知っておきたい自動車保険2010
【第5回】契約編その2 保険各社の割引を比較して、自分にあった保険を探す

各社さまざまな割引や特約を用意している。自分にあった保険会社を見つけたい

 知っておきたい自動車保険、連載5回目は前回に引き続いて保険の契約にまつわる話。前回は保険金額の設定について解説したが、今回はそのほかの保険料を安く抑えるテクニックを紹介する。

 実は以前までは、任意保険はどの保険会社で入っても、条件が同じであれば保険料は一緒だった。しかし1998年に自動車保険が自由化され、各社がそれぞれで保険料の設定をできるようになった。それまで各社横並びだったところから、価格競争が始まったわけだ。

 この時生まれたのが、これまで紹介しているダイレクト型自動車保険だ。代理店維持や運営の費用を抑え、その分保険料を安く設定したのである。そして、もう一つ保険料を安くするために登場したのが、「リスク細分型」といわれる保険システムだ。

 リスク細分型の自動車保険とは、ドライバーの年齢、事故歴、乗車目的、年間走行距離などで保険料が変わる自動車保険のことで、事故を起こす可能性が少ない人は、その分保険料を値引くというもの。従来から運転者の年齢や事故歴、車種などによって保険料は調整されていたが、より細かな条件付けによって、保険料を設定するようにしたわけだ。

 テレビCMなどでもよく宣伝しているが、運転免許証がゴールドの場合や、年間走行距離が短い場合など、事故を起こす可能性が少ない場合に保険料を安くする。しかし一方で距離を走る人や、免許がゴールドではない人にとっては、割高になる可能性もある。

 とは言っても、実は各社で同様に細分化しているのではなく、たとえば、走行距離による区別はしないという保険会社もある。年間走行距離が多い人にとっては、そのほうが安くなる可能性もあるわけだ。それぞれの保険会社の割引内容を見て、自分にあった保険会社で見積もりを出してみるのがよいだろう。

 また、クルマを複数台所有している場合は、それらを同じ保険会社にすることで割り引くケースもある。複数の保険を掛ける場合、補償内容が重複するケースが出てくる。そういった部分もチェックし、保険料の無駄をなくしたい。

自分にあった割引のある保険会社を探そう
 先に述べたとおり、保険料は契約者の年齢や性別によって変わってくる。若いドライバーは事故を起こす可能性が高いので保険料は高くなり、同じ理由で男性より女性のほうが保険料は高い傾向がある。また、運転地域によって保険料が変わることも。都心のようにクルマが多い地域ほど事故の確率は上がるからだ。

 年齢や性別、住んでいる地域などは努力してどうにかなるものではないが、リスク細分型保険ではこれらの他にも免許の色や年間走行距離といったさまざまな条件によって割引を設けている。また、運転者を本人や家族に限定することで割り引く特約もあるので、それらを上手く組み合わせることで、保険料を抑えることができる。

 主なダイレクト系保険会社の特徴的な割引サービスを一覧にしてみたので、自分にあった保険会社を見つけてほしい。ちなみに主に自家用普通乗用車や自家用小型乗用車を対象に調べたので、大型車や商用車では異なるものもある。そのほか、重複して受けられない割引や、適用条件が設けられるケースもあるので、詳細は各社Webサイトをご確認いただきたい。

--三井ダイレクトアクサダイレクトアメリカンホーム・ダイレクトSBI損保ソニー損保そんぽ24チューリッヒ
インターネット申込割引新規:4000円/継続:3000円保険料に応じて2500円~5500円約10%5500円新規:最大5000円/継続:2000円5%新規:7000円/継続:1500円
証券省略割引------
主な使用目的による算出
年間走行距離による算出------
くりこし割引・こえても安心サービス------------
ゴールド免許割引--
車両安全装置割引(ABS・エアバッグなど)ABS/エアバッグABS/エアバッグ型式・年度により算出ABS/エアバッグ/安全ボディー/横滑り防止装置--ABS/エアバッグABS/エアバッグ
盗難防止割引------イモビライザー/異常通報システム/GPS追尾システム------
新車割引25カ月以内24ヵ月以内2年未満25カ月以内13カ月/25カ月以内25カ月以内25カ月以内
エコカー割引------------
複数所有新規割引○(※カスタマーセンターで対応)----
早期契約割引----○45日前--○2台目以降の新規契約--○45日前
紹介割引------------
継続割引------------
車両保険セット割引------------
安全運転者特別割引(2年連続16等級以上・30歳以上補償)------------
前年無事故割引(ノンフリート等級による割引以外)----------
長期優良契約割引(前年20等級・無事故に適用)--------
本人限定特約------------
本人・配偶者限定特約------
家族限定特約※標準で契約時に告知した家族のみ対象
臨時運転者特約(家族外運転者特約)--○(※標準で家族以外年齢無制限)○(※標準で家族以外年齢無制限)----
子供運転者年齢限定特約----------

 割引内容について上から説明していこう。「インターネット申込割引」は、各社のWebサイトから見積もり、契約を申し込んだ場合に適用される。割引額は各社さまざまだが、継続の場合より新規のほうがより安くなるケースが多いようだ。なお、インターネットで見積もりしても電話で契約した場合は適用されない。契約システムが自分の使用するパソコン(OS)やWebブラウザーに対応しておらず、インターネットで契約できない場合もあるので、古いシステムやマッキントッシュなどを使っている人は注意が必要だ。

 「証券省略割引」もインターネットならではの割引。保険を契約したら発行される保険証券を発行しないで、Web上に作られた自分専用のページで確認できるようにするというもの。保険証券が手元にないからといって、なにか補償が受けられなくなるようなことはないので、特に必要がない人にはオススメの割引だ。今回調べた保険会社ではいずれも500円の割り引きになる。

 「主な使用目的」によっても割り引かれる。通勤通学で毎日使うよりも、レジャーで週末しか使わないほうがお得になるわけだ。たまに通勤で使う場合も、頻度が保険会社の定める通勤通学使用の基準に該当しなければ日常・レジャーを選んで問題ない。使用目的の基準は保険会社によっても異なるので、確認して欲しい。

 「年間走行距離」も保険料に反映される場合がある。年間5000km未満といった場合は、走行距離による割り引きがある保険会社を選ぶとよいだろう。半面年間1万kmを超えるようだと、距離による割り引きを行わない保険会社を選んだほうがお得になる可能性もある。

 走行距離については保険会社によって、前年1年間の走行距離を申請する場合と、契約中の1年間に走行するであろう距離を申請する場合がある。後者だと、想定していたよりも結果的に走らなかったり、あるいは距離が伸びたりする可能性も考えられるが、ソニー損保ではそういったケースに対して、「くりこし割引」「こえても安心サービス」を用意している。距離が伸びなかった場合は翌年の保険料を割り引き、設定を超えてしまった場合は、通常はその分の保険料が追加されるところだが、翌年も契約する場合、条件を満たせばその分をサービスしてくれる。

 「ゴールド免許割引」はその名のとおり、契約者がゴールド免許の場合に保険料を割り引く。おおむね2%程度の割り引きだ。三井ダイレクトのように免許証の色に関係ない保険会社もあるので、ゴールド免許ではない人は、そちらもチェックしたほうがよいかもしれない。

 契約する車両に安全装備が付いていると割り引かれる場合もある。ABSやエアバッグなどが主だが、SBI損保のように安全ボディーや横滑り防止装置、また盗難防止装置による割り引きがなされる場合もある。そのほか、新車やエコカーに対する割り引きもある。

 契約の仕方によっても割り引かれる場合がある。2台目以降の契約で割り引きされる場合や、早期に契約した場合、紹介されて契約した場合、継続して契約した場合に割引が適用されるケースがある。また、変わったところでは車両保険に入ると、保険料を割り引くサービスもある。せっかく契約するならば上手く利用すべきだろう。

 無事故が続いている場合に割り引かれるのが「安全運転者割引」「前年無事故割引」「長期優良契約割引」だ。安全運転者割引は、今回調べた中ではチューリッヒのみが用意しており、2年以上16等級以上が続いていて、かつ30歳以上補償特約を使っている場合に割り引く。前年の保険期間中に無事故の場合、ノンフリート等級のアップとは別に割り引くのは三井ダイレクトとそんぽ24。ノンフリート等級が最高の20等級で無事故だった場合、翌年に割り引くのが長期優良契約割引。三井ダイレクトとそんぽ24、SBI損保が用意する。

 年齢による保険料の割引は以前からあるが、運転者を限定することで保険料を抑える特約も各社用意している。当然範囲を限定すればするほど安くなる。「本人限定特約」「本人・配偶者限定特約」「家族限定特約」がそれ。なお、アメリカンホーム・ダイレクトの場合は特殊で、事前にクルマを運転する家族全員を告知するというシステム。そのため、家族限定や年齢条件といったシステムはない。家族以外が運転する場合は「家族外運転者特約」を付ける必要があり、この場合、家族以外の人に関しては年齢条件は問われなくなる。

 家族以外の運転者に対する年齢条件の適用は、各保険会社によって異なる部分でもある。基本的には家族以外も運転者全体に対する年齢制限とする場合が多いが、ソニー損保とSBI損保は年齢制限は家族限定で適用される。つまり30歳未満不担保にした場合でも、家族以外であれば30歳未満のドライバーでも補償の範囲となる。三井ダイレクトの場合は、これが「臨時運転者特約」として用意されている。

 三井ダイレクトとSBI損保では他に「子供運転者年齢限定特約」も用意している。子供が免許を取ってクルマを運転するようになった場合、通常はその子供の年齢に合わせて年齢条件を引き下げる必要がある。となれば当然保険料は上がってしまうのだが、この特約では子供だけ別枠で年齢条件を設定できるのだ。もちろん全体の年齢条件を下げるより保険料を安く抑えることができる。

 なお、保険の契約の上で、ひとつ注意したいのが「家族」の定義だ。ここでは話を分かりやすくするため、家族とまとめて記述しているが、保険会社や補償内容によって家族の定義は異なる。たとえば別居の未婚の子供を含める場合や、仕事に従事中の使用人も家族に含める場合もある。同じ保険会社の中でも保険や特約によって家族の定義は細かく分かれるので、1人暮らしの子供がいる場合など、家族の定義をよく確認しておきたい。

複数台所有している場合は保険の重複に注意
 保険料を下げる割引や特約については上記のとおりだが、保険の組み合わせによっては保険が重複して無駄になる場合もあるので注意したい。特に問題になるのが複数台クルマや他にバイクを所有し、複数の保険を契約している場合だ。

 人身傷害保険は、契約者とその家族を対象に、クルマに乗っていないときの事故も補償する。これを複数の保険で契約していた場合、歩行中や他人のクルマに乗っていて事故に遭った場合に、両方の保険が重複してしまう。人身傷害保険は重複して支払われることはないので、1つを残してあとは「搭乗中のみ補償特約」を付けると、保険料を安く抑えられる。ノンフリート等級などでもっとも割引率の高い保険を残すのが賢明だろう。また、他に傷害保険に入っている場合や、独身で自動車保険に搭乗中以外の補償は求めないという場合にも、この特約を付けることで保険料を下げることは可能だ。

 原付特約(ファミリーバイク特約)や弁護士費用補償特約も同様で、1つの保険に付けておけば家族全体が対象となるので、1つの保険に組み合わせておけばよい。ただしクルマを1台廃棄するなど、その保険を解約した場合には、残りの保険で組み直すのを忘れないように気をつけよう。

(瀬戸 学)
2010年 10月 20日