特別企画

【特別企画】SUPER GT直前&WEC開催 富士スピードウェイ撮影ガイド(後編)

 今週末にSUPER GTの第4戦、10月にWEC(世界耐久選手権)が行われる富士スピードウェイの撮影ガイド。前編(http://car.watch.impress.co.jp/docs/special/20150806_715221.html)では、ダンロップコーナー、プリウスコーナーなどの撮影ポイントを紹介した。そこで後編では、アドバンコーナー(ヘアピン)、コカ・コーラコーナー、1コーナー、メインストレートなどの撮影ポイントを紹介したい。

富士スピードウェイ 場内MAP(PDF)

http://www.fsw.tv/3ch/3_1guide/guide.pdf

場内MAP

アドバンコーナー(ヘアピン)

 アドバンコーナーはすり鉢状の地形で、コースが低く周囲の観客エリアが高い位置にあるので撮影ポイントは多い。まずは300R、ダンロップコーナーへ向かう立ち上がり側から紹介していこう。

 最初に紹介するのはP19下の土手。ここは300Rへ向かうマシンを流し撮りすることができる。比較的長くマシンを追うことができるので、斜め前、横、斜め後ろと角度を変えて撮ることが可能だ。

P19から階段を降りた付近の土手から300Rへ向かうマシンを流し撮りで狙う
左右に広がりがあって撮影の自由度が高い
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/125秒で斜め前から撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/125秒で横から撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/125秒で斜め後ろから撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 アドバンコーナーからダンロップコーナーへ進むと、インサイドとアウトサイドを結ぶトンネル通路がある。その少し先の土手の最上段もダンロップコーナーへ向かうマシンを流し撮りで狙うことが可能だ。

トンネル通路の先の土手。最上段からダンロップコーナーへ向かうマシンを流し撮りで狙う
左下にトンネルが見える
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/80秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 アドバンコーナーの正面の土手は、上下左右に幅広く撮影ポイントが取れる。マシンまでの距離はやや遠いがさまざまな絵が撮れるだろう。最初のサンプル写真は立ち上がるマシンを背後から撮影した。

300Rに向かって立ち上がるマシンを背後から狙う
撮影位置を左右に変えられるので自由度は高い
300mm(480mm相当)×1.4=420mm(672mm相当)のレンズを使用
フルHDサイズにレタッチした画像

 次はクリッピングポイント付近を撮影。100Rの立ち上がりからブレーキング、クリッピングポイントと見渡せるので、狙いどころはクリッピングポイントだけではなく、幅広い選択肢がある。

クリッピングポイントへ進入するマシンを狙う
100Rからクリッピングポイントまで見渡せるので自由度が高い
420mm(672mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/125秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 次はクリッピングポイントを抜けるマシンの流し撮り。正面の土手からはやや距離がある。長いレンズがない場合は進入側の土手の方が距離は近くなる。

正面の土手からクリッピングポイントを抜けるマシンを流し撮りで狙う
420mm(672mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/60秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 アドバンコーナーへ進入するマシンを正面の土手から撮影。距離があるのでマシンのアップはかなり長いレンズが必要となる。ダンロップコーナー進入の撮影と同じく、複数のマシンをフレームに入れればよい絵が撮れそうだ。

距離はあるが進入してくるマシンを正面から狙う
マシンをアップで撮るのは難しいが、複数台のマシンをからめれば絵になる
420mm(672mm相当)のレンズを使用
フルHDサイズにレタッチした画像

 また、正面の土手より進入側の土手の方がマシンまでの距離は近くなる。200mm(320mm相当)~300mm(480mm相当)のレンズで撮影可能だ。

進入側の土手から流し撮りで狙う
正面の土手よりかなり近くなる
200mm(320mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/60秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/100秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 アドバンコーナーでは進入側の金網の切れ目を利用して、クリッピングポイント付近のマシンを背面から撮影することもできる。

サービスロードの金網の切れ目からクリッピングポイント付近を狙う
土手の中段まで降りて、切れ目からマシンの後ろ姿を撮影
300mm(480mm相当)のレンズを使用
フルHDサイズにレタッチした画像

コカ・コーラコーナー

 コカ・コーラコーナーの正面の土手は多くのカメラマンが集まる撮影ポイントだ。今回は正面付近を紹介するが、100R側の土手でも多くのカメラマンが撮影している。ここはエスケープゾーンが広く、距離があるので長めのレンズが欲しい。コカ・コーラコーナーのクリッピングポイント付近を狙うことができる正面土手のやや100R側から見ていこう。

正面やや100Rよりの位置からクリッピングポイント付近を狙う
エスケープゾーンが広いのでコースまで距離がある
420mm(672mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/30秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 マシンをアップで撮ることは難しいが、同じ位置からコカ・コーラコーナーへ進入するマシンを撮ることも可能だ。

かなり距離はあるが、同じ位置からコカ・コーラコーナーへ進入するマシンを斜め前から狙う
420mm(672mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/60秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 コカ・コーラコーナーに進入するマシンを真正面から撮れる位置は、ここの定番中の定番だ。サンプル写真は300mm(480mm相当)と1.4倍のテレコンを付けた420mm(672mm相当)で撮影した。

進入するマシンを真正面から狙う
距離があるのでマシンをアップで撮るのは難しい
300mm(480mm相当)のレンズを使用
フルHDサイズにレタッチした画像
420mm(672mm相当)のレンズを使用
フルHDサイズにレタッチした画像

 次はコカ・コーラコーナーを抜けるマシンを横から流し撮りだ。

コカ・コーラコーナーを抜けるマシンを流し撮りで狙う
マシン単独の撮影もできるが、上部の看板を入れた撮影もできそうだ
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/125秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 次はマシン後方からの撮影。サービスロードの金網の切れ目を利用し、100Rへ向かうマシンを背後から撮影する。コカ・コーラコーナー進入側の土手を降り、目の前の金網はボカして撮る方法だ。

100Rへ向かうマシンを背後から狙う
目の前の金網はボカして、サービスロードの金網の切れ目を利用して撮影
300mm(480mm相当)のレンズを使用。この日は緊急車両がフレームに入った
フルHDサイズにレタッチした画像

1コーナー インサイド

 1コーナーのインサイドは、クリッピングポイントに近い上段と立ち上がり側の下段という2か所。どちらも脚立の使用が望ましいが、上段は傾斜があって通常の脚立の使用はやや危険だ。

地面が傾斜しているので、足の長さが変えられる脚立があると撮影しやすい
1コーナーのクリッピングポイントから立ち上がり側を流し撮りで狙う
通常の脚立は地面の傾斜があるのでこのポイントには不向き。脚立が利用できないときは金網越しの撮影となる
159mm(約254mm相当)にレンズをズームしてシャッター速度1/80秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
159mm(約254mm相当)にレンズをズームしてシャッター速度1/80秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
159mm(約254mm相当)にレンズをズームしてシャッター速度1/80秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 下段は1コーナーからコカ・コーラコーナーへ向かうマシンを撮ることができる。こちらは通常の脚立を使えるが、人気のポイントなので脚立を立てる隙間がないこともある。その場合は金網越しの撮影となる。

下段は脚立が数多く並ぶ人気スポットだ
1コーナーから駆け下るマシンを狙う
脚立がない、あるいは立てる場所がない場合は金網越しの撮影となる
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/60秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

1コーナー アウトサイド

 1コーナースタンドは、最上段に立ってもストレート部分の金網を避けることができない。クリッピングポイントから先は金網を避けられるので、マシンの後ろ姿を狙おう。

1コーナースタンドは最上段に立ってもストレート部分の金網を避けられない
スタンド上段からクリッピングポイント~立ち上がりを狙う
クリッピングポイントから先は金網を避けて撮影可能
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/30秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/30秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/60秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 スタンドから少し先へ進んだ位置も撮影ポイントだ。クリッピングポイントを抜けたあたりから先を撮ることができる。

スタンドから少し先に進んだ位置から1コーナーを立ち上がるマシンを狙う
ここはマシンまでの距離があるので長めのレンズが欲しい
420mm(672mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/30秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
420mm(672mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/30秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

グランドスタンド

 グランドスタンドの1階席は金網がコースに掛かる。2階席に上がると金網を避けることができる。左右に広い巨大スタンドだが、観客が多いときはほかの人の観戦の妨げにならないよう、空いている場所で撮影したい。

1階席はコース手前に金網が掛かる
2階席に上がると金網を避けることができる
2階席からストレートを走るマシンを狙う
この日は公式テストで客足が少なかったが、観客が多いときは空いている場所で撮影したい。2階席の最終コーナー側の端からの風景
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/160秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
122mm(約195mm相当)にレンズをズームしてシャッター速度1/200秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
24mm(約38mm相当)、シャッター速度1/30秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

メインストレート(P13)

 今回の撮影ガイドの最後は、最終パナソニックコーナーからストレートを立ち上がったあたりにあるP13からの撮影だ。

P13からストレートを走るマシンを狙う
ここは金網が高いので、脚立の使用を諦めて金網越しに撮影した
300mm(480mm相当)のレンズを使用してシャッター速度1/200秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
インサイドの駐車場は背景のアクセントとなる
126mm(約201mm相当)にズームしてシャッター速度1/200秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
70mm(112mm相当)にズームしてシャッター速度1/80秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像
94mm(約150mm相当)にズームしてシャッター速度1/60秒で撮影
フルHDサイズにレタッチした画像

 以上で前編、後編でお届けした富士スピードウェイの撮影ガイドは終了だ。富士スピードウェイはコースサイドにサービスロードがあり、観客エリアからの撮影は二重金網との戦いとなる。最後に金網と絞りの確認をしてみたい。以下の写真は300mm(480mm相当)のレンズで、絞りをf2.8からf16まで変化させたときの金網の写り込みを比較したものだ。f8あたりからその影響は顕著となっている。金網との距離、金網の色、逆光/順光の違い、撮像素子のサイズなど、さまざまな条件で写り込みは変わるが、絞り込むことで影響が出やすくなることは間違いない。

f2.8
f4.0
f5.6
f8.0
f11
f16

 高速シャッターを切る場合は、絞りが開放側に近付くので金網をボカしやすくなるが、スローシャッターを切る場合は絞り込まれ、金網が写り込みやすくなる。金網越しの撮影をする場合、少しでも絞りを開けて撮ることが金網対策として重要だ。次の2枚は、f13でそのまま撮った写真とNDフィルターを使用してf7.1にして撮った写真だ。このように、NDフィルターを使用することで金網の写り込みを減少させることができる。

絞りf13、シャッター速度1/200秒で撮影
絞りf7.1、シャッター速度1/200秒で撮影

奥川浩彦

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て2001年イーレッツの設立に参加しUSB扇風機などを発売。2006年、iPR(http://i-pr.jp/)を設立し広報業とライター業で独立。モータースポーツの撮影は1982年から。キヤノンモータースポーツ写真展3年連続入選。F1日本グランプリ(鈴鹿・富士)は1987年から皆勤賞。