら、すぐにアクションを起こす必要がありそうだ。

フロントアンダースポイラーやリアトランクスポイラーなど専用アイテムを装着。よりアグレッシブなムードを漂わせる。撮影車両はNBR CHALLENGE PACKAGE [RECARO]、ボディーカラーはサテンホワイト・パール
ボンネットはベース車両と同じアルミ製
フロントグリル内のバッヂは「tS」に
バンパーはベース車両と同じだが、下部にSTI製のアンダースポイラーが付く
ドアミラーは黒塗装になり引き締まった印象
フロントフェンダーのエンブレム付ガーニッシュも黒塗装。NBR CHALLENGE PACKAGEはその後部に専用デカールが付く
トランクにはチェリーレッドのSTIバッヂが付く
レーシーなディティールがソソるドライカーボン製のリアスポイラー。2段階の角度調整式だ
トランクに専用のバッヂを装着
マフラーは左右各2本出しとすることで排気抵抗を低減。テールパイプはステンレス製
期間限定専用色のタンジェリンオレンジ・パール。グレードはNBR CHALLENGE PACKAGE [RECARO]だが、STI製のオプションパーツが付いた仕様
アンダースポイラーの先端に装着するスカートリップ。Clf(揚力)およびCd(空気抵抗)低減効果がある
サイドビューを引き締めるサイドアンダースポイラー。ボディー側面の空気を整流し走行安定性を高める効果も
ダウンフォースを高めるトランクスポイラー
高強度アルミ合金製鋳造ピストンが組み込まれたEJ20ユニット。ハイレスポンスなボールベアリングツインスクロールタービンをはじめ、強化エンジンマウントや大型インタークーラー、高G旋回対応燃料ポンプなど各所が強化されている
中央にリンクボールを入れたフレキシブルタワーバー。横方向の入力を受け止めつつ縦方向の入力をいなすことでハンドリングと乗り心地を向上
小型バッテリーを採用。さらにフロント、前後左右のドアガラスに薄板タイプを採用するなど軽量化を図っている
ボンネットバルジ裏にウォータースプレーの吹き出し口を設置。噴射によりインタークーラーの冷却効果をアップすることができる
18インチのBBS製鍛造アルミホイールを装着。ベースグレードはSTI製の18インチホイールになる。タイヤは専用チューニングされたブリヂストン・ポテンザRE070。サイズは245/40 R18
フロントブレーキはブレンボ製モノブロック対向6ピストンキャリパーと、同2ピースタイプのグルーブドローター
リアも同じくブレンボ製で対向2ピストンタイプ
STI製のリアサスリンクを装着。前側のフレキシブルサポートもSTI製
中央にあるシルバーのパーツがリアのフレキシブルドロースティフナー。フロントにも付く
黒系に赤ステッチとスポーティなムード満点のインパネ
専用ステアリングにはより上質なレザーが使われていると言う
イグニッションは一般的なキーシリンダータイプ
STI製本革巻きシフトノブ。ノブとブーツのステッチが赤じゃないのが惜しい
ペダルおよびフットレストはアルミパッド付
4WDシステムはDCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デフ)方式。センターデフの差動を自動または任意で調節できる
鮮やかな照明が特徴的なレッドルミネセントメーター。エンジン回転数をセットしておくとランプとブザーで教えてくれるREVインジケーター付
インタークーラー用のウォータースプレー用のスイッチがサイドブレーキ後方に付く
オーディオは2スピーカーとアンテナのみ装備のレス仕様が標準。こちらはオプションのパナソニック製カーナビ
スポーツモデルとはいえフルオートエアコンを標準装備
ドアミラーも電動格納&電動調整式と快適装備も充実
STIロゴ入りの専用レカロ製バケットシート
シートレッグ横のカバーにはコラボレーションを示すプレートが付く
フロントのサイドシルにはtSロゴ入りの専用サイドシルプレートを装備
アルカンターラと本革の組み合わせでスポーティかつ上質なリアシート
トランクの段差はセダンボディー共通の仕様。リアシートは6:4分割可倒式なので積載量も十分に確保されている。スペアタイヤは非搭載で代わりにパンク修理キットが用意されている

【お詫びと訂正】記事初出時、エンジン出力に間違いがありました。お詫びして訂正させていただきます。

(安田 剛)