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写真で見る トヨタ「ハリアー」

 1997年に登場し、日本のSUVシーンに新しいカテゴリーを作り出したのがトヨタ自動車の「ハリアー」だ。スポーティなエクステリアとラグジュアリーなインテリア、そして大排気量エンジンという組み合わせは、その後リリースされる多くのSUVの指標となった。2003年に2代目が登場、2005年にはハイブリッドモデルが追加されるものの、その後はモデルチェンジされることなく2012年に生産終了を迎えた。このまま絶版車の仲間入りかと思われたものの、2013年7月に後継モデルの存在を発表。この11月に3代目として待望の復活を遂げることになった。

 新型の開発キーワードは「高級・進化・新規」。従来モデルが持つ先進的なイメージはそのままに、フォーマルなイメージを併せ持った高級感、ダウンサイジングによる低燃費と使い勝手の向上、そして新しい装備や操作性の獲得を目指したという。

 ボディーサイズ(2WD車)は4720×1835×1690mm(全長×全幅×全高)と、2代目より全長と全幅がそれぞれ15mm、10mmダウンしたほか、全高はアンテナ部で10mmアップしているもののルーフ面では20mmダウンと、全体的にひとまわりコンパクトになった。同時にホイールベースは2715mmから2660mmへと55mm短縮するとともに、フロントオーバーハングを60mm延長、リアオーバーハングを20mm短縮しており、リアに重心のあるスポーティなフォルムとしているのが特長だ。

 ボディーサイズは小さくなったものの、室内空間は前後席間距離を12mm、リアシートの膝前空間を47mm拡大するなど居住性アップが図られている。同時にラゲッジスペースも456Lと17Lアップ。リアシートを前倒しすることで992Lの荷室空間を確保することが可能だ。

 パワーユニットは従来型と同じくガソリンとハイブリッドの2本立てになる。ハイブリッドシステムは「THS II」と電気式4WDシステム「E-Four」で構成される従来同様の組み合わせ。ただし、エンジンはV型6気筒 3.3リッターの「2GR-FXE」から直列4気筒DOHC 2.5リッターの「2AR-FXE」に、フロントモーターが「1JM」から「2JM」に変更。リアモーターは従来と同じE-Four用の「2FM」を採用する。そのほかにバッテリーは6.5Ahの容量を持つニッケル水素電池を採用するなど、E-Four以外のパワートレーンはカムリハイブリッドと多くの部分が共通化されている。スペック面ではエンジン排気量のダウンサイジングに伴ってシステム合計出力が145kW(197PS)とダウンしているものの、低燃費&低排出ガス化を達成するとともに静粛性を向上。JC08モード燃費は21.8km/L(GRAND)または21.4km/L(GRAND以外)と、従来モデルより大幅に向上している。

 ガソリンエンジンはV型6気筒 3.5リッターと直列4気筒DOHC 2.4リッターの2種類から直列4気筒DOHC 2.0リッターに一本化された。このユニットはノア、ヴォクシー、ウイッシュなどにも採用されている「3ZR-FAE」で、吸・排気バルブリフトタイミング制御を行う「VVT-i」、吸気バルブリフト量を連続的に変化させる「バルブマチック」などを搭載する。最高出力111kW(151PS)/6100rpm、最大トルク193Nm(19.7kgm)/3800rpmを発生させる。ミッションは新開発の「Super CVT-i」が組み合わされるほか、アイドリングストップ機能やトヨタ車では初となる蓄冷タイプのエバポレーターを採用。JC08モード燃費は16.0km/L(2WD車)となる。駆動方式は2WD(FF)のほか4WDも設定。2代目のフルタイム4WDから電子制御カップリング式の「ダイナミックトルクコントロール4WD」に変更するとともに、ステアリング、駆動力、ブレーキの協調制御を行う「S-VSC+ダイナミックトルクコントロール4WD協調制御」も搭載。路面状況に関わらず安定した走行を可能としている。

 新しい装備となるのがトヨタ車では初となるステアリング制御付の「レーンディパーチャーアラート」。これは道路上の白線などをカメラで認識、ウインカー操作を行わずに車線を外れるような状況になると、画面表示と音で注意を喚起する。加えて電動パワーステアリングの制御を行うことで、車線内にとどまるようにステアリング操作をサポートしてくれる。このほか、障害物との接近を感知してエンジン出力を制御する「インテリジェントクリアランスソナー」、アクセルを踏み込んだまま通常と異なるシフト操作をするとエンジン出力を抑え、急発進や急加速を制限する「ドライブスタートコントロール」なども備えている。

 グレードはハイブリッド車、ガソリン車とも「GRAND」「ELEGANCE」「PREMIUM」「PREMIUM“Advanced Package”」の4タイプ。ガソリン車には2WDと4WDが用意される。インテリアはGRANDがブラックのファブリックシートに、内装色はブラックとディープボルドーの2タイプ。それ以外は上級ファブリック+合成皮革シートが標準となりオプションで本革が選択可能。内装色はブラックとディープボルドーのほか、上級ファブリック+合成皮革シートのみアイボリーも選択できる。ボディーカラーはメーカーオプションとなる特別色の「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン」など全7色。車両価格はハイブリッド車が361万円~447万円、ガソリン車は272万円~378万9000円となる。

ハイブリッド

撮影車両はPREMIUM“Advanced Package”。ボディーカラーはスパークリングブラックパールクリスタルシャイン
ヘッドライトと一体感のあるレンズタイプのフロントグリル。遠目にはグリルレスに見える
グリル中央裏にはプリクラッシュシステム用のミリ波レーダーが収まる。同装備はPREMIUM“Advanced Package”のみ標準装備。GRAND以外はオプション装着が可能
フロントガラス上部にはステアリング制御付レーンディパーチャーアラート用のカメラをセット
ドアミラーにはウインカー、カメラ、ウエルカムライトを内蔵
フロントフェンダーにはおなじみのハイブリッドバッヂが付く
ドアミラー取り付け部にエアロスタビライジングフィン。一部開発陣の間では「お魚フィン」と呼ばれているとか
リアコンビランプサイドにもエアロスタビライジングフィンを設定
ヘッドライトは全車LEDロービームを装備
リアルーフスポイラーは全車標準装備
ハイブリッドのトヨタエンブレムは青ベース
リアゲートにはハリアーのバッヂ
ボンネット下にはエンジンとパワーコントロールユニットが並ぶ
2.5リッターの直4エンジン。単体スペックは最高出力112kW(152PS)、最大トルク206Nm(21.0kgm)
バッテリーの直流電圧をモーター用の交流電圧に変換するパワーコントロールユニット
マフラー出口は目立ちにくい位置にあり、カラーリングが施される
PREMIUM系グレードは235/55 R18タイヤと専用ホイールの組み合わせ
ディープボルドー×ブラックの内装色を選択した場合のインテリア
PREMIUM系グレードのステアリングはウッド&本革のコンビネーションタイプ。電動チルト&テレスコピック機能も装備
静電式タッチパネルを採用したエアコンパネル。左右独立温度調整タイプで、ハイブリッドは湿度センサーと前席集中モードが付く
シフトはゲート式でハイブリッドは6速マニュアルモード付。本革巻シフトノブは全車標準装備
メーターパネルは右側にスピードメーター、左側にパワーメーター、中央にマルチインフォメーションディスプレイを配置。指針はブルーで統一
ハイブリッド車のマルチインフォメーションディスプレイにはエネルギーモニター表示も
PREMIUM“Advanced Package”には8インチモニター搭載のSDナビが標準。エネルギーモニターはこちらにも表示できる
PREMIUM“Advanced Package”はパノラミックビューモニター付。周囲を動画風の表示で確認できる「ムービングビュー」表示も搭載
PREMIUM“Advanced Package”にはインテリジェントクリアランスソナーを装備。障害物をマルチインフォメーションディスプレイや8インチモニターで確認できる
スタートスイッチはハイブリッド車共通の青色タイプ
インパネ右のパネルにはカメラのビュー切り替えやパワーバックドアのスイッチが並ぶ
センターコンソール中央の収納。カップホルダーのほかDC12VソケットやUSBポートなどを用意
センターコンソールのボックス内に「置くだけ充電」用トレイを装備。PREMIUM“Advanced Package”以外はオプション
トレイを持ち上げれば内部は普通の収納スペース
グローブボックスは昔ながらのシンプルな作り
オプションの本革シートとディープボルドーの内装色を組み合わせたインテリア。ハリアーらしい高級感溢れるもの
ドアのスイッチまわり。木目パネル、金属加飾、レザートリムとレイヤー感のある作り込み
3人掛けのリアシート。表皮の分割パターンやステッチの入り方など高級感のある仕上がり
シート中央には引き出し式カップホルダー付のアームレストを装備
シート座面下にバッテリー冷却用のダクトが備わる
ルーフ後端にはラゲッジ照明とリア中央シート用のシートベルトアンカーを設置
リアシートを前方に倒すと992Lのラゲッジスペースを確保できる。デッキボードのシルバー加飾レール、フィニッシュ部のステンレス製プレートはともに全車標準装備
デッキボードの下にはバッテリー……ではなく、大容量の収納スペースを用意。パンク修理キットを標準装備し、スペアタイヤはオプション設定
オプションでAC100V、1500W対応のアクセサリーソケットをラゲッジルーム側面に装着できる
PREMIUM“Advanced Package”はJBLプレミアムサウンドシステムを標準装備。8chアンプと11スピーカー搭載で、ラゲッジ内にサブウーハーを設定

ガソリンエンジン搭載車

撮影車両はPREMIUMの2WD(FF)。ボディーカラーはブラキッシュレッドマイカ
ハイブリッドとの違いはエンブレム類などごくわずか
アンテナは全車シャークフィンタイプ
マイコン制御チルト&スライド電動ムーンルーフは全車でオプション
ガソリンエンジンは直列4気筒2.0リッターエンジン。スペックは最高出力111kW(151PS)/6100rpm、最大トルク193Nm(19.7kgm)/3800rpm
タイヤ&ホイールはハイブリッドと同じ。タイヤサイズは235/55 R18
ステアリングもハイブリッドと共通のデザイン
ゲート式シフトレバーも変わらないが、シーケンシャルシフトは7速になる
ペダルは一般的な吊り下げ式。パーキングブレーキは足踏み式
メーターパネルは左側がタコメーターに変更。赤い指針とタコメーターのレッドゾーンがあることで印象がかなり異なる
マルチインフォメーションディスプレイの表示。エネルギーモニター表示の代わりにアイドリングストップの表示が付く
スタートスイッチは黒
オプションの非装着車はスイッチが少ない
8インチモニター搭載のSDナビゲーションシステムはオプション品。ナビはフリックやマルチタッチなどで操作できる
エアコンパネルはハイブリッドと共通。「ナノイー」はPREMIUM系グレードのみ搭載
オプションのマイコン制御チルト&スライド電動ムーンルーフ。フロントシートの頭上からリアシートまでガラスがカバーするため開放感満点
フロントシート上にはマップランプとムーンルーフ操作用パネルを設置
アイボリーの内装色を選択した場合のインテリア。シート表皮の一部がキルティング調の仕上げになる
GRAND以外は運転席8ウェイパワーシートが標準。助手席はマニュアル式が標準で、電動タイプもオプションで選択可能
アイボリー内装でもドアトリムはブラック
運転席にあるパワーウインドースイッチは全席オートタイプ
リアシートもフロント同様のデザイン
リア側のドアトリム。下部にはスピーカーとカップホルダーを装備
リアシート使用時のラゲッジスペースは456L。6:4分割可倒式リアシートを畳めば最大992Lまで拡大できる
ガソリンエンジン車にもオプションでAC100Vのアクセサリーソケットを装着可能。ただし容量は100Wが上限になる
デッキボード下の収納スペースはハイブリッド車と同じ
ELEGANCEグレード。ボディーカラーは注文色のホワイトパールクリスタルシャイン
プリクラッシュセーフティシステム未装着時は立体的なエンブレムが付く
PREMIUM“Advanced Package”以外は補助確認装置としてドアミラー下部に小さなミラーを装着
ハイブリッド車、ガソリンエンジン車ともにレギュラーガソリン仕様。燃料タンクはそれぞれ56L、60L
ヘッドライトの点灯パターン。全車LEDロービームを採用
リアコンビランプの点灯パターン。導光タイプのポジションランプとLEDのストップランプが特徴的
寒冷地仕様を選択するとリアフォグランプがセットで装着される
ELEGANCEのタイヤサイズは225/65 R17でアルミホイールも専用タイプ
オプションでスペアタイヤを選択すると、ラゲッジボード下はスペアタイヤの収納スペースになる

TRD、純正用品

 ハリアーは人気が高いモデルだけに、純正用品だけではなくTRD(トヨタテクノクラフト)とモデリスタからも機能パーツ、ドレスアップパーツなどがリリース予定となっている。ここでは純正パーツ装着車とTRDパーツ装着車を簡単に紹介したい。

フロントスポイラー、サイドスカート、リアバンパースポイラー、クォーターパネルスポイラーなどTRD製のパーツを装着した車両
開口部を強調したフロントグリル
「ハイレスポンスマフラーVer.S」。同社製リアバンパースポイラー装着車用でハイブリッド用もラインアップする
エッジの効いたシャープな造形を持つ18インチアルミホイール。タイヤとのセット販売となる
純正用品装着車。エアロパーツのほかにメッキドアミラーカバーやバックドアガーニッシュなどを装着
ビレッド風の意匠を持つメッキグリルとロアグリル。装着するとアメリカンなイメージを獲得

(安田 剛)